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日本の移民について考える

特定技能の制度が日本で始まり、外国人労働者受け入れが拡大していくことが決まりました。島国国家の日本でもとうとう移民についての議論がなされるようになってきました。

政治的な記事を書くと批判があったりしてネガティブなことも多いのですが、多くの人に考えるきっかけになってもらえればと思い書くことにします。

まず、僕は日本が外国人労働者や移民を受け入れることについては条件付きで賛成です。日本の企業が多くの外国人を受け入れてその企業がグローバル化していくきっかけになってもらいたいと望んでいます。

日本は世界のどの国よりも早く少子高齢化の問題に直面しています。それは過去のNoteでも記事を書いてきました。

人口減少は日本にとってチャンスかもしれない

人口とは国力です。中国がアメリカに危機感を与える勢いで成長しているのもインドが急成長を見込まれているのも人口が多いという事実と切り離せません。

人口減少によって、国内市場縮小や労働力不足など様々な問題に日本は直面します。少ない若者が多くの高齢者を支える必要があり、医療費などの社会福祉コストが膨らみます。これで若者の収入が増えているのであればまだ議論の余地がありますが実際に起きていることはその逆で若者の収入は減っています。それでも歳入が増えていれば問題ありませんが、実際には毎年発行している国債は雪だるま式に増えています。

労働者の確保の観点でも国内市場の縮小の観点でも日本が今後、国家運営していくためには外国人をいかにスムーズに日本に受け入れていくのかという議論は避けて通れません。だからもっと議論して制度を固める必要があります。

しかしながら、現状はこれから起こるであろう問題を棚上げして労働者確保のみを急いでいるように感じます。制度を固めることと、外国人労働者を受け入れる組織の受け入れ体制などをしっかり準備していくことが重要です。

技能実習生制度は馴染みのない人は知らないかもしれないですが、上手く機能していません。百万円ほどを借金してブローカーに支払ったベトナム人が残業代も支払われない転職もできない過酷な労働環境で酷使されている状況をテレビで見たことがある人もいると思います。

今回新しく導入された特定技能は同業種に限って転職が可能となっており、送り出し機関や監理団体がないのでその点では改善されています。

強制送還の問題

外国人労働者を受け入れる際に起きることが予想される問題に対して対策をしておくことが重要です。そのうちの一つが強制送還の問題です。犯罪を犯したり、ビザが切れたのに滞在している外国人を強制的に帰国させる措置です。

日本は島国のため外国人を強制送還する際のコストが非常に高く、また簡単に強制送還できないという問題があります。

すでに退去強制令書が出されていてもなお日本で働き続けたい、住み続けたいという意図から送還を頑なに拒否している人が入国管理庁には収容されています。もちろん収容コストも強制送還コストも日本の税金から支払われています。

また、退去強制令書が出されている人の中には、持病を抱えていたり、素行が不良であったりと、問題がある人間も含まれています。そのような人の対応などで入国管理庁はかなり工数をとられています。

強制送還にはあたりまえですが、政府専用機を利用するわけに行かないので民間の航空会社を利用します。強制送還される人は一度本国に帰国させられたら原則として二度と日本に戻ることができないので、なんとか飛行機に乗るまいと抵抗する人がいます。暴れたり、発狂したりする人もいるので、それを抑えるために前後左右の座席を入管の職員が座って抑えているようですが、周りの乗客に迷惑がかかると判断された場合は航空会社の判断によって一度降ろされてしまいます。

たとえ飛行機を降ろされて再び入管に収容されることになったとしても、帰国するよりはましなのです。人生がかかっているので送還者も必死で抵抗します。日本から遠い国だと一人あたりの送還コストが数百万円かかることもあります。抵抗されて降ろされてしまうとそれも無駄になってしまいます。

コストの問題もあり、簡単に次々と送還できません。その間入管に収容しておかなければならないのですが、そのコストもすべて予算内でやりくりしなければなりません。

入管で収容中に病院に連れて行ってもらえなかったので死亡したというニュースがたまにありますが、これもかなりの人数を病院に連れて行っているとのこと。一時的に収容を解かれる仮放免という制度がありますが、それを狙って詐病を申し立てる外国人もいるため、詐病者と真の傷病者を合わせると、受診希望がかなり多くなり、結果としてすべての要望に応えることができずに死亡につながってしまうケースも稀にあるそうです。

受け入れるからには、問題を起こした場合の対応(費用負担や責任問題など)や法整備や各国とのルールを作りが必要です。

更にひどいケースですが、例えばイランは強制送還対象者でも本人に帰国意思が無いとイラン大使館がパスポート発行しないという問題があります。つまり、本人に帰国意思がない限りは強制送還できないのでたとえ犯罪者でも日本から出ていってもらう方法がありません。

入管にずっと収容しておくわけにもいかないので、たとえば重犯罪を犯して退去強制令書が出された者であったとしても、仮放免せざるを得ない状況です。

また、刑務所で収容されていても帰国すると言えば仮釈放されやすくなるという事実もあります。「帰国すると言えば仮釈放されやすくなる」という明文規定はありませんが、将来(出所後)の生活計画という点で、帰国すれば少なくとも日本における再犯の可能性がなくなる、という思考をもたらし、仮釈放の審査で有利に働いているのではないかと考えられます。

これらの情報もすでに不法滞在者の間では知れ渡っており「帰国する」と言って仮釈放をしてもらい、その後入管に身柄を移された後で「やはり気が変わって帰国しない」と言い出します。

本人に帰国意思がなければパスポートが発行されないイランの場合は、そのような者であっても送還する術がなく、いずれ仮放免することになり、結果として前科を有す不良外国人が外に放たれてしまうというケースがあります。

そのようなケースがある。今の制度を逆手に取って日本国民の安全性を脅かしている。という事実を認識し制度の穴を利用されないように改善する必要があると思っています。

刑事裁判も同様のことがおきています。外国人犯罪者が帰国すると言って執行猶予を勝ち取り、その後入管の手続では在留特別許可を求める事案が耐えません。

新在留資格、イラン除外=強制退去に協力せず-法務省法務省は、外国人の就労拡大に向け1日導入された新在留資格「特定技能」の付与対象について、イラン国籍を有する人を除外することを決め、同日付の官報で告示した。不法滞在などを理由に強制退去を命じたイラン人の引き取りにイラン政府が協力しないのが理由。新資格を付与すれば不法滞在などが増えるとの懸念がある。https://www.jiji.com/jc/article?k=2019040100937

どこの国も犯罪者を受け入れたくはありません。本人の帰国意思がなければ犯罪を犯した国で管理してください、というのは横暴だと言えます。

不法滞在などを理由に強制退去もままならないような現状をまずはしっかり認識し、必要なルールを決めるべきです。そもそも強制送還コストは各国政府が負担するべきです。

犯罪者や犯罪者予備軍などを受け入れない仕組みと犯罪者を送還する仕組み、入り口と出口の制度設計が重要で、そのコスト負担や国家の責任も決めておくべきです。

グローバル化が進めば世界中の優秀人材の獲得競争が進み、単純労働の労働者確保も世界中から行なわれるようになります。日本は彼らなしには世界と戦って行くどころか国家運営すらままならない状況になります。

なので、しっかり国民が理解し政府に制度設計をしてもらい、良い人材を集めて日本が再び強い国になれたら良いなと思っています。

ただ、これからは特定の国にずっと住むというよりは、生まれた国、育った国、学んだ国、就職した国、転職した国という具合に人生で様々な国に住むことが当たり前になります。今の日本では四国で生まれ、大阪の大学に行き東京で就職することが珍しくないように、それが国レベルに拡張されると思います。

これからは国家という枠組みの意味、果たす役割が変化していきます。それがグローバル化の本質です。海外に住んでいるとそれを肌で感じることができます。

GAFAM(Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft)などのグローバル企業はそれに気づいてます。次の時代の主役を狙っています。日本の企業はどうでしょうか?新しい変革の時代に対してグローバル戦略を打ち出せていない企業が多いように思います。

アジアはこの大きな流れの中心の一つです。世界人口の半分以上を抱え世界で最も成長している地域の一つです。そのアジアで随一の経済、技術、信頼、人材、インフラを持っているのが日本です。もし、日本の若者がこれらの強みを活かしてアジアでチャレンジをしたら大きなチャンスがあります。

移民制度について書いていましたが、結局最後は安定の「日本の若者よ海外に出ろ」となりました。そうです、僕が言いたいのはこれなのでブレていませんw

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