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古代インド叙事詩『ラーマーヤナ』を読んでみた

カンボジアの遺跡には、ヒンドゥー教や仏教の神々が祀られています。

現在では「世界三大仏教寺院」に数えられるアンコール・ワットも、創建当時はヒンドゥー教の神々(主にヴィシュヌ神)に捧げられたものでした。

カンボジアの遺跡の壁面や柱、入り口上部の破風やまぐさ石の部分には、さまざまなモチーフが刻まれています。その中には、ヒンドゥー教にまつわるものがたくさんあり、実にさまざまな神話や伝説の場面が描かれています。遺跡観光、特にアンコール・ワットを訪れる際には、こうしたヒンドゥー教にまつわる逸話を知っておくと、楽しみが倍増するはずです。


さて、そうした中でよくカンボジアの遺跡に登場するモチーフの一つが『ラーマーヤナ』です。

『ラーマーヤナ』とは、『マハーバーラタ』と並ぶ古代インドの巨大叙事詩で、どちらにもヒンドゥー教の神々がたくさん登場します。日本人にはあまり馴染みのないストーリーですが、東南アジア圏なら多くの人が知っている超定番の昔話です(日本人にとっての「桃太郎」みたいな感じでしょうか)。

▼『ラーマーヤナ』あらすじ
コーサラ国王の長男である王子ラーマは、美しいシータ姫を妻に迎えます。しかし、陰謀によりラーマ王子は王位を奪われ、シータ姫と一緒に森で隠遁生活をすることになりました。

ある日、ランカ島の魔王ラーヴァナにシータ姫を奪われてしまいます。ラーマ王子は神猿ハヌマーンの力を借り、シータ姫奪還のためにランカ島に向かいました。様々な困難を乗り越え、最終的にラーヴァナを倒し、シータ姫をようやく取り返します。

ところが、ラーマ王子は、ラーヴァナの側に長い間身を置いていたシータ姫の貞操を疑い、妻として受け入れることを拒みました。嘆いたシータ姫は炎の中に身を投じて、自身の潔白を証明します。火の神アグニがシータ姫に加護を与え、身の潔白を証明したため、シータ姫は無事にラーマ王子の元に帰ることができました。

Cambodia Noteより


ざっくりとではありますが、『ラーマーヤナ』の大まかな話の流れは上記のとおりです。カンボジアの遺跡のほかに、バリ島で見た「ケチャダンス」の演目も『ラーマーヤナ』だったので、自分にとっては割と馴染みのある物語だと思います。

ただ、実際に書籍では読んだことがなく、細かい部分は理解が曖昧でした。なにせ『源氏物語』に劣らないほど登場人物が多いので(しかも名前がカタカナばっかりだし)、誰が誰だか混乱することがよくあります笑。

実は大学生のときに一度だけ挑戦したことがあるのですが、あまりの長さに心が挫けて、1巻を読んだところで諦めてしまいました……。

それ以来「これを読むのは老後の楽しみだな」と思っていたのですが、たまたまKindle版で上下巻のコンパクトにまとまった『ラーマーヤナ』を発見!

平易でありながら美しい言葉で綴られており、ふりがなもたくさん付されて
いるので、ひじょうに読みやすいです。

前書きで「少年少女にしたしみやすく読みやすいように、詩を散文にして、童話風に物語りとしたのが、この本です」と記されています。原書と比較して、多少省略されている部分もあるかもしれませんが、物語を楽しむならこの本で十分です。

上巻は1時間ほどあればすぐに読み終えることができました。さすがに全7巻を読むのはしんどいですが笑、これくらいのボリュームで上下巻なら今回は読み終えることができそうです。

下巻まで読み終えたら、またアンコール・ワットに行って、第一回廊をじっくりと鑑賞してみたいと思います!


みな





ちなみに、どうでもいい情報ですが
今回読んだ書籍では、神猿ハヌマーンの表記が「ハニュマーン」になっていたのが個人的にはツボでした。声に出して読むとじわじわ来ます笑。

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