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国境とか国籍の話

今後、国境とか国籍の役割が変わっていくだろうなーという話を書いてみます。

アジアでもこの20年くらいで格安航空会社LCCが増えて格安で飛行機を利用する人が激増しました。

海外移動が安く簡単にできるようになったことで、今後は生まれた国で一生過ごす人って減っていくと思います。もし生まれた場所、学ぶ場所、働く場所、老後を過ごす場所が国ごと変わる場合、国籍とか国境の役割とか意味も変わってくるのではないでしょうか。

日本人は内向きだと言われていますが、実は過去30年間で海外に住む日本人の数は倍になっています。

・海外在留邦人数推移

出典:外務省

平成の30年間で58万人から135万人に増えてます。

実際にベトナムに約10年住んでて感じるのは日本人はかなり増えたということです。

日本の外務省領事局政策課が発表した海外在留邦人実態調査(平成30年要約版)の結果によると、2017年10月1日時点でベトナムに在留している邦人数は、前年比+6.9%増の1万7266人だった。国・地域別ランキングで見ると、前年の17位から順位を1つ上げて16位に立っている。
在外公館別で見ると、在ホーチミン日本国総領事館が前年比+7.2%増の9464人で37位(前年37位)、在ベトナム日本国大使館が同+6.6%増の7802人で40位(同43位)となっている。
出典:VietJo

ベトナムの在留邦人数は2011年は9313人だったらしいので6年で約8000人ほど増えた計算です。今後はもっと増えるでしょう。

留学もアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアだけでなく、フィリピン・セブ島やフィジーなど行き先が多彩になったことで予算や目的に合わせて選択肢が広がった。小学生や中学生が夏休みに英語を勉強するためにフィリピンに親子で留学するケースも増えているようです。

日本人の留学生は短期留学も含めると増えている。また18才人口が減少しているので比較するために100人あたりの留学生数にすると明確に増えています。

出典:日本人の海外留学生は減少ではなく増加

内向きだと言われている日本人も若者は結構危機感を持っているってことなんじゃないでしょうか。さらに留学の選択肢が増えて手軽に留学できるようになったことも理由だと思います。

ビザがもっと手軽に取れるようになれば留学生数は更に増えるでしょう。なぜかと言うと、新興国や途上国の大学に行くより先進国の学校に子供行かせたいと願う親の数は多いから。高等教育のレベルはその国の経済レベルに比例します。発展途上国の大学のレベルは先進国よりも低いということです。途上国・新興国の親ほど子供を海外のレベルの高い大学に入れたがります。

海外の大学を卒業するとそのままその国で就職して働く留学生も多いです。
日本人でもアメリカの大学を卒業してそのままアメリカで就職を希望する人は多いでしょうが、日本にはまだ良い条件の仕事があるので帰国して就職する人も結構います。しかし、自国に良い条件の仕事が無い国の留学生は留学先が先進国の場合は就職希望者はより多くなります。

日本もこれからビザの取得が更に緩和されていくはずです。日本経済においてインバウンドが重要になってくれば外国人観光ビザ取得の規制緩和を進めてより多くの外国人訪日観光客を受け入れていくのは自然な流れです。

平成25年にはタイ人の観光ビザ免除が発表されました。

タイ国民に対するビザ免除
1.  本年の日・ASEAN友好協力40周年を契機として,我が国は,7月1日から,15日を超えない短期滞在での活動を目的とするタイ国民であって,IC一般旅券を所持する者に対して,ビザ免除措置を開始することとなりました。このビザ免除措置により,タイから日本への観光客の増加,ビジネス面での利便性の向上など,日・タイ間の交流が一層発展することが期待されます。
出典:外務省

そもそも世界中の大都市はどこも多種多様な国籍の人が住んで生活しています。東京や大阪もようやく他国の大都市のようにグローバルになってきたというだけです。

今後、日本の中小企業も含めてグローバル化していくと海外勤務・海外在住の日本人ももっと増えます。

EUでは移住が簡単なので周辺国に住むことはよくあるそうです。スイスは人口の10%に当たる約76万人のスイス人が国外に在住しています。韓国やフィリピンも10%以上の国民が海外で在住しているそうです。

今後は日本人も海外で生まれ育った人も増えてきます。子どもたちは現地の幼稚園や小中学校に通います。日本人向けの学校やインターナショナルスクールやローカル学校に行きます。こういう人たち子供の頃から色々な文化に触れて、色々な人が周りにいるのが当たり前になります。日本に対するこだわりもそれほど強くないかもしれません。

また、日本で生まれ育っても海外に留学する人ももっと増えると思います。多くの国籍の人たちとプロジェクトをする人材が求められるので、そのようなスキルを身につけるために海外で学んだり、インターンしたり、仕事する人が増えると思います。現に弊社にもインターンの希望者が問い合わせてくることは多いです。

社会が求めるスキルに対して感度が高く良い仕事を得るために何をするべきなのかを考えている若者は多いので、ここは更に増えていくと思います。

生まれた国、学校に行く国、仕事する国が複数あると自分のパスポートは日本だし、両親は日本人だけど日本に住んでた時期は短いという人も増えるでしょう。

南米や北米には日系人が200万人以上住んでいます。日系5世とか6世という人たちもいます。日本の移住が始まったのは150年くらい前で1970年代まで続いていました。日本語が話せる人も話せない人もいます。もちろん現地の人と結婚した親や祖父母がいる人も多いです。日本人は歴史的にみてもずっと島国に閉じこもっていたわけではないんです。

今後はハーフやクウォーターなど国籍MIXみたいな人が増えるでしょう。以前会ったフィリピン人は1/4中国人、1/8日本人、1/8スペイン人の血が混ざっていると言っていました。その人が日本人と結婚したら子供は9/16日本人、1/8中国人、1/16スペイン人のMIXのフィリピン人ということになります。これなんていうんでしょうか?こうなってくると誰もハーフとかクオーターとか気にしなくなると思います。計算もめんどくさいし、そもそもどうでも良いというw

ハーフやクオーターの人などMIXの人は親戚や知り合いが世界中に散らばっています。住む場所の選択肢も仕事の選択肢も増えます。人生の選択肢が増えることになります。これは人生にとってプラスだと思います。どこかで災害や紛争が起きたときに世界中に親戚がいたら避難させてもらうことができるかもしれません。

日本は江戸時代まで藩は一定の自立した政治・経済・社会のまとまりを持ち、小さな国家のように機能していました。江戸時代の人々は自分が生まれた藩で育ち、学び、働き、家庭を作って死ぬというのが当たり前でした。

そもそも勝手に旅行はできず日本各地に設置された関所を通るときは通行手形が必要になります。藩が半独立国的存在であったことを考えれば通行手形はいわばパスポートのような役割で海外に行くような感覚に近かったかもしれません。

日本は江戸時代から明治になる時に廃藩置県を行い日本は中央集権的統一国家になりました。その時に関所も廃止して移動や旅行を自由にできるようになりました。

今の日本人は自分の祖父母や曽祖父の生まれた出身地をよく知らない人もいるのではないでしょうか?我々の孫や曽孫は我々が日本人だということを覚えてないかもしれません。いや、気にしないと言った方が正確かもしれません。

日本人はすでに150年前に明治に移行する際に一度日本の中で藩のグローバル化という似たようなことを経験しているんです。

おそらく今回のグローバル化も日本人は上手くやることができると思います。

その時に国家と個人の関係は新しいものになるでしょう。
同時に企業と国家、企業と個人の関係も変化します。

今後は政治家や官僚が党益や省益ばかりを考えてまともな国家運営をしないのに税金ばかり上げるような国には見切りをつける人が増えるかもしれません。

今は政治家は地元への利益還元や老人優遇の政策をせざるを得ません。選挙に勝たなければならないからです。これは民主主義の一つの限界です。制度疲弊がおきています。

トランプのようにポピュリズムを上手く利用しながら選挙を戦う人が選挙に勝つようになってきています。トランプはポピュリズムの本質を見抜き上手く選挙制度やポピュリズムという仕組みをハックしたに過ぎません。そして民主主義はこういうテクニックがある人が勝つということです。やはり民主主義はオワコンな気がしますw

現代のように国をまたぐ移動が簡単にできる時代には人間は自分の生まれた場所ではなく合理的に自分にとって有利だと思う場所で生活するようになります。

このような時代に人種だ移民だという話を表面の制度だけをひっかき回しても本質的な議論ができません。

おそらくこれから生まれてくる人の殆どが国籍や人種を意識しないようになるのは間違いないと思います。

そういう時代に我々は生きているということを認識した上で、どのような社会になるんだろうか、そんな時代のプラットフォームってどんなものなんだろうか、世界を良くするためにはどのようなサービスがあればいいのだろうか、ということを一人ひとりが真剣に考える必要があるんじゃないかと思います。

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