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白うさぎから、ちなじゅん(波上宮あたり)

沖縄・那覇
沖縄2日目、朝6時過ぎ。
前日の夜は、カポエイラのJoga comigo in Okinawaと打ち上げがあり、ホテルに戻ったのが深夜1時頃だったので、さすがに眠くて頭がぼおっとする。
ホテルの窓のカーテンを開ける。
見えるのは駐車場らしき建物や民家だけで、特に沖縄らしい景色という訳ではないが、強い朝日に照らされる様子は南国の朝を感じさせる。

ホテルのフロントでタクシーを呼んでもらった。

「波上宮(なみのうえぐう)までお願いします。」

前日に「アポ無し」で会えたユタさんに朝8時に予約を入れてあるのだが、白うさぎから

「出来たらユタさんに会う前に波の上神社(波上宮)で気持ちを整えてから行くといいと思いますよ」

とアドバイスを貰っていたので、波上宮に寄ってからユタさんに会いに行くことにした。
波上宮は那覇市内の海に迫り出した崖の上にある神社だ。

個人的には神社やお寺にお詣りに行くことは滅多にない。その土地の者でもなく且つあまり信仰心もないのにこちらの都合で一方的に足を踏み入れることに何となく躊躇いを感じてしまうのだが、今回はせっかくの機会なのでお詣りしてみることにした。
するとここでもまた不思議な偶然に遭遇する。

タクシー運転手
「波上宮ですね。私、波上宮のすぐ近くに住んでいるんですよ。子供の頃は境内でよく遊んでいましたよ。」

ホテルのフロントにタクシーを頼んだ時には行き先は特に伝えていない。それにも関わらず呼んでもらったタクシーの運転手さんがたまたま波上宮の近所で育ちいまも近所に住んでいるという不思議な偶然。
白うさぎのスイッチがまたオンになっているのだろうか、そしてリモートでも機能するんだな、と思ったら何だか可笑しかった。

波上宮はとても沖縄っぽさを感じさせる神社だった。南国の植物が生い茂る境内に朱塗りの柱と朱と白の瓦の本殿。更には神社の崖の下には海水浴が出来るビーチまであるらしい。
少しの間、境内で朝の清らかな静けさ、風に揺れる草木の音、鳥のさえずり、蝉の声、神職が竹箒でザッザッと参道を掃く音を聞いていたら朝起きてからここに来るまでの忙しなさが少し落ち着いた。

波上宮からユタさんのお店までは徒歩15分位だった。

ユタさんのお店の佇まいは、モノトーンで、渋いカフェかジャズバーのようだ。店先に小さな「占」の一文字の看板が出ていた。

お店の引戸を引く。
昨日と同じく暗い店内の奥で瞳が鋭く光った。

カーテンに仕切られた小部屋に案内される。
初めての場所は緊張して落ち着かない。
そう思いながらも、部屋の中を舐めるように観察するのが私の癖だ。
鼻先をひくつかせながら匂いや香りを、指先を滑らせながらテーブルとソファの質感と温度を、落ち着きなく目を泳がせながら天井や壁や装飾を確かめる。
そして一番重要なのは音、だ。
耳を澄ませて聞こえてくる音を確かめる。

静寂。

良かった。苦手な音や音楽が聞こえるともともと低めの集中力がさらに低下する。

アイスティーをいただきながら、ユタさんと話すのは心地良かった。

今更だが、正直、占いは苦手だ。
もともと話好きな方ではないし、ましてや自分の悩みを人に話すなんてそれ自体が苦行のように感じるし、悩んでいることを相手に伝わるようになんて話せない。

でも、ユタさんは
「細かいことは話さなくてもいいから、辛いときは、辛い、辛かった、とそれだけでも言葉に出してみて。」と言う。

思いを心に押し留めたままにしないで。
苦しくなるから。
思いを言葉にしてみて。
言葉にしてみると楽になるから。
言葉にすると実現するから。

ユタさんとは1時間くらい話をした。
ユタさんと話をしたら、ここ1年くらいの間ずっと感じていた嫌な違和感の正体が分かった気がした。

話し終わった後もたわいもない話をしながら、白うさぎとヒロコさんが迎えに来てくれるのを待たせて貰った。初めて会ったのに、初めての場所なのに、とても心が落ち着いた。

今日もユタさんは静かに穏やかに那覇のお店にいるだろう。瞳の奥に鋭い光を放ちながら可愛い2匹の「猫」と共に。

白うさぎとヒロコさんが車で迎えに来てくれた。
そして白うさぎとユタさんのエネルギーが絡み合ったのか、導かれるようにある島に渡った。

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