河内一馬

東京都出身31歳。考えていることを、書いたり、話したり、仕事にしたりします。初著『競争…

河内一馬

東京都出身31歳。考えていることを、書いたり、話したり、仕事にしたりします。初著『競争闘争理論』はサッカー本大賞2023「大賞」を受賞。#視録的運動 を始めました。

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『監督を辞めて、それから?』 複雑な様相を見せる脳内地図と、仕事的行為

アイルランドのバーで黒ビール片手にチャンピオンズリーグを観ながら「サッカー監督になる」と決意したのは、サッカー監督になりたいのかもしれないと思ってからだいたい3年後のことで、オレは本当に監督になりたいんか?を確かめるためにヨーロッパに来てからだいたい3ヶ月後のことで、寝ている間に荷物を全部パクられてからだいたい3時間後のことでした。 情緒はたしか不安定だったと思います。 この仕事を始めてからちょうど10年のタイミングで、一度「監督」という役割に区切りをつけることにしました

    • ひとこと「Let nothing weigh you down.」

      前々回は物撮りについて書いたんだけれど、その時に、まあ物撮りとは言えないだけど物にフォーカスを当てたクリエイティブってありますよね、というようなことを書いた気がしています。 ではそれについて書いてみます。 物撮りとは言えないけど、物を伝えたい。 ファーストインプレッションは寄りに決まってるSatisfyというランニングとアウトドアのブランドがあります。

      • なぜそれは数十秒間も"見れる"のか?「映像の耐久性」

        スポーツに限らずです、人に何かを伝えたい時、それが数十秒ないし数分かかってしまうとか、あるいは結構な文字数を持ってしてしか伝えられないこととかって、あるではないですか。もちろん昔から、今の時代は特に人に何かを伝えたいときは「短い方がいい」というのが定説だし、それが広告コピーとか、CMとか、プレゼンテーションとかの文脈で技術として表に立ってきました。何か伝えたいことがあるなら、シンプルに、短く。わかります。でも、そうは言ってもですよ。時間とか文字とかいう質量はその質量を持ってし

        • 『「物撮り」の4カテゴリーについて』プロと素人の差が激しく出る領域

          スポーツのストーリーテリングを追求しようと思えば、スポーツ周辺にある「モノ」をいかに魅せるか、はひとつ重要なポイントだと思います。いわゆる「物撮り」という領域ですが、これは写真表現の中でも、プロと素人の差が激しく出る領域だと思います。と、素人が言っています。 私が定めている恣意的な物撮りカテゴリーは以下の4つです。 ベーシック ロケーション勝負 with手 大量 これ以外にも「モノ」に焦点を当てることを狙いとした写真の撮り方はありますが、まあ「物撮り」とは言えない

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        • 視録的運動(シロクテキウンドウ)
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        • 散文
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        • 『社会とサッカー』
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        • 芸術としてのサッカー論
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          「90分の試合」というコンテンツを事後で伝えるときこれ以上のフォーマットはないんじゃないか

          制作にかけるひと手間 vs 他者の目 道具はいつだって使い方次第 みんながやってないことやろう精神 収まるという美しさ *** 制作にかけるひと手間 vs 他者の目手間がかかっているもの、手間がかかっていないもの。もしくは、手を抜いているもの、手を抜いていないもの。って、ある。それがどのようなジャンルのものであれ、たとえば文章、何かのデザイン、家の掃除であれ食器洗いだって、すべての仕事や作業には必ずその2種類があって、その「差」に他人は気がつくのである。 ただ、手

          「90分の試合」というコンテンツを事後で伝えるときこれ以上のフォーマットはないんじゃないか

          クリエイターがクリエイターであるためにブランド側が肝に銘じること

          コレクションのキャンペーンでドーンと出てきたこれ。スタジオ撮影の写真にグラフィックデザインを加えています。まず、インパクトがすごい。写真と、デザインが、大好み。フォトグラファーはVitali Gelwich 。いわゆる"スポーツ業界"のフォトグラファーではないというのが1つポイントで、日本のスポーツ業界で、例えばファッションや広告でゴリゴリやっているフォトグラファーを起用できるブランドやクラブなどがあるかと言うと結構疑問で、その点はこれからスポーツが「スポーツの域を越える」に

          クリエイターがクリエイターであるためにブランド側が肝に銘じること

          日本代表のジャージを着崩して怒られるアスリートの価値

          今年のパリ・オリンピックで、スポーツにおける美的感覚的なもの、なにが美しいとされるか、何がかっこいいとされるか、何がメインストリームとなるか、が一方向性を持って定まっていくような気がしています。タイミングもあるし、パリという街で行われるということも手伝うと思います。2019年の女子ワールドカップ フランス大会もそのような役割を担い、あそこから女子サッカーのムードが決まった印象があります。パリという街は、ファッションの聖地ですから(知らんけど)。 スポーツというものが、裸で行

          日本代表のジャージを着崩して怒られるアスリートの価値

          #28 ラジオとかポッドキャストとか本当に好きなんだよな

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          #28 ラジオとかポッドキャストとか本当に好きなんだよ…

          全スポーツにおけるユニフォームは「衣装」であり「戦闘服」ありアイデンティティの「表現」機能

          もう全然かっこよすぎて一生敵わないなと思うわけですけれども、パリオリンピックのアメリカゴルフ代表のユニフォームと、クリエイティブです。USA GolfとJ.LINDEBERGとのコラボレーション。

          全スポーツにおけるユニフォームは「衣装」であり「戦闘服」ありアイデンティティの「表現」機能

          見る者の「視点を変える」身体性

          週2回くらいのペースいけるぞ、と思っています #視録的運動 ですけれども、SNSに上がってるクリエイティブを見てあーでもないこーでもないと語ることはデザインやその他を言葉を用いて説明する/整理するための非常によい特訓になるぞ5回目にして確信しているわけですけれど、だんだん増えてきた購読者の皆様にとっても有意義な拝読体験になることを願っています。 さておき、オーストラリア代表やメルボルンFCで写真を撮っている彼ですけれども、目を引く写真を撮ります。もちろん写真それ自体も非常に

          見る者の「視点を変える」身体性

          作り込めないStorytellingは、音と色と速度とともに。

          それなりの良いカメラを使ってそれなりの映像は誰だって撮れるわけですけれども、彼が撮るNBAの数分間は何か他とは違うがしてならない。その空間の雰囲気を"正しく"伝えられているような感覚があります。それでいてスポーツの美しさをスマートフォンの画面いっぱいに表現しきっている。これぞStorytellingという感じがします。 もちろん映画だってなんだって、同じ機材と同じ役者を使っていても「映像が美しいかどうか」という点では監督によって差が出るわけで、そこにはあらゆる技術要素が孕ん

          作り込めないStorytellingは、音と色と速度とともに。

          #27 体の中で待機するいくつかの場所

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          #27 体の中で待機するいくつかの場所

          導入0〜5秒の映像分析(固定と揺らぎ)

          前回と同じようなフォーマットで、今回は自転車ではなくランニング。UVU CLUBというトレーニングコミュニティのクリエイティブです。 映像の導入部分0-5秒を分析してみます。

          導入0〜5秒の映像分析(固定と揺らぎ)

          「ブレーキレス」な映像がもたらす「シームレス」なコミュニケーション

          ハンブルグの自転車ブランド「BRAKELESS CYCLING」の映像作品ですが、1秒目で感じるダイナミックさとスリリングな感情に街の(私たちに近い存在の)ロケーションが合わさると、タウンユースの自転車が突如競技レベルにまで昇華されて、いやはや実はこの自転車はガッツリ競技として用いられている(競技として自転車を漕いでいる人の:この表現あっているか分かりません)ブランドなのか、的に追加情報の連鎖が一気に頭の中で発生します。 スポーツでしか成し得ない表現を探求することはどう考え

          「ブレーキレス」な映像がもたらす「シームレス」なコミュニケーション

          「無駄を歓迎するクリエイティブ」と「無駄を排除するクリエイティブ」

          記念すべき『視録的運動』の#01は、やはりサッカーのクリエイティブに関して書くべきであると思ったものの、好きなものが多すぎてどれを選ぼうかなどど悩んで筆が止まります。 このマガジンではできる限り「クリエイティブ(制作)」や「デザイン」を"個体として"扱い、それ単体で極めて感性的に語ることを目的としています。ブランディングというある意味で全体性を孕んだ語り口は他に譲るとして、ここでは、この写真・映像・デザインなどがどういう印象を与えるのか、なぜ好きなのか、なぜ"上手い"のか、

          「無駄を歓迎するクリエイティブ」と「無駄を排除するクリエイティブ」

          連載 『視録的運動』(シロクテキウンドウ)について

          視録的運動はもちろん私の造語ですが、なんか発音しにくいし、一発で変換出てこないし非常に不便ではあるものの、もう便利なものには飽きたし、簡単でわかりやすいものにも飽きたので、勝手にやる連載のネーミングくらい意味不明でもいいのではないかと、みうらじゅんの本を読みながら思いました。 視て記録する運動ということで、的は得ていると思います。 この連載(週1更新)をプラットフォームに、スポーツのクリエイティブやデザイン、ストーリーテリングに関してあらゆる機会が生まれていくことを期待し

          連載 『視録的運動』(シロクテキウンドウ)について