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3-2 基本準備に取り掛かろう---留学に必要な試験・提出物2: GMAT/GRE/GPA---アラフォーから始める留学

1. GMAT

GMATとはGraduate Management Admission Testの略で学力審査のテストです。MBAを受験する場合、ほぼ100%このスコアが必要です。一方で、MBA以外の大学院の場合は後述のGREというものが一般的です。たまにGMATがいらないMBAもありますが、ろくなもんじゃないので(アメリカでは宗教系大学の洗脳プログラムみたいなところがありますw)、絶対にやめといたほうがいいです。基本的に論理思考力を試すテストで、TOEFL同様、現在はコンピュータで行われます。Verbal(英語)、Quantitative(代数)、AWA(ライティング)の3つで構成されています。VerbalとQuantitativeは60点満点、AWAは6.0点満点で、総合点は200〜800点の偏差値計算で算出されます。

Harvard Business Schoolなどのトップクラスに成ると、合格者の中央値は730点。我がNYUのStern Schoolは中央値が710点(いずれも2016シーズン)です。それなりに名の知れた大学であれば、700点ぐらいが合格基準値に成るでしょう。たまに、600点切っても入れる強者がいますが、これは大抵富豪や政治家の息子か、異常に優秀なエッセイを書けているかなどのレアケースですから、素直に700超えを目指して勉強しましょう。一方、トップスクールから多少ランクを落とすと、600点前後でも合格者平均の中に入ります。まあ、スコアが低くてもアプライ(申し込み)は出来るので、スコアが出た後は運を点に任せるしかありません。過去5年間のベストスコアを使って申請できるのですが、12ヶ月間に5回以上は受けられません。そして、これも4時間の長丁場で、かなりきついです。TOEFLと同じように、まず受けて雰囲気や問題に慣れること。それから、複数年かけてスコアアップの戦略を立てていきましょう。こちらも受験1回につき$250もかかります。

GMAT公式サイト

2. GRE

MBAを狙わない場合、この試験スコアが一般的に求められます。Graduate Record Examinationの略でTOEFLと同じETSという団体が管轄しています。英作文能力(Analytical Writing)、言語能力(Verbal Reasoning)、数学能力(Math Reasoning)の3項目からなり、GMATと構成は基本的に同じと言っていいでしょう。試験方法はオンラインによるパソコン受験で、Writing 6点、Verbal, Mathがそれぞれ170点満点。Writingは30分×2問で、文章読解後の分析論述と、お題に対して自分の意見を述べる小論文形式。Verbalは長文読解と、文章中の単語を穴埋めする虫食い問題が1から2問を各30分。Mathは大設問が2から3問で各45分。内容は文章問題と図形問題、そして計算問題です。ちなみにMathは内容的には中学もしくは高1レベルですね。進学校に通った人なら問題ないです。問題なのは全部英語だということです(苦)。また、General TestとSubject Testという種類があって、文系だとGeneral、理系だとSubjectの方を求められるようです。違いは、Subjectの方が物理や数学の高等レベルの問題と用語が出てきます。

NYU Stern Schoolの合格者のGREスコア平均はVerbalとMath合計326-330あたり。Writingは5あたりです。つまり、9割ぐらいとっとけ、ということです。ちょっとビビりますが、内容的には勉強すれば難しくありません。ただし、全問英語だということがネックなのです。何度もいいますが(笑)。

GMATと同様に過去5年のハイスコアを提出でき、年間受験制限は5回まで。受験料は1回$185です。

GRE公式サイト

3. GREとGMATって何が違うの?

非常に簡単に言うと、GMATがMBA専用で、GREがその他です。NYU Sternもそうですが、Harvard、MIT、Stanfordなどの名門はGMATもGREも「両方」のスコア提出が要求されます。最近多くのMBAはGMATだけで良くなってきていますが、意中の大学をチェックしておいてください。MBA以外の学校でGMATを要求されることは滅多にありません。大抵GREです。ちなみに僕は一度GREを受けて、280点ぐらいでした。問題集買って頑張ればなんとかなります。GMATよりGREのほうが楽な気はしますね。あくまで個人的な感想ですが。

4.GREやGMATがいらない学校はあるのか?

英語で授業を受けるのでTOEFLはしょうがないとしても、GMATやGREを回避できる大学はないものか。長期で勉強にコミットが難しいアラフォーなら考えたくなりますね。答えから言うと、あります。僕の通っている学部がそれです。NYUではSchool of Professional(SPS)と呼んでいます。HarvardではContinual Studyとか言います。要は社会人用の学部です。正確に言うと、GRE/GMATは「任意」です。社会人経験のある人は、そのキャリア(仕事や任意団体での活動、学術活動など)をレジュメとして提出し、これが審査対象になります。GREやGMATは推奨されますが、必須ではありません。エントリー時にGRE/GMATはoptionalとされています。ただ、社会人経験少なめ(もしくは無い)若者は、審査プロセスが進んだあとで「あんたエビデンス足んないから、出せ」となります。つまり、若者にとっては普通に大学院に入るのと同じですが、キャリアを積んだ社会人には提出スべきテストに減免措置があるのです。僕の場合、最後までGRE/GMATは要求されませんでした。持ちスコアGRE280は出さずにエントリー完了です。まあ、結構ギャンブルだったと思うので、出せるなら出したほうがいいと思いますが、GRE300くらいはとっておかないと逆にレジュメが良くても足を引っ張るかもしれません。

5. GPAスコア

以前の項でも書きましたが、GPAとは大学での成績平均のことでGrade Point Averageの略です。これを文書にしたものが成績証明書で、Transcriptと呼ばれます。大学院受験にあたって、この提出は必須です。米国もしくは欧州圏の四年生学部を卒業していれば、データベースが共有されているので、オンラインで申告したGPAが本当かどうか、希望大学側で裏を取ってくれます。が、日本などはこれにつながっていないので、Transcriptを学校から取り寄せて、郵送しなければなりません。

ちなみに、計算式はA=4, B=3, C=2という成績点が基準となります。そして、各スコアに単位数をかけて合計点を出し、最後に合計点を総単位数で割り戻します。つまり、

「(成績点×その授業の単位数)をとった授業全て足しあげ 」÷総単位数

となります。フルブライト奨学会のこのページに詳しく書いてあります。以前のブログでも書きましたが、僕は結構AやBをとっていたつもりでしたが、結果GPAは3.0でした。その理由は、2単位教科にAが多く、4単位教科でCを結構とっていたからです。4単位教科でAを取れば、4 x 4 =16点ですが、Cだと2 x4で8点と半分にしかなりません。これは結構デカイのです。

アメリカの大学でよく、コミュニティ・カレッジと呼ばれる短大に入ってから名門に転籍するケースが有るのですが、これはGPAを上げる戦略でもあります。高校時代から超優秀というわけでもない場合、比較的簡単な大学でAを稼ぎまくってGPAを上げるのです(もちろん、サボって結局ダメになる人もかなりの数いますけど)。

僕の入ったSPSはGPA「最低」3.0が要求されるので、超ギリギリでした(下でも足切られることはないが、他の申請資料がかなり優れてないと結構リスク)。アラフォーの場合、今更過去を変えられないし、かなりの確率で大学時代遊んでたと思いますので、ここは冷や汗もんです。ともあれ、一回母校から成績証明を取り寄せてみましょう。あまりに低かった場合は、大学のレベルを下げるか、他の書類を頑張るかという戦略変更をしなければなりません。

もしタイムマシンがあったら、「お前、死んでも4単位でCとるなよ!」と自分に蹴りを入れに行くでしょう(苦笑)。


というわけで、試験やスコアの類はこれで終わりです。次回は、推薦状やエッセイについて。


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