【銭湯】「嵐を呼ぶ男」が鳴り響く!サウナと水風呂のバランスが最高すぎた三軒茶屋「駒の湯」、そして銭湯ダンナーズって何よ!?

何かに心動かされる体験というのは、いつ何度味わってもいいものだ。逆に言えば、�”ときめき”のようなこの感覚を失くしてしまったら、感じることがなくなってしまったらと思うと恐ろしい。感受性よ、まだ機能していてくれてありがとう。

なんの話かというと、銭湯である。ときめいてしまった。三軒茶屋の「駒の湯」。

「水風呂がとにかく冷たい」「サウナ室のBGMが演歌」「サウナに本や雑誌を持ち込んでもいい」などなど、なかなかのアレな評判で気になっていたのだが、ここ最近の銭湯熱に押されて行ってみることにした。

三軒茶屋の駅からすぐ。入り口では、キュートなたぬき三兄弟+犬が出迎えてくれる。思わず森見登美彦の「有頂天家族」シリーズを連想してしまった。もうとにかくこの時点で「最高」の予感しかしない......。

番台で「銭湯お願いします」と言い750円を払うと、フェイスタオルとバスタオルが入ったバッグを渡してくれる。サウナ施設やスーパー銭湯だとおなじみのやつであるが、銭湯でこういうものを渡されるのは初めてだ。店の看板で堂々「サウナ」と謳うだけに、その自信のほどがうかがえる。

脱衣所に入ると「人、多いな!」。ぎゅうぎゅうなんである。混雑時の小杉湯くらいあるぞ。客層はおじいちゃん、子供づれがメインで、いかにも地元民の銭湯といういい雰囲気だ。そして、みんな視線は斜め上。備え付けテレビの冬季五輪に釘付けである。ああ、こういう雰囲気。この生活感......いいね。

全裸になり、フルチンでいざ出陣。どうでもいいけど裸が正装って、銭湯って冷静に考えると異常空間だよね。
それはいいとして、まずはさっとかけ湯。ああ、カランから出てくるお湯がすでにめちゃくちゃ熱い。水で薄めないと、まともに浴びれないぞ。浴槽に入るとやっぱり熱い。「ぐうう」と小さくうなりながら浸かる。これが、いい。水風呂前提で考えているので、熱めの湯はけっこう好きだ。まずはお手並み拝見という感じで普通の湯を楽しんで、いよいよサウナへ。

(写真は「せたがや銭湯ガイド」より)

狭い、と聞いていた。確かにドアのガラス越しにみると、なんとも窮屈そうに人が座っているではないか。ば、場所はあるのか?と恐る恐る入ってみると、外からはうかがい知れない方向に空間が広がっていて、思わず「え、広い」と思ってしまった。頑張って8〜9人が座れる広さだろうか。個人的には、十分なスペースである。さっそく腰を落ち着ける。めちゃくちゃ熱いというわけではない。しかし、自分にはこれぐらいがちょうどいい、というのが最近わかってきた。サウナは一気に熱せられるより、じわじわと汗をかきながら長居するのが好みだ。駒の湯のサウナは、まさに自分にとってちょうどいい温度感だった。そして何より......演歌。評判通り、サウナ室のBGMは演歌と演歌である。京都の「梅湯」のサウナはジャズがかかっていて驚いたが、これもまた個性的である。ご主人?のこだわりが垣間みえていい。

たっぷりと汗をかいて、水風呂へ。

キーン

カッキーン

キンっキンだ。
冷え方が容赦ない。だいたい水風呂は心の中で60秒数えて出ているのであるが、1分ももちこたえられない。我慢できなくて、出てしまう。まさに瞬間冷却。すごい威力だ。

(写真は「せたがや銭湯ガイド」より)

体を拭いて、いったん脱衣所へ。ウォータークーラー(足で踏むと、飲み水がピューって出るやつ。わざわざ正式名を調べた)があるので、水分を補給。再び、宇宙(サウナ)へ.....。しかし、このサウナ、入るほどにカラダに馴染んでくる。なんで、ここまで気持ちよく汗がかけるのだろう。単にコンディションがいいのか、それとも「駒の湯」のサウナだから成せるワザなのか。とにかく、相性がいいのは確からしい。

そういえば、周りを見回すと確かに読書をしている人もいる。どう考えても本がふやけそうだが、もう読み捨てぐらいの覚悟で持ち込んでいるのだろうか。刺青の入った粋な兄さんがなにやら文庫本のようなものを読んでいる光景もグッときた。そして、室内に流れてきたのが「嵐を呼ぶ男」。

なんだか、この曲がかかると、サウナ室で全裸で汗だるまになっているスキだらけおっさんたちが(自分含む)、急にキリッと見えてくるというか、なんというか「違いのわかる男たち」というか、「嗜んでる感」が出てきて、いい感じに仕上がってくるのである。

再び水風呂へ。相変わらず、冷えている。銭湯にしては水風呂が広めなのもまたいい。クールダウンして、またサウナへ。もう1セット楽しんで、この日は終了にした。

脱衣所で気になっていた「郡上おどり」のポスター。盆踊り好きの私には、正直大好物の品である。気になる。なぜ郡上おどりのポスターがここに!? ここの主人、相当好き者に違いない。よほど、番台で声をかけようとしたが、物静かな雰囲気の方だったので遠慮してしまった。今度きた時は、話を聞いてみよう。

風呂上がりには、メシと相場が決まっている。ということで、駒の湯から歩いて1分くらいの「長崎」という長崎ちゃんぽんの店に行ってみた。

カウンターのみで9席と、まるで駒の湯のサウナのようなスケール感だ。席について「パリパリの皿うどん」を注文。「パリパリね!」という店員さんの声がいい。常に威勢が良くて

「ちゃんぽん」
「あーい!」
「あと、ちゃんぽんと半チャーハン」
「「あーい!!」」
「餃子も」
「「餃子、あーい!!!」」

と、どんどん声がでかくなっていくお客さんとの掛け合いが面白かった。

皿うどん。これが、うまくないわけがない。餡がトロトロ。たまんねー。半分くらい食べたところで、無料の梅干しサービスの存在に気づく。カリカリ梅じゃなくて、ちゃんとした柔らかない梅干し。どういうこと?と、一個いただいて皿うどんと一緒に食べるが、梅干しの酸味が加わるとまた違った味わいが生まれて、これはいい。残り半分も一気に平らげてしまった。
「駒の湯」→「長崎」の流れは、三軒茶屋の公式観光コースに申請したいくらい最高でした。

さっそく、ツイッターで駒の湯の件を報告すると、フォロワーさんに教えていただき、郡上おどりポスターの謎が少し明かされました。

銭湯ダンナーズ
http://www.ntv.co.jp/burari/061007/info08.html

「駒の湯」のご主人さんを含む、世田谷の銭湯経営者が民謡のグループを結成して、数年前から活動をしているそうです。

2004年の5月に結成。低迷する銭湯業界を再興すべく立ち上がったのが世田谷区内の銭湯経営者。
現在、メンバーは7人で平均年齢は65歳。
銭湯は昭和40年には、都内に2700軒あったのが、現在では1000軒を切りました。
また、世田谷区内でも160軒あった銭湯が、現在は50軒となりました。
民謡はもともと、薪を焚いたり掃除をする時の労働歌としての役割。
そこで、「座して死ぬより歌って攻める」を合言葉に、区内の銭湯を回って銭湯をアピールしています。
オリジナル曲「銭湯音頭」も完成し、夢は、「紅白出場かな」と皆さん胸を弾ませ語っています。

おもしろすぎるやろが。
昔から自分の興味分野である「銭湯」と「伝統芸能」が結びつかないかなと、いろいろ夢想していたわけですが、意外なところで結びついちゃったよ! 何か面白いことはできないだろうか。今度、「駒の湯」行った時には、ご主人に声をかけてみよう。

般若も「駒の湯」語ってる......。


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小野 和哉

サウナと銭湯の日々

銭湯やサウナについての記事です。
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