福島住み込みバイトひとり暮らし〜ゲストハウスの管理人〜

実は今年の3月から福島県で住み込みバイトをしながら暮らしています。

遡ること昨年末から今年のはじめのこと。
就活をしていましたが、見事にどこの会社にも受かりませんでした。
かといって写真家として食べていけるほど知名度もないですし、病院の先生からは「まぁ、あなたの病気は今どきガンより突然死の可能性がありますからね」と言われたので、これはもういよいよ自分の人生の諦めどきかなと思いました。
どうせなら自分の好きな場所で働きたいなーと検索していたところ、福島県富岡町のホテルで求人をしていました。
ダメ元で住み込みバイトを提案したところ、社長から「いいよ」と返事をいただきました。

さて、住み込みを提案するくらいなので、このホテルの社長とは初対面ではありません。
私が社長と出会ったのは、もう10年以上前。
あれは私が何者でもなかった頃(今も収入と知名度という意味では何者にもなれてませんが)、私は福島の状況を知りたくて博多から青春18切符で久之浜までやってきました。
そこで偶然出会ったのが、社長でした。
社長は車で色々な場所を案内してくれ、色々な状況を教えて下さいました。
2014年も私は福島にやってきました。
その時もまた社長は私を車で案内してくれました。当時許可証を持った住民しか入れなかった富岡町を案内してくれ、色々な場所を見せてくれました。
その当時の富岡町はたしか除染がまだ始まっていなかったように思います。
ホテルは営業はおろか、中に入れる状況ですらありませんでした。

ホテルの隣にはゲストハウスがあります。今はゲストハウスになっているこの家は社長のご実家だったもの。

今はきれいになっていますが、2014年私がはじめて来た時は、2011年3月11日のまま時が止まっていました。
地震で棚の中のものが床中に散乱し、ねずみが住み着いていていました。床中にねずみの糞が散らばっていて、家の中は刺激臭に溢れていました。カレンダーも2011年3月のままだったのは記憶に新しいです。
そんな家だったのが、今やきれいになってゲストハウスとして運営されている。
それだけで私はとても嬉しいです。
私は今このゲストハウスの管理人をしながらホテルとゲストハウスで働き、休日は福島の写真を撮っています。

この記事を書いている日曜日は、お客様が少ない日。
宿泊業としては恥ずかしい限りですが、観光地もない、遊ぶところも震災で無くなったこの町に訪れるのは今は観光客より復興に携わる作業員の皆さんです。
それゆえ、平日は来客でにぎわい、逆に休日は人が減ってしまいます。
そんな日曜日の私の楽しみは、フロントの窓磨きとソファー磨きです。
作業員の皆さんはお仕事終わりは服が汚れています。両手に荷物を持ったまま体でドアを開けるので、フロントの窓が汚れてしまうのです。
これはとてもありがたいことです。
こうやって砂埃にまみれて尽力してくださる人たちがいるおかげで、町が少しずつ復興していっています。
次の月曜日からも気持ちよくホテルに帰ってきてもらおう、と思いながら日曜日に普段できないところまでお掃除をさせてもらっています。

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