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双ヶ丘(ならびがおか)

2ヶ月に一度の帰郷。10月に帰郷した際、朝に双ヶ丘を散策してきました。
(名勝指定としての漢字は「雙ヶ岡」のようですが、こちらでは「双ヶ丘」で記述します。)

双ヶ丘は京都盆地の西の北寄り、御室の仁和寺の南側にある特徴的にこんもりと柔らかく南北に横たわった丘です。
双ヶ丘の麓で兼好法師さんが晩年を過ごされた場所でもありますね。
当時は隠遁の場に、また別荘地に選ばれることの多かった場所。
市街化が進んでいるとはいえ、まだ比較的静かです。

観光客で溢れる今の京都、あまり人の多くない禅寺ででもまったりとしたいと妙心寺を訪れようとして、その拝観開始までの時間潰しの散策でした。そう言えば、京都人のくせに双ヶ丘にはまだ登ったことが無かったなと。

北から順に一の丘、二の丘、三の丘となだらかに三つのピークがありますが、今回は南側から順に歩いて行きます。

事前に知ってはいましたが、双ヶ丘は古墳群でもあります。
確か太秦広隆寺ゆかりの帰化人の豪族、秦氏のものだったかな?
盛り土をして丘になったのでは無く、おそらく綺麗な丘があったのでお墓にしたのでしょう。

今は歩きやすく簡単に自然に触れられる公園のよう。

季節柄涼やかで、歩いているだけで心地良い。

古墳と聞いているので、自然石までお墓に見えてきます。

ニの丘は木々が伐採されて広場のように整備中でした。
せっかくなので、あまり人の手が目立たない方が良いと思うのですが。。

ニの丘ピークの手前。

ちょうど秋桜が盛りとなり、やや子供じみた人工的な花壇ながら心が和みます。

木々の合間から明治天皇の伏見桃山陵の丘陵も遠望できます。

丘だけに登山と言うほどのものではなく、自然豊かな近所の林と言った風情。ただ、名勝指定されているせいか、二の丘のピーク以外は極端な公園化は抑制されて、植生は豊かな印象があり、山を歩いているような心地良さがあります。

最も標高の高い、と言っても116mしかありませんけれど、一の丘の手前にも古墳の案内が。

そして一の丘のピークは意外に見晴らしの良い展望適地です。

右奥は愛宕山
右の西山から左奥の大山崎方面

360度とは程遠く西側と、一部樹間から北の展望が望めます。
そして北側には仁和寺を眼下に望めてなかなかの景観。

おそらく仁和寺が望めるよう、この方角の木を伐採しているのでしょう。
仁和寺は菅原道真公との関係で知られる宇多天皇ゆかりの真言宗の寺。
元々は双ヶ丘一帯も仁和寺の土地でしたが、明治以降に財政難で一度売却。戦後に乱開発を避ける意図もあり政府の支援などで再び買い戻して現在に至るようです。
ただ、見える山門の前にホテルが建設されようとしており、再び問題になっているようです。私には左奥の団地のような建物も十分に景観を害しているように見えるのですが、景観保護は難しいですね。

さてこんな標高の低い一の丘ですが、三角点があります。

三等三角点
基準点名:御室

さて思いのほか自然も景色も楽しめ、時間も程よいので下ります。
お孫さんと思われる元気なお嬢さんに急かされて、品の良いお婆さんが息を切らしながら登って来られました。

この階段を急かされるとお婆さんが息を切らすのは無理もないでしょうか

麓の道も程よく整えられています。

住宅街を抜けるとすぐに妙心寺。
前後を人斬りに挟まれると逃げ場が無いなと時代錯誤で馬鹿なことを想像しながら歩いて。

檜皮葺きの私好みの建物が多い境内へ。

観光客のほとんどいない静かな境内で、ゆったりとした時間を過ごしました。

穏やかな休日の取り止めのないお話でした。


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