リーチサイトだったGoogle

Googleがリーチサイトとなっていた時代がある。いまさらだけれど、書き記しておこう。

2017年12月、Googleは、健康に関するウェブサイトの検索順位を大規模に変動させた。これは「健康アップデート」と呼ばれている。

それまでのGoogleは、部分的に「リーチサイト」と言える状態だった。リーチサイトとは、違法なコンテンツにリンクを貼っているサイトのことだ。

リーチサイトとして最も有名なのは漫画村だ。

漫画村は、漫画村自身のサーバ内には漫画の違法アップロードをしていなかった。しかし外部のサーバにアップロードされている漫画へのリンクをたくさん貼っていた。違法コンテンツへリーチできるという意味で、このようなサイトはリーチサイトと呼ばれている。

2017年12月までのGoogleは、検索結果から違法サイトへのリンクをたくさん貼っていた。ジャンルとしては化粧品や健康食品についてのウェブサイトだ。

化粧品や健康食品に関するウェブサイトには、表現の規制に違反したものがたくさんある。規制しているのは「薬機法」という法律だ。

Googleは検索結果画面に広告を表示することで収益を得ている。そして上記の通り、Googleは検索結果という形で、薬機法に違反した違法コンテンツへのリンクをたくさん貼っていた。その点で、Googleはリーチサイトであり、違法コンテンツをネタにお金を稼いでいたと言える。

私としては、Googleは悪意を持ってそのような検索結果を出していたわけではない、と思っている。しかし違法コンテンツへのリンクをたくさん貼っていたことは事実だ。

健康アップデートでは、権威性の高いウェブサイトが検索順位を上げたというのが通説となっている。それは私も同感だ。そしてそれはGoogle社の経営として当然の判断である、と私としては感じる。

リーチサイト化していたGoogleにとって、違法サイトの排除は喫緊の課題であったように思う。

違法サイトが上位表示されている状態を放置すれば、Googleは「犯罪者に手を貸して収益を得ている」という批判を浴びただろう。行政からの指導や強制力を持った措置なども有り得たのではないだろうか。

だからGoogleは、化粧品や健康食品の分野に関しては、権威性の高いウェブサイトを強制的に上位表示させたのだろう、と私は思っている。そうすることで、Google全体としてのビジネスから、違法性を極限まで小さくしたのだ。

薬機法を勉強したことがあるコンテンツ作成者はとても少ない。だから、悪意はないのだろうけれど、違法性のあるコンテンツがたくさん作成されている。それは無理もないことだ。そもそもルールを知らないのだから、そのルールに従った表現の文章を作れるはずがない。

この状況から、Googleとしては、個人のブログなどについては、違法性があろうとなかろうと、検索順位を低くするような措置を取ったのだと思う。

Googleも営利企業であり、検索順位を計算するためのマシンパワーは有限だ。化粧品や健康食品のコンテンツが薬機法に照らして適法かどうか判断することは、おそらくとても難しい。

また、薬機法は日本ローカルのルールであって、世界のルールはとはまた別だ。そして、日本の薬機法規制対象サイトというものは、おそらく世界のウェブコンテンツ全てと比較すると、経済的にはとても小さな市場だ。その小さな市場に対して、Googleとしてコストをかけて細かく適法性を判定する価値は、ないのかもしれない。

私は、Googleはインターネットの世界の良き君主であると思う。

もちろん、細かい文句は山ほどある。しかし、Googleの判断は大枠としては概ね正しいと感じている。マシンパワーが有限であることを考えれば、これが最適解なのかもしれない、と感じる程度にはGoogleを信頼している。

薬機法は規制内容が難しいし、解釈も日々移り変わっている。Googleはそれを追うことを諦めたのだと思う。

コンテンツ作成者は、化粧品や健康食品のコンテンツを作るのであれば、薬機法を勉強し続けるしかない。

それはとてつもなく高い壁に見える。コンテンツ作成の観点でそれに挑む価値は無いように感じる。健康に関するコンテンツの市場で戦うことは、割に合わない選択肢であるように感じる。

その一方、もしかしたら、その壁を乗り越えれば、その先に穏やかで豊かなブルーオーシャンが広がるのかもしれない、とも思う。

高い壁は、その壁を越えた人から見れば、防御壁になる。撤退するのか、高い壁に挑むのか。世のライターさんはどのようにこれに向き合っているのだろうか。どちらにしろ、大きな選択だ。

↓東京都作成の薬機法説明資料はこちら


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