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デュアルキャリアとは?なぜ今デュアルキャリアが注目されるのか?

「デュアルキャリア」という言葉をご存知ですか?
デュアルキャリアの概念は、一般的には「複業」「パラレルキャリア」などと呼ばれることが多く、デュアルキャリアはスポーツ界において提言されたことから次第に広まっていったものと思われます。

私は2006年、23歳〜個人事業で「プロボクサー」「パーソナルトレーナー」を、26歳で起業して32歳まで「プロボクサー」「会社経営」2つのキャリアを同時並行で行ってきました。(現在は競技引退、会社経営は11期目)

まだデュアルキャリアの概念が世間で唱えられる前から、肌感覚でデュアルキャリアの必要性を感じ、このような働き方をしていたことになります。
もちろん本質的にスゴいことを全力で成し遂げようとする「アスリート」という職業なら、1つに集中しろよ論も理解できますし、視野が狭くなるのは仕方ない部分もあります。
ただ私みたくマイナー競技選手の場合、どのみちアルバイトなど別の仕事で生計を立てなければいけません。
選手寿命が短く、世界一になっても引退後はもちろん現役世界王者でも競技のみでは生活できない選手もいる”食えないスポーツ”をやっていたからこそ、デュアルキャリアを実践することは個人的にはあたりまえの感覚だったのです。

デュアルキャリアとは?

平成26年発表の文部科学省 独立行政法人 日本スポーツ振興センターのレポート「デュアルキャリアに関する調査研究」によると、デュアルキャリアの概念を示す以下の記載があります。

平成19(2007)年頃には、従来スポーツ政策の中で使用していた「セカンドキャリア」という文言が、アスリート及び関係者が現役中から引退後に備えるという「複線型」のアプローチへの弊害となっていることが指摘され始めた。(中略)「競技生活を送っている時期はアスリートとして、引退後は別のキャリアという「単一路線型」の捉え方ではなく、アスリートとしてのキャリアとその後のキャリアの両者を、アスリートの時期に準備・支援するという 「二重路線型」の捉え方(ダブルキャリア)」の必要性を示した。

つまり、アスリートが現役生活を全うした後に次のキャリアに向けて動くなんて遅いかもね、現役中からセカンドキャリアにも意識向けて準備しようよ。ということを10年以上前に国が提言してるのです。
この段階ではまだ「デュアルキャリア」という言葉は使われていないのですが、アスリートが20代〜30代半ばくらいの貴重な時期を競技に費やすことを考えると、現役中から競技以外の2つ目の軸をもつことがセカンドキャリアをスムーズにすることを示唆しています。
「デュアルキャリア」は世界共通の定義がないので、捉え方は国によってもちがうらしく、おおよそ2つ以上の軸をもつ「複業」の概念がそれをさしているといえそうです。

副業と複業の違い

「デュアルキャリア」は「複業」と同義です。
ん?でも「副業」は知ってるけど「複業」なんて聞いたことないぞ?
そんな方もまだまだ多いのではないでしょうか。
「複業」が注目され始めたのは、実はまだ最近のこと。

「副業」と「複業」
この2つ、どちらも読みは同じ「ふくぎょう」ですが、異なる概念として使われることが多いのです。

・副業とは?
副業とは、本業以外の仕事で収入を得ること。アルバイトや内職などがこれにあたり、主に本業以外の時間で、本業収入に加えて+αで収入を補いたい場合に使われます。
「副業解禁」がメディアでも頻繁に登場するようになってきたように、実は厚生労働省が定める「モデル就業規則」にも副業は「原則禁止」と記載がありました。
しかし時代の変化をうけて、2018年1月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を制定、「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除しています。

・複業とは?
複業とは、本業を複数持つような働き方を指します。
本業+αの収入を得ることが目的の「副業」とは異なり、基準を収入に置かずライフスタイルとして取り組みたい仕事を複数もつイメージです。
収入を基準にしないので、全てやりがいをもてることと捉えても良いでしょう。本人にとっては全てが本業なのです。

アスリートの場合、競技を本業とするのはもちろんですが、2つ目の軸とする仕事をどう捉えるかが「複業」と「副業」の違いになるのだと思います。
私のように競技だけで食えないアスリートの場合、選手生活を続けるために”食いぶち”としてアルバイトをするケースが多いですが、この場合は「副業」ととらえられます。
しかし、私は「パーソナルトレーナー」という2つ目の軸を、やりがいだけでなく競技にも活かし、相乗効果で両方の成績を伸ばしていきました。まさに2軸を掛け合わせて自分の価値を高めることでライフスタイルにすることができました。これは「複業」といえると思います。

「単一路線型」キャリアの弊害とデュアルキャリアの必要性


「デュアルキャリアに関する調査研究」によるデュアルキャリア支援の必要性の根拠となった課題は以下の5つ。
① 教育とスポーツのバランス
② アスリートの社会性やモラルの欠如
③ 引退後の労働市場への移行
④ トップレベルで活躍できる選手はごく僅か
⑤ スポーツ以外の目標

これがセカンドキャリアで問題視されることであり、かなり的を射ていると思います。
①②は親の教育や環境もあるのでここでは追求しませんが、労働市場へのスムーズな移行ができないことはセカンドキャリアの第一課題ですし、いざセカンドキャリアで仕事についても刺激が足りず目標がもてない魂の抜けた人もたくさん見てきました。

そして「トップレベルで活躍できる選手はごく僅か」これは、まちがいない事実です。報酬面でいえば特に。

「エリートスポーツキャリアを終えた後、自身のスポーツの功績(広告塔や名声等) で働かなくても生活を築いていけるアスリートは、全体の3%しかいない」-デュアルキャリアに関する調査研究

アスリートは引退とともに影響力が目減りし、やがてそれだけでは生活すらできなくなります。
つまりエリートスポーツキャリアを歩んだアスリートですら残り97%は必ずセカンドキャリアがきます。無名・マイナー選手と言われるようなマス層のアスリートも含めると0.1%にも満たない確率になってくるでしょうから、ファーストキャリアの貯金(お金・スキルなど)でやれる前提でいること自体が雲をつかむような話です。

それにも関わらず、ファーストキャリアは競技1本、30代も半ばになって引退し、いざ一般企業へ就職というセカンドキャリアを歩もうと思うと、ビジネススキルや経験のないアスリートのハードルはかなり高くなります。

・ビジネス研修、経験をしたことがない
・競技という村社会でのコミュニケーションしかとれてない
・ビジネス未経験でも雇用される”新卒”というボーナスタイムを過ぎてしまっている
・「競技の成功体験」をビジネスに引きずりがち

などなど、アスリートがいざセカンドキャリアを迎えると、目の前には様々な課題が立ちはだかります。

これら課題をまるっと解決する可能性を秘めてるのが「デュアルキャリア」
スポンサーや広告塔に頼らず、ビジネスの世界に身を投じれば実力がつきます。
アスリートとして培ったポテンシャルをもって、早い段階からビジネス経験を積めば、セカンドキャリアを迎えた時の可能性は広がるはずなのです。

ですから、スポンサーから給料がでる恵まれた環境であったとしても、必ず休養などの余白時間には、最低限学ぶことをおすすめします。できればなんらかビジネスを経験したい。
キャリアが長ければ長いほど、セカンドキャリアのスタート地点は後ろからになるのですから。


デュアルキャリア向きの職種・業界

アスリートだと、遠征や試合のコンディション調整など年間スケジュールがバラバラなので、職場の理解がない限りなかなか週5勤務の正社員契約は難しいところがあります。
現実的にはやはりフリーランスの多い業界が向いているといえるでしょう。
週休3日制をとり入れている会社も出てきてはいますが、まだ一般的に浸透しているとはいえません。
成果報酬で自由に時間がコントロールできたり、プロジェクトベースで活動できるフリーランスのがデュアルキャリアは向いているといえます。
私が思うアスリートが掛けあわせられるデュアルキャリア向きの業界は、下記の3つ。

① 起業家(業界問わず)
② パーソナルトレーナー
③ WEB関連職(プログラマー、デザイナー、ブロガーなど)

【特徴】
・フリーランスが多い業界
・学びが競技に活かせる
・商材は自分、資本不要なのに粗利高い
・信頼×営業力で決まるので学歴不要
・小資本で起業もできる

私は、②パーソナルトレーナー で ①起業 したので、
アスリート×起業にはこんなメリットあるよ!というのはおいておきます。


なぜ今デュアルキャリアが注目されるのか?

先日、経団連・中西宏明会長が「企業が終身雇用を続けるのは難しい」「人生100年時代に1つの会社で働き続ける考えからみんな変わってきてる」「一括採用や非正規との待遇差の雇用システムの是正」というニュアンスの発言をされていました。
世の中の流れを考えても、1つのスキルをもって会社で長く勤め続けさえいれば、1つの企業で一生涯勤め、退職金と年金で優雅な老後を過ごせる時代は終わったのは、火を見るよりも明らかです。

かつて日本の高度経済成長が、発展途上国の経済発展モデルになったように
いま少子高齢先進国の日本は、世界の少子高齢化問題のロールモデルを作ると期待されています。
アスリートのセカンドキャリアは一般社会の戦力外と比べるとセカンドキャリア課題直面の時期が圧倒的に早いですから、もしかしたらアスリートが人生100年時代のセカンドキャリア問題のロールモデルになるかもしれません。
「デュアルキャリア」の概念は、アスリートだけでなく、人生100年時代に生きる全ての人々にとって、大切な考え方になるのではないでしょうか。
私はその課題解決にものすごい価値と可能性を感じているから、セカンドキャリアについてのTipsを発信して啓蒙しつづけているのです。

とまぁ、つらつらと真面目に書いてきましたが、かくいう私は、
「むずかしいこと考えず、本業をいくつもふやして人生楽めばいいじゃん」
「みんなが遊んでるみたいな働き方ができれば最高じゃん」
って思って、思いっきりボクシングやりきって、パーソナルトレーナーして、起業してきただけなんですけども...笑

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