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【北欧旅行記11】黄色いバスと巨大なベビーカー

黄色いバスはタダなのか?

その後、シーさんと私も別行動することにした。

シーさんはオーフス大学に行ってみたいと大学方面へ向かう。
私は、市内中心部へ戻ることにした。

バス停に市内を廻る黄色いバスが到着し、後ろから乗り込む。
バスの中は座席は前半分だけで、後ろは広いスペースだった。
広いスペースには、大きな荷物やベビーカーはここにという意味の表示があった。大きなベビーカーでもそのまま乗り込んでくる。

車内には自動券売機がある。
よくわからないまま、1回券らしきチケットを購入し、
降りる時に運転手の横のBoxに入れた。

市内中心部を散策したのちに、オーフス駅でシーさんと合流した。
私の姿を見つけると、シーさんは
「あの黄色いバス、タダだったよ」と嬉しそうに報告してくれた。

「え?タダだったの?車内に券売機があって、1回券らしきものを買ったよ」と私。

「え?降りる時にお金を払おうとしたら違うと言われて、free?って聞いたらそうだといわれたから」とシーさん。

結局、本当のことはわからない。

子どもと思われたから無料だったのか、
説明するのが面倒だったのか、
無料のバスだったのか、
謎なままである。


巨大なベビーカー

オーフスの街を散策していると、かなり多くのベビーカーを目にする。
それはベビーカーというよりは「乳母車」

でかい。

大げさな言い方をすると、乳児用ベビーベッドがそのまま動いている感じ。
もちろん、デンマークの赤ちゃんが、とりたてて大きいわけではない。
(大人は大きい)

大人の腰ぐらいの高さのところに、赤ちゃんがいる。
可動式の幌がついていて、日差しも遮れるし、
ちょっとくらいの雨なら防げそう。

車輪は四輪で、小さな自転車ほどのゴムのタイヤがついている。
詳しくはわからないが、自転車と同じようなチューブ式かもしれない。
それを支えているリムはスチールだろうか、丈夫そうな骨組みだった。


聞いた話によると、デンマークでは、
さらにベビーカーの子供の乗る位置を高くしようという動きがあるという。
今の高さでも、車の排気ガスの影響が心配だという声があるそうだ。

日本のベビーカーは、
地面をすりそうな低い位置にあかちゃんをのせるものが多い。
車輪も小さく、硬く、アスファルトの道路でも少しの段差が大変そうだ。
車体も軽さ優先でプラスティックのような素材で、
なにより持ち運びに便利なようにできている。

私には子どもがいないが(注)、日本でベビーカーを見かけるたびに、
あんな低い位置では、あかちゃんも居心地悪いのではないかと思っていた。
低い位置だと、夏はアスファルトの熱で暑いだろうし、埃もかぶりやすい。
よく言われていることだが、歩きタバコの人がいれば、けむりを吸ってしまうだろうし、やけどの危険性すらある高さだ。

それでも、持ち運びすることを考えたら、軽くないと大変だし、
小さくないと、家でも出先でも邪魔である。
日本の様々な生活事情に合わせて進化した形が、
今の日本のベビーカーなんだと思う。

でも、本当に住宅事情や生活様式だけで、デンマークでは大型化、日本では小型化という両極端な方向に進むだろうか?


「北欧は、道路も建物もバリアフリー化が進んでいるから大きくても大丈夫じゃない?」

バリアフリー化に関しては、数日間しか滞在していない私の感覚が正しいかどうかはわからないが、街中の建物に関して言えば、日本の方がバリアフリーかが進んでいるように思う。
デンマークでは、他のヨーロッパ諸国と同じように、古い建物が多く残っている。その分、バリアフリーではないところがたくさんある。
道も石畳のところがおおく、ベビーカーや車椅子にとって優しいとは言い難い。
新しい建物が多い分、街中の公共の場のバリアフリー化は日本の方が進んでいるように感じる。

では、なぜ?

大きなベビーカーでも平気でバスや電車に乗り組んでくるオーフスの人。
低床車両だろうがなかろうが、おかまいなしだ。
乗り物の中で折りたたむなどということはしない。
乗り降りは、近くの乗客が手伝ってくれる。
手伝ってくれるのは若い男の人の場合が多い。

これは、ベビーカーに限らず、大きな荷物を持っている場合も同じだった。
私たちがスーツケースを持って移動しているとき、
バスに乗ろうとすると、必ず誰かが持ち上げてくれた。
それは、バスの運転手や係員だったことはない。
いつも、乗客の誰かだった。
わざわざバスから降りてきて、荷物を持ち上げてくれた。

バスや電車には、
大きな荷物やベビーカーなどを置けるような広めのスペースがある。
そこは時に、スーツケースが並んでいたり、段ボールが並んでいたり、車椅子だったり、ベビーカーだったりする。
低床車両の乗り物には、ベビーカーはこちらという表示もある。

そして、驚いたのは、大きなベビーカーでもあっという間にコンパクトになることだ。
たまたま大きなベビーカーを車に乗せようとしているところを見かけた。
まず、子供が乗る部分を取り外し、そのまま自動車に乗せてシートベルトをかける。簡易式のチャイルドシートのようだ。
次に車輪を外す。
簡単に外れる。
小さな子供用自転車ほどの四つの車輪が車のトランクへと投げ込まれた。
最後に金属製の枠が簡単におりたたまれて、同じくトランクへと収納された。
見かけよりは軽そうで、あっという間に分解されて、車に乗せられたのに驚いた。

さらに大きくなろうとしているデンマークのベビーカー。
反対にコンパクトさと軽さを追い求める日本のベビーカー。
ベビーカーは、その国の人の考え方をリアルに反映していると思った。

もちろん、人口密度も交通事情も違うので、
一概に比べることはできないが、
日本で「ベビーカーをお使いの方は他の方の迷惑にならないようにご乗車ください」の表示を見るたび、
デンマークの大きなベビーカーの多さを思い出す。

注)2004年当時です。今は幼児あり。
追記.この10年後に出産しました。
日本のベビーカー事情も少し変わりましたね。
私も、車輪がゴムのベビーカーを快適に使いました。
小型軽量化をめざしたもの、乗り心地のよさをめざしたもの、
選択肢が多くなってきました。
子どもの乗るシートの位置も、
近年は高いところにあるものも多くなってきましたね。

【北欧旅行記】
もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?
(ぼちぼち連載中)
これまでの記事はこちらから。
北欧旅行記1
https://note.mu/kazuefukui/n/n9e58c1f703cc
北欧旅行記2
https://note.mu/kazuefukui/n/n9ee6f2f99073
北欧旅行記3
https://note.mu/kazuefukui/n/n78f05ffff80c
北欧旅行記4
https://note.mu/kazuefukui/n/nf40c1cbb9775
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https://note.mu/kazuefukui/n/n3d71a4502d2c
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https://note.mu/kazuefukui/n/n65788f3afc6b
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https://note.mu/kazuefukui/n/n7636602ecba1


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https://note.mu/kazuefukui/n/na3e1f8f6b126
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https://note.mu/kazuefukui/n/nd8dc94d58185
北欧旅行記11
https://note.mu/kazuefukui/n/nbc200d2a3a38

書いてみたこと、発信してみたこと、 それが少しでもどこかで誰かの「なにか」になるならばありがたい限りです。