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プロダクトマネージャーとキャリアの話

ここまでのあらすじ

というわけで、Product Manager Advent Calendar 2018の7日目の記事です。

見ての通り@mizuki_tannoさんに脅されてエントリーしたので今度メルカリさんのオフィスに見学に行かせてもらったりするくらいの特典はあってもいいと思います。

自己紹介

LINE株式会社でLINEの企画・PMを担当している入江です。
先日PM Conferenceで話した内容についてTogetterやCAREER HACKさんの記事でいい感じにまとめていただいたので興味があればご覧ください。
興味なかったら今回のエントリーの内容とはあんまり関係ないので飛ばして大丈夫です。

プロダクトマネージャーとキャリアの話

イキったタイトルで自分の首を締めてる感じが半端ないですね。

先日登壇させていただいたProduct Manager Conferenceが今年で3年目になることもありますし、以前と比べてプロダクトマネージャーという職種自体への共通認識みたいなものが一般化されてきたように思います。
(以前に比べれば)

とは言っても実際のところ会社によって定義や担当範囲が微妙に異なるのが実態だと思っていて、指し示す範囲の広い言葉でもあると思うので、この記事で触れるのは私が語れる範囲、具体的にはWeb・モバイル・アプリ等の領域で企画職とかディレクターとかそういう職種名で呼ばれている人たち全般のことと思って読んでいただければ幸いです。

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つい10数年前を思い返してみると、似たような役割はあったと思いますが、まだプロダクトマネージャーという職種で呼ばれることはなかったように思います。(Google社さんとかにはあったのかも)

当時もインターネットは利用されていましたが、iOSもAndroidもなかったし、モバイルではガラケーとi-modeの時代でした。
タッチパネルで操作するモバイルデバイスもなければWi-Fi対応した機種もない、パケ死(死語)するから今ほど豪快にネットワーク通信もできなかったり、Javaアプリのサイズ一番大きくてもリソースファイル合わせて2MBとかでした。
当然今のようなタッチパネル操作を前提としたUIを描く人もいなかったわけで、仮に当時プロダクトマネージャーと呼ばれる職種があったとしても、今とは求められる知識やノウハウがだいぶ異なっていたんじゃないかと思います。
LINEもまだ無かったし皆デコメ送ってましたよね。

いきなりモバイルインターネット老人会みたいな話から始まって何なんだという感じなんですが、この業界で10年とかそこらの年月が経つと、もしかすると今ある職種が存在しなくなったり、あるいは求められる知識・常識が全く違うものになってしまう可能性があるということが伝えたかったわけですね。

では果たして、10年ちょっと前はまだ存在しなかった上に、目まぐるしく移り変わっていくこの業界において、プロダクトマネージャーというのは短命でキャリアプランが描けないロールなのでしょうか。

プロダクトマネージャーに求められるスキルセットの話

いくつかあると思うのですが、私が考えてることを言語化すると以下のような感じです。

1.担当プロダクトのドメイン知識
2.物事を前に進めていく推進力
3.他の人と差別化されたその人独自の強み

1つめは担当プロダクトのドメイン知識です。
私の場合はLINEの機能や歴史、それに関連するビジネスやサービス、プラットフォーム周りの知識になりますね。

プロダクトマネージャーは様々な場面で意思決定をする役割・責任が求められますが、”意思決定をする立場の人だから意思決定をする”のではなく、そのプロダクトとそれを取り巻く環境・経緯全般について誰よりもよく知っているからこそ、誰よりも確実(そう)な判断ができるというのが本質だと思っています。
そうじゃないと、適当に決めたことに責任なんて持てないもの。

これは実際にプロダクトを担当する、あるいは自らプロダクトを立ち上げて運営していくことで身につく知識ですので、求められるスキルという意味ではドメイン知識そのものというよりは、いかに早く正確かつ広範囲にドメイン知識をキャッチアップできるかという能力・姿勢の話になります。

プロダクトの成長に責任を持つというプロダクトマネージャーの性質において非常に重要なスキルと言えますが、ある人が入社後3ヶ月くらいで習得できた知識量が人によっては1年経っても身についてないようなケースが私の観測範囲内でもあります。
時間が経つほどにその差は顕著になりやすく、取り組み方によって大きく差がつく領域だと感じています。

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2つめは物事を前に進めていく推進力です。
推進力とか言うと何かパワフルにゴリゴリと推し進めていく腕力を想像させますが、要はどんな形であれ物事を前に進めていくことができるスキル全般を指します。
カリスマ性や強いリーダーシップを持って周囲を強く引っ張っていくスタイルの人もいますし、きめ細やかなコミュニケーションにより粛々と周囲の承認を得ながら進めていくスタイルもあるでしょう。

ただ、人それぞれ色々なやり方があるとは言え、いずれの場合も共通して言えるのはプロダクトに関わるメンバーからの信頼がなければ務まらないということです。
その信頼を得るための要素が他を寄せつけない圧倒的なドメイン知識量なのか、輝かしい過去の実績なのか、CEO・部長・課長とかの肩書なのかといった違いはあると思うのですが、私の感覚に一番近いのは以下の記事でうちのボスが「信頼ポイント」という言葉で語ってるやつです。(丸投げ)

プロダクトマネージャーは基本的に直接デザインや開発をするわけではなく、決して一人ではプロダクトを作れないロールです。
周りの人たちと一緒に仕事をしていく中で一つずつの実績の積み重ねが、やがて信頼という形で周囲を巻き込み、物事を推し進めるための推進力となってくれるのだと思ってます。

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3つめは他の人と差別化されたその人独自の強み
その人独自と言ってしまうと少し語弊がありますが、綺麗なUIやデザインを描くことに長けた人、業界動向に詳しい人、ビジネスデベロップメントに長けた人、数値分析が得意な人、エンジニアリングに詳しい人、、など
優秀なプロダクトマネージャーの人と話すと本当に様々なバックグラウンドや経歴を持つ人がいて、どこか自分ならではの突出した強みのようなものを持っていることが多いと感じます。
言い換えるとそういった自分自身の強みを突き詰めて昇華していくマインドセットの話になるのかもしれません。

ちなみに私の場合は大学でコンピュータサイエンスを専攻したあと某ジャパニーズトラディショナルカンパニーにエンジニア採用されたにも関わらずコードを書く機会に恵まれず、エクセル方眼紙と睨み合う中で実質的にエンジニアとしての実務キャリアを絶たれた挫折系人材ですので、一般的な企画職の方に比べるとコードが書けたりエンジニアの方と多少スムーズにコミュニケーションできたりします。(多分)
好きな言語はC++とSwiftあたりで動的型付言語は苦手です。でもTwitter上の大量の失言を闇に葬るスクリプトは適当にググりながらPythonで書きました。

採用の時に確認しているスキルセットの話

ちょっと余談になるかもしれませんが、キャリアの話なので採用の話も少ししたいと思います。

前述のPMカンファレンスに登壇して以降、ありがたいことに中途採用にたくさんの応募をいただくようになりました。
ちなみに私がメインで採用担当している募集職種は以下のものです。
興味のある方はどしどしご応募お願いします。

で、中途採用に限らず新卒採用でも同様なんですが、必然的に1つ前のセクションで書いたスキルセットをどれだけ持ち合わせているか、あるいはその素養があるかという部分が私の中ではプロダクトマネージャー採用における大きなポイントになります。

それまでに経験してきた業務でのエピソードを聞いたり、毎回課題を出して頂いてるので、それを通して確認させていただくこともありますが、実績を通して確認できないような場合(新卒採用など)だともう少し原始的?な観点で素養があるか判断しようとします。

具体的には相手の話を正しく理解し、自分の話を的確に相手に理解させられる本質的なコミュニケーション能力を見ます。
なんでそこにフォーカスするのかと言うと、他者との意思疎通をどれだけ正確に行えるかというところで、前述のドメイン知識の蓄積速度や信頼ポイントの積み重ねには大きな差が出てくるためです。

(LINEの場合だと、チームや社内に日本以外の国籍の方が多いので中途半端なコミュニケーションをとられると言葉尻で誤解を生んだり本当にプロジェクトが進まなかったりするので、より重要度が高くなります。)

本題に戻って

余談も含め途中が長くなりましたが、最初のお題に戻ります。

10年ちょっと前はまだ存在しなかった上に、目まぐるしく移り変わっていくこの業界において、プロダクトマネージャーというのは短命でキャリアプランが描けないロールなのでしょうか。

プロダクトマネージャーという名前や役割が今後も残り続けるのかは分かりません。
自分自身まだまだ足りていないスキルを補い、新しい知識を身に着けていかなければ取り残されてしまうという危機感の中で、明確な答えがあるわけでもないです。

ただ、ここまで羅列してきたスキルセットであったり、自分自身の強みを突き詰めていくマインド、本質的なコミュニケーションを身に着けた人って、担当するサービス・プロダクトが形を変えていこうとも、あるいは業界が変わってしまおうとも、学び続けることをやめず、その場その時で必要とされる姿に適応し続けていける人材だと思うんです。

これからまた何年、何十年か経って、ユーザーインターフェースがタッチパネルとか音声入力ではない何かになったり、見たことのないデバイスが溢れている世界になったとしても、宝くじで3億円当たるまでは第一線で戦い続けられる人材でありたいものです。



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