「銭湯のあるくらし展 〜さようなら湯パート〜」の雑なイベントレポ

2018年1月28日(日)に高円寺の銭湯、小杉湯で開催された「銭湯のあるくらし展 〜さようなら湯パート〜」というイベントに参加してきました。

家の近くということもあり、自分にとってもホーム銭湯の一つともいうべき小杉湯。いつも賑やかで、ユニークな試みもしていて、なんだかついつい足を運びたくなる場所なわけですが、先日、そんな小杉湯を念頭において書いた記事を公開したりもしました(サムネが京都の梅湯だけど......)。

まあ、自分が説明するまでもなく小杉湯さん、いま各メディアでめちゃくちゃ紹介されていて、いま最も熱い視線が注がれている銭湯だと思いますが、そんな小杉湯さんが一年前に実験的にスタートしたプロジェクトが「銭湯ぐらし」。解体が決まっていた銭湯の隣の風呂なしアパート(小杉湯さんが経営)を有効活用しようということで、一年間限定で編集者やミュージシャン、絵描きなど、個性豊かなメンバーに入居してもらって、それぞれの職能や特技に特化した活動をしながら、「住まい」と「銭湯」を回遊する生活をしてもらうという企画です。うん?この説明で合っているかわからないので、以下のリンクも参考にしていただければと思います。

「銭湯ぐらし」公式サイト
http://sentogurashi.com/

「今、銭湯の隣のアパートがすごい? 小杉湯の隣「湯パート」密着取材!【杉並区 / 高円寺駅】」(TOKYO SENTO)
http://tokyosento.com/column/16524/

そして、今回のイベントは、アパートの解体を直前にした、報告会という形になっています。営業時間前の銭湯で、銭湯ぐらしメンバーによる、いくつかのトークイベントが開催されるほか、この日限りで特別のアパートの部屋が解放され、そこでもライブや演劇などが催される、まさにフェスのようなイベントでした。

高円寺のカレー屋「ネグラ」が出店。ンマーイ。

高円寺駅から小杉湯へ通ずる商店街でいつも目の前を通って気になっていた、山形県飯豊町のアンテナショップ「IIDE」さんが番台の前で販売をしていました。日本酒三種飲み比べ。カレーと酒を持ち込んでイベントを聞くこともできました。極楽か。

トークイベントは、まず現小杉湯三代目平松佑介さんのお父様(2代目)の開会の挨拶からはじまったわけですが、このお父さんのしゃべりがとても優しくて暖かくて......なんかそれだけでウルウルときてしまった自分は何か病んでいるのでしょうか。そんな思わぬ出だしからのイベントスタート。

最初のトークイベントは「銭湯ぐらしの活動報告」。

三代目による「銭湯ぐらし後の小杉湯」。下の写真は、平松さんが思い描く、これからの小杉湯の建築模型です。トークイベントかと思いきや、途中からアイデアソンのようになり、チームを組んで小杉湯の新しい施設に必要なものは?と言うテーマでブレストをしました。

続いては「アーティストが捉えた銭湯の魅力とは」。

全体を通して、個人的には三代目平松佑介のトークのうまさと、軽妙なファシリテーターっぷりに驚きました。完全に受け身の姿勢で来てたのに「じゃあ、チームを組んで話し合ってみてください」と饒舌なトークにいい感じに丸め込まれ、最終的にはほぼ全員顔見知りの参加者同士が和気藹々とアイデアを出し合ったり、発表をする楽しい展開に。
少々手痛い意見にも「ふんふん」「参考になるなあ」と熱心に耳を傾けながらメモを取る姿勢も印象的。そういえば、銭湯ぐらしのメンバーさんも「平松さんが自由にやらせてくれたのがよかった」と仰っていました。ご本人の中にも、しっかり知識とロジックとビジョンはあるのですが、外からの意見もガンガン受け入れて、まろやかに消化していく器のドデカさがすんげえと思いました。

そのほか、みなさんのトークで気になったことを思いつくままに過剰で書いていきたいと思います。

・都内の銭湯のピークは2500軒以上。いまのセブンイレブンくらいあった。現在は500軒くらい(個人的にはまだ500軒もあるの?と驚いた)。
・関東大震災が銭湯1.0、高度成長期が銭湯2.0、そして現在(311以降?)が銭湯3.0。
・求められているのは、銭湯に新しい価値を見いだすこと。
・昔の銭湯需要は「家に風呂がない」というハードの問題。これからは、ハード面以外での需要になってくる→精神的な充足感。
・銭湯は復興の象徴だった。
・「銭湯は人を救う場所である」という、「銭湯ぐらし」からの気づき。
・仕事上がりにひと汗流す、だけでなく、仕事の前に銭湯、仕事とプライベートの合間に銭湯など、銭湯に入るタイミングも多様化している。
・頭を切り替えるための銭湯、ピットイン的な銭湯の使われ方が可能性としてある。
・銭湯の滞在時間を伸ばすための施策。二代目は滞在時間を一時間から二時間に伸ばすために、水風呂を作り、休憩室の充実を計った。これからは三時間に伸ばしたい。
・交互浴の気持ち良さに気づいて銭湯を好きになった、という銭湯ぐらしメンバーさんの意見が多かった印象。
・小杉湯が繁盛するのは、小杉湯という場の力とオーナーの人柄?によるもの、他の銭湯が真似しても難しいというお客さんの意見。
・普通のお客さん、町のおじちゃんおばちゃんとの壁を作らないかという懸念。「オシャレすぎる」も考えもの。
・銭湯の隣に住むことで、生活にリズムができた。
・いまの若者は、飲み会の後にカラオケではなく、銭湯に行く。

こうやって書き出しただけでも、大分示唆的な内容だったと振り返ることができる。これらのヒントを、これからじっくりと自分の中で消化していきたい。

トークイベントの後は、隣の「湯パート」へ。アーティストさんによる、壁面に描かれたイラスト。銭湯絵をモチーフにしている。

アパートでの弾き語りライブ。超満員。

銭湯図解」でおなじみの塩谷歩波さんのトーク。すでに転居されているということで、室内は即席ギャラリーと化していました。

番台とツイッターでしかお見かけすることはなかったのですが、その滑らかな喋りっぷりと、垣間見える理性的な思考が印象的でした。「好きなこと(銭湯)を仕事にすると逃げ場はなくてつらいのでは?」という質問に「銭湯に逃げるので大丈夫です(ニコ」と即答されていたのが、カッコよかったっす。

「湯パート」のプロジェクトは終わってしまいますが、銭湯ぐらしプロジェクトは、今後形を変えながらも続いていくでしょう。これからの銭湯を考える上でのたくさんのヒントを与えてくれた、メンバーの皆さんに感謝です。そして小杉湯、これからも利用していきます。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

2

小野 和哉

サウナと銭湯の日々

銭湯やサウナについての記事です。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。