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「30分前」は前なのに、なぜ過去を表すのか?

算数を教えていると、各学年で「難所」となる難しい単元がいくつかます。

その中でも小学2年生で習う「時こくと時間」の単元は、あまりこのような形で取り上げられることがないが、かなり難しい単元だと思います。

それは、子ども達にとってもそうだし、指導者としてもです。

時間に関する学習は、小学1年生のときに「なん時」「なん時半」を勉強しています。

小学2年生の「時こくと時間」では、分刻みの時計の読み方に加えて、
・なん分後、なん分前
・なん時間後、なん時間前
というのを学習します。

例えば次のような問題です。

いま、3時15分です。次の時こくを答えなさい。
(1)30分後
(2)30分前

大人になってしまうと、もちろん簡単に答えられるのですが、時計・時間の概念がまだ不十分な子どもにとっては難しいのです。

「30分後」と「30分前」の、どちらが過去を表し、どちらが未来を表すのか。

私はこの単元を何十人と指導してきましたが、混乱が生じる大きな理由はこれです。

おそらく一般的な感覚では、時間軸の前方に未来、後方に過去があるイメージではないでしょうか。

「前を向いて、未来へ進む」「過去を振り返る」という表現もあります。

しかし、「30分前」と表現したとき、「前」であるにも関わらず過去を表しているのです。その逆もまた然り。

これが小学2年生の子どもにとって、ひじょうに難しい表現となってしまっているようです。

結局、これを身につけるには、算数の授業だけでなく、生活の中で「〜分前」「〜分後」という表現を実際に使って、慣用表現としていくしかありません。(理屈で説明できないので)

少し説教くさいことを言うと、家庭での会話で意図的にこのような表現を使っている生徒は、身につくのが早い傾向にあります。

「長い針が6のところに来たら〜」というのは、子どもにとっては理解しやすいですが、「〜分後」という感覚が身につきません。


なぜこのような表現になってしまったのかを調べようとしたこともありますが、明確な理由は見つけることができず・・・。

ご存知の方がいたら、教えてほしいです。

かず



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