高円寺の中華料理屋「七面鳥」、クリスマス島のカニのごとく押し寄せる「オムライス」の味。

「散歩の達人」(交通新聞社)の”町中華特集”を読んでいたら高円寺の「七面鳥」なる店が紹介されている。そういえば、いつぞやに自宅近隣の定食屋を調べていた時にその名を目にしたことがあったが、ちょっと遠いかな?と見逃していたのだった。あらためて調べると、思ったほどの距離ではないので、機を見つけてテクテク歩いて向かってみた。

外見はいわゆる普通の町の中華料理屋といった感じだ。雑誌で紹介された効果で下手したら行列でもできているのでは?と危惧したが、どうやらそんな風でもない、が目の前で2名ほど客が吸い込まれていったので、それなりの賑わいなのかもしれない。

入店してみると、まずコの字型のカウンターに驚いた。そのコを挟むように4つほどのテーブル席がある。空席はほとんどなく、盛況のようだ。店の前のストリートは昼間にも関わらずまったく人通りなく閑散としていたのであるが、この狭い空間に人が密集して醸し出される熱気はすごく、その温度差に驚く。

着席して、短冊のメニューを眺める。一通りはあるようだが、目当ては雑誌でも紹介されていた「オムライス」だ。壁にかかっているメニューには「オムレツライス」とあるので風変わりな表記だなあと思いながら「すみません、オムレツライスで」と頼むと、普通に「当店、普通のオムレツとオムライスがあります」と返されたので、「あ、じゃあオムライスで」と訂正するも、じゃああの「オムレツライス」は何だったのかと、疑問のオムライス。誰かぜひオムレツライスで注文を通して欲しい。

ぼんやりとしていると、マヨネーズが1瓶、ポンとテーブルに置かれた。はて?と思うと、またしばらくしてキャベツ千切りの小皿がやってきた。ほほう、これにマヨネーズですなと納得して、また待つ。「すみません、ちょっとお待たせしてます......」と店員さんに謝られ、いえいえと言いながらまたしばらく待つ。おそらくオーダーの手違いか何かで通常より時間がかかっているらしい。20分ほど待ったきがするが、多分もっと早く来ます、普段は。

いよいよ、オムライスが運ばれて来た。付け合わせはタクアンと白菜の漬物、そして中華スープである。中華料理屋のスープは薄口のものが多い印象であったが、この店は実に「スープ」とゴシック体で迫ってくる感じの力強さがあっていい。ちょっとすすった後に、さっそく本丸の「オムライス」に目を向ける。うん、こんもりとしている。ぱっと見、なかなかのカサを誇っている。ふむふむと観察した後、やにわにスプーンをえいと、その艶やかな黄色い物体に差し込む。ハムッと口に運ぶと、ぐわっと濃い味が迫ってくる。ケチャップの酸味、甘みが大海嘯のごとく押し寄せる。クリスマス島のカニの大移動みたいな感じで、口の中を「味」が覆いつくす。その味のカニらを優しく包み込む卵の掛け布団。このハーモニーがたまらない。ここまで色々めんどくさいことを述べたが、要するに「うまい」ということなのだ。昼前に空腹に耐えきれず少しつまんでしまったので、最後の方は満腹感でダメになりそうだったが、通常時なら余裕でぺろっといけただろう。斜め向かいのふくよかな男性は、オムライス大盛りと餃子を軽く平らげていた。そして目の前のヤングカップルの男子は「湯めん(タンメン)」を「ユーメン!」と注文していて、かっこよかった。お店の人に優しく訂正されていて、照れていたけど。

というわけで、また行ってみたいお店でした、「七面鳥」。


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小野 和哉

【飯レポ】ごはんをパクつく

基本的にパクついてます。
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