【ツイート転載】『AERA』2015年11月16日号特集「上流化する公務員」評

件の『AERA』2015年11月16日号購入。この木村幹氏のツイートで採り上げられている記事はpp.30-32。
https://twitter.com/kankimura/status/663932272664383488

なるほど確かにこの記事は「民間」を十把一絡げにして公務員が「優遇されている」と煽るような記事と言われても仕方が無いと思う。

だがこの記事の本丸は最初の「上流化」である。三浦展らカルチャースタディーズ研究所の調査で、消費も階層意識も公務員が「上流」化しているという。だがこのような調査(の引用)は、そもそも景気の影響を受けづらいとされる公務員の立場が、民間企業の労働者の総体的な貧困化によってもたらされているという認識はすっぽり抜け落ちている気がした。その点でも、やっぱり〈公務員〉への羨望を歪んだ形で煽る、公務員バッシングの一変種と言われても仕方が無いかもしれない。

ただ『AERA』は、公務員の「ブラック」な実態も採り上げており、その点が『AERA』のロスジェネ・メディア「らしさ」を醸し出している。その「らしさ」とは、政策提言や問題の解決より、「格差」の存在をアピールすることに重点を置くという方法。ロスジェネ系の論客やメディアはこの手法により伸張してきたが、それは(一部のはてブコメントに見られるように)対立のポリティクスを煽るものにしかなっていないと思う。その点ではこの『AERA』の公務員特集は「いかにもロスジェネ・メディアのやること」の一言に尽きる。

なおロスジェネ・メディアとしての『AERA』についてはこの同人誌の第11章も参照されたい。>『検証・格差論:2000年代の若年労働・経済言説を読み解く――平成日本若者論史Special2』http://www.amazon.co.jp/dp/B015RIE7XK/

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