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3-3 基本準備に取り掛かろう---留学に必要な試験・提出物3: 推薦状---アラフォーから始める留学

アメリカやヨーロッパの大学院は、基本的に筆記試験というものがありません。エッセイと推薦状だけです。前回紹介したGMATやGREなどは提出しなければなりませんが、お話したように過去5年で最高のスコアを出せばよいというものです。なので、入学志望者が会場に集って一斉に一発勝負をやる、というものではありません。
ちなみに、入学後の中間テストや期末テストなどはありますが、先生によってはペーパーテストを課さない(プレゼンやレポート提出だけ)という場合もあります。個人的には僕はこっちのほうが好きです。あの、一斉に大勢でやる入試の空気感は懐かしいですが、二度とやりたくありませんね(笑)。ともあれ、推薦状とエッセイについて。

1. 推薦状とは

欧米では、大学院に限らず、就職でもなんでも推薦状が強力に効きます。ていうか必要です。アカデミカの世界ではRecommendation Letter, ビジネスの世界ではCover Letterと言われ、転職するときに誰かに「こいつは仕事できるぜ」と後ろ盾してもらうわけです。大学入試ももちろん同様で、学校の先生なんかに書いてもらうのが一般的です。そして、大抵「2人」からの推薦を要求されます。
この推薦状、昔は様式がフリーだったので、留学経験者や教授など推薦状文化に慣れてる人じゃないと何を書いていいか解らないので、断られてしまったり、自分でドラフト書いて「こんなことを書いていただけませんか?」とお願いしに行かねばなりませんでした。
でも、今はデジタルの時代。下記のようなPDFフォームが各大学にありまして、これを埋めてもらう形で推薦者に推薦状を書いてもらうことになります。(下記は僕の行ってたNYU SPSのサンプルです)

ちなみに、今どきはオンラインフォームに推薦者候補のメールアドレスや名前を登録し、そこから直接「NYU入学志望者のKazuからの推薦状依頼のメールです」という感じのメールを送信出来、推薦状の返信が確認されたらCompleteと表示されるようになります。便利ですねー。

もちろん文書でやってもらうことも可能ですが、推薦者が「自分で封緘したもの」を「開封せずに」届ける必要があります。要は改ざん防止であり、捏造防止です。例えば、自分で勝手にオバマからの推薦状を捏造することも可能なわけで(たぶんバレるが)、これを防止するための伝統ですね。

2. 誰に書いてもらおうか

さて、誰から貰えばいいのでしょう?しかも2人。ちなみに、肉親や血縁関係者は推薦状を書いちゃいけないことになっています。

最も一般的な一人目は、大学の教授などアカデミカ関係者です。権威がある教授ならそりゃあ効果は大きいですが、普通に、自分が言ってた大学の担当教官やゼミの教授にお願いするのが普通です。ただ、不良学生だった場合、断られるかもしれませんね。。。

もう一通は、社会人なら会社関係者、となります。上司とか社長とか。健全に仕事をしていたあなたならもらえるでしょう。ただ、日本企業の場合、「留学するので推薦状書いて下さい!」なんていうと、「まじか!会社やめるのか!そんなら書かない!」ともなりかねません。僕の場合、一通は社長に書いてもらいました。留学経験者なので勝手もご存知で、快く引き受けてくださいました。退職宣言に等しいのに、ほんとありがとうございました。

そんな感じで教授も上司もだめな場合、下記の選択肢があります。

まず、会社以外の所属団体の代表者や仲間。
実はこれ、会社の上司よりも効果絶大な場合が多いでのす。欧米のキャリアはボランティアや活動団体での参加履歴を非常に重要視します。所属する会社や学校「以外」の非営利組織で社会に貢献していることは非常に重要なポイントになります。なので、アメリカの学生は若い頃からボランティアに参加してその「履歴づくり」をするのです。で、ちゃんと活動してれば、大抵コミュニティリーダーは快く一筆書いてくれます。社会人の場合は、ボランティアに加えて、技術交流団体や協会なんかでの活動がこれに当たります。僕の場合は、I-COMという国際カンファレンスに参加していたので、そこのチェアマンに一通書いてもらいました。

最後の手段が、同僚、友人です。
もし、同僚・友人が自分の会社の上司だったり、大企業の管理職だったり、素敵なアントレプレナーだったり、大学教授だったら何の問題もございません。でも、そんなにうまいこといかない、という場合は、もう、あなたが信頼できる友達ならば誰でも良いと思います。ただし英語が分かる人ね。

3.推薦状が持つ合格へのパワー

推薦状の良し悪しは、入学審査の中でも結構なパワーを持っています。学校によりますが、エッセイと同じくらい重要視されるかもしれません。(GPAやTOEFLなどのスコアは当落線に並んだときに使われることが多い、らしい)。で、その推薦状の善し悪しを決めるのは、推薦者の社会的権威です。感じ悪い気もしますが、世界のどこの馬の骨だかわからない人を信頼するためには、肩書やステイタスというのは非常に大事である、という海外での真理がここにあります。欧米の学生は、幼い頃からその重要性を叩き込まれているので、いい推薦状を貰えるように子供の頃から意識して外部活動の実績を積み上げているのです。
我々日本人はあまりこういう「推薦状候補者ストック」を持っていないと思います。

なので、作って下さい。今からでも遅くはありません。留学を志すなら、強い推薦状を揃えないといけません。そのために、ボランティアに参加したり、できれば国際団体に参加し、さらにできれば活躍してください。偽善でも何でもありません。入学するための戦略であり、かつ、自分が「馬の骨」でないことを証明するために必要なことだと理解して下さい。

世界に出れば、日本人であることで権利はほとんど得られません。「お前は何者か?」を強く問われ、自問自答することになるでしょう。留学を志すなら、いいトレーニングだと思って推薦状獲得活動を始めてみて下さい。



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