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続・チームワーク考 【221021】

 「チーム」とか「チームワーク」と言った時に、私たちの頭に思い浮かぶその姿は、すでにteamとかteamwork と横文字で表記されたものとは「似て非なる」ものなのでは…と言うのが先日の話。

「日本型」チームの特徴

 日本型チームについて、もう少し考えてみたい。
 日本型チームの特徴は、親方、親分、家元と言った「権威」を纏い「権力」を有する個人を頂点に頂くピラミッド型の階層構造になっている…と言えないか。ここに伝統や伝承などの「時の経過」が加わることで、権威は一層固定化されて、やがて「〜道」と言うカタチに体系化されて行く。そして、日本の伝統文化と言われるものの多くがこの形態をとっている事は、このカタチが、実は私たちの社会に親和性が高く、座りが良いからなのだろう。

 医療現場に話を戻そう。

 明治維新以前の日本を振り返ってみれば、医学もまた、桂川家や多岐家などの「お家元」が仕切る世界であった。そこに新たに欧米から「西洋医学」がもたらされ、約150年の歴史を重ねて現在がある。流石に、今の医学会に「お家元」はない…と断言したい所だが、大分、影が薄くなったとはいえ、大学医局を中心とした構造(かつて医局とは、教授を頂点にした強力な階層組織であった)は、欧米伝来の医学がlocalize されて日本的な組織にフィットした結果と言えるのではないか。そう言えば、医師の行政処分を決める組織は「医道審議会」…そう、「医」もまた「道」なのである。

リーダーとリーダーシップ

 チームにはリーダーがいて、リーダーにはリーダーシップが求められる…と言うのも組織論的には常識だと思うが、この「リーダー」だって、Leader とは似て非なる存在である可能性が高いし、第一、近代的なチームにおいては、Leadership は権威勾配とは無縁のはずだが、日本型チームにおいては、それが無い事がむしろ例外ではないか。
 この様に考えてくると、もっぱら医師中心に組み立てられている日本の医療に、真の意味での「チーム医療」がそう簡単には根付きそうにない事が理解できる。

これからの医療とチームワーク

 これからの医療に必要なのは(…いや、本来「これから」なんて悠長な話じゃ困るのだが…)、様々な専門職がフラットな関係でつながるチームだろう。となると、その姿は、従来の日本型医療チームとは異なり、医師を頂点とした権威勾配とは無縁でなければならないし、医師の「権威」的なリーダーシップではなく、本来のマネジメント能力としてのリーダーシップが求められる事となる。「権威」抜きに、医師はリーダーシップを発揮することができる…だろうか。

医学教育を変えないと…

 このような「新しい形の医療チーム」を育てるためには、何よりもまず医師を、医学教育を変えなければならない。それに、医学教育以前に、入試成績偏重の医学部への選抜方法についても再考の必要がある。
 医師としての「プロフェッショナリズム」をどう育てるか、日本の医学教育の課題の一つとされているが、そこは私たちの社会がcontextの軛をどう逃れるかについての突っこんだ議論が必要だと思う。そして、それは医師会や専門団体だけに任せてはならないだろう…

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