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【北欧旅行記10】大人の仮面を外す

翌日は、火曜日。
3人揃って女性博物館に行った。

扉をあけて「エクスキューズミー」と話しかける。
昨日のお姉さんはいなかった。

入場チケットを買おうとすると、
昨日とは違う受付のお姉さんが、私たちをじーっと見つめる。

やっぱりカタカナ英語だから通じなかったかな、と心配になった。

すると
「アンダー エイティーン?」

え?エイティーン?
18?
18歳以下なのかって?

3人とも30代。
さすがにそれはないだろう、と私たちは大笑いした。
「そう見える?」と聞くと、お姉さんは苦笑い。

大人3人分の入場券を購入して見学した。

疲れやすいユカちゃんは、女性博物館を見学したあと、
先にエグモントの宿舎に帰って休みたいと、バスに乗った。

それぞれのペースでそれぞれのやりたいことをする。

もともと仲良し3人組で旅行に来たわけではない。
3人とも、休み時間に連れ立ってトイレに行くタイプではなかった。

自分の体調や気分と相談しながら、
それぞれの旅行を楽しめばいい。

私とシーさんは、ユカちゃんを駅まで送った後、
二人で小さなテーマパークに行くことにした。

大きな公園を抜けたところに
オーフスの古い町並みを残しているテーマパークがあった。
テーマパークということで、大きなレジャー施設を想像したが
「テーマ」のある「パーク」なんだと思いを改めた。

古い町並みを残した公園の一角。
入場券売り場がある。

窓口には、年配の女性。
私達は「2人で入りたい」と伝えた。

すると、女性は
「アー ユー スチューデンッ?」

私とシーさんは、一瞬の沈黙の後、
声を揃えて
「イエスッ!」

一瞬の沈黙でテレパシーが通じた。

二人合意のもと、堂々と学生料金で入場した。

入場すると、すぐ目の前に馬がいた。
馬の後ろには馬車とおじさん。

せっかくだから乗ってみようと、
25クローネほど払い、乗ることにした。

おじさんに案内されたのは、馬車の後ろの部分。
馬に引っ張られている客車の部分だ。

でも、私たちは、客車ではなく、前に乗りたかった。
馬をあやつる御者の隣に乗ってみたかった。

「ここじゃなくて、そっちにのりたい!」

おじさんにそう告げると
「仕方ないなぁ」という顔をして、隣に乗せてくれた。

18歳以下で学生に見られることになれてきた私たちは、
子どものように振る舞えるようになってきていた。

やりたいことをやりたいという。

30代。
成人してから10年が過ぎ、職場でも「若い」という甘えが通じない年代。
ベテランとしての振る舞いも求められる歳。

日本では、「大人でいなきゃ」という意識が働いているのだろう。

たまにはこうやって大人の仮面を外せるのは心地いい。

【北欧旅行記】
もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?
(ぼちぼち連載中)
これまでの記事はこちらから。
北欧旅行記1
https://note.mu/kazuefukui/n/n9e58c1f703cc
北欧旅行記2
https://note.mu/kazuefukui/n/n9ee6f2f99073
北欧旅行記3
https://note.mu/kazuefukui/n/n78f05ffff80c
北欧旅行記4
https://note.mu/kazuefukui/n/nf40c1cbb9775
北欧旅行記5
https://note.mu/kazuefukui/n/n3d71a4502d2c
北欧旅行記6
https://note.mu/kazuefukui/n/n65788f3afc6b
北欧旅行記7
https://note.mu/kazuefukui/n/nc3d51d896472


北欧旅行8
https://note.mu/kazuefukui/n/n7636602ecba1


北欧旅行9
https://note.mu/kazuefukui/n/na3e1f8f6b126




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