美容健食の広告制作者さんに最低限知っておいてほしいこと

あなたは、下記の言葉や概念を知っているだろうか。美容健食の広告制作をするなら、これらは最低限の知識だ。

1.使用前後図

美容・健食の広告では、使用前後図を貼ることが禁止されている。例えば、ダイエットサプリで、太ってた時の写真と、サプリを飲んで痩せた後の写真を並べて載せるような形の表現だ。
※医薬品として定義されている効果効能の範囲内で、なおかつ事実である場合のみOK。

2.権威表示

○○医師が推薦、とか、医学雑誌に載った、というような表現は禁止されている。

3.病名言及

✕✕という病気に効く、とか、✕✕で悩んでいる方へ、という言い回しは禁止されている。
※医薬品であればOK。美容健食はNG。

4.原料効能言及

△△という成分は✕✕という病気に効く。その△△という成分が、この□□というサプリにはたくさん入っている。というような、原料の効能を謳いながら行う広告表現は禁止されている。
※医薬品であればOK。美容健食はNG。

5.臨床結果言及

□□というサプリを飲んだら5キロ痩せました、というように、実際に使って身体がこう変化した、と書くことは禁止されている。
※医薬品であればOK。美容健食はNG。

6.他社誹謗

他社製品が劣っていると表現することは禁止されている。

7.最高表示

何かで1番である、という旨の表示は禁止されている。例えば、△△という成分の含有量について、市販されている製品の中で最もたくさん入っている、と表現したり、○○学会のアンケート結果1位、というような表現だ。

8.服用方法指示

毎食後1カプセル飲んでください、というように、服用方法を指示することは禁止されている。
※医薬品であればOK。美容健食はNG。

これらの概念は、たぶん知らない人がほとんどだ。だから、これらについて違反しているコンテンツが、インターネット上にはかなりたくさん存在している。

なお、これらの分類は、私の独自の呼び方と思って頂きたい。私は薬機法の専門家ではないが、自分なりに勉強した結果、概ねこれらの違反類型があると結論付けた。私としては正しいと思っているが、もしこの分類や判断基準に誤りがあっても、私は何も責任を取らないのでよろしく。

オトナが市場を荒らし、個人がそれに引っ張られている

これらの禁止表現は、広告代理店企業等が、お構いなしに使っている現状がある。企業が違法なことをしているということだ。

そして、個人のコンテンツ作成者もそれに引っ張られている。「この会社がこの表現をしているのだから、この表現はOKなんだろう」と考えて、それらの表現をしてしまっているのだろう。私は直接的にコンテンツ作成していないので明確にはわからないが、おそらくそういうことなのだろうと思う。

違法な表現をしないと売れない

違法な表現をしないと商品が売れない、という現実もある。

一般消費者から見れば、「○○医師も推薦」と書かれた商品と、そうでない商品を比べたら、医師が推薦している商品の方を買いたくなるのが普通だ。つまり、違法な表現をすればするほど、広告代理店は儲かる。そして、違法な手法を採っている企業がたくさんいる。

それは裏を返せば、法律を守っている人たちは、法律を守っているからこそ稼げていないということだ。

薬機法を学ぶ教材はほとんど存在しない

薬機法を学ぶ教材がほとんど存在しない、という現状もある。

薬機法に関しては、東京都薬務課が2冊の冊子を出している。「いわゆる健康食品について」と「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告と表示について」というものだ。

しかし、この2冊はそこそこ分厚い。「いわゆる健康食品について」は100ページ弱、「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告と表示について」は140ページほどの冊子だ。

しかも、文章は難解である。素人さんが読んでも、読み解くことは難しい。

この冊子の内容を理解していなければ、適法な広告表現を守ることはできない。しかし、この冊子の存在を知っている人はほとんどいないと思う。そして、知っている人の中でも、読んだことのある人はひとにぎりだろう。

美容健食広告は、無法地帯になっているように見える。

もしこれを読もうと考える人が居たら、ぜひ読んで頂きたい。この冊子の内容をきちんと理解するのが、最も正しい道だ。下記の、東京都福祉保健局のURLで無料公開されている。誰でも今すぐ見ることができる。

現実的な解

美容健食広告を作成するにあたっては、上記の東京都薬務課の2冊を熟読し、完璧に理解するべきだ。しかし、現実的には難しいだろう。

もちろん、この2冊の冊子を作ってくれた東京都薬務課さんには敬意を表したい。東京都としてできる範囲で、平易な文章に落とし込んだ冊子を作ってくれたのだから。

しかし、末端の広告作成者には、まだ難易度が高いように思う。

私も色々調べたけれど、現状で、薬機法を勉強するための現実的な解は、おそらく下記3つのkindle本だ。文章は平易だし、1冊あたり1時間程度で読むことができる。全く何も知らない人でもとりあえずの知識が身につく。これらだけでは十分ではないけれど、何もしないよりはだいぶマシだ。

今見たところでは、この3冊はKindle Unlimitedであれば無料で読めるようだ。また、上記3冊のうち上の2冊は、単発で買っても99円だ。買う価値はあるように思う。

今、薬機法を知らないまま美容健食の広告を制作しているのなら、この3冊は絶対に読むべきだ。

私はこの3冊の著者さんとは全く関わりがないし、上記リンクはアフィリエイトリンクでもない。

現状のままでは、美容健食のインターネット広告は、悪貨が良貨を駆逐した末に消滅してしまう。そういう危機感を、勝手にではあるが、私は感じている。絶対に読んでほしいから、このような貼り方にした。

なお、これらの3冊は出版年が3年ほど前であるようだ。情報が陳腐化しているところもいくらかある。本としての完成度も、私の正直な感想としては、高いとは言えない。それでも、これらの本に代わるものは存在しない。不十分な点は多々あるが、最適解はこの3冊だと思う。

自浄しよう

現在、美容健食広告業界は無法地帯であるように見える。このままでは、いつか大規模な規制が入ると思う。もしかしたら、資格を取らないと美容健食広告を作ってはならない、というようなルールが定められてしまうかもしれない。規制が入る前に、自浄作用を働かせて頂きたい。


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