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世界中の内向的な人が愛するAnimeとManga

 20世紀の心理学の大きな成果の一つが、人のパーソナリティをビッグ5という5つの軸(5次元の空間)で表現できるようになったことである。その一つが外向性である(下記の記事を参照)。これ以外に、協調性、開放性、誠実性、精神安定性の4つがある。

 最近では、ソーシャルメディアのつぶやきの言葉とビッグファイブとの関係が研究され、外向性の低い人(内向的)がつぶやいている言葉の代表が、Manga、Animeであることが明らかになった(Lyle Ungar, University of Pennsylvania)。日本文化の世界の発信力が凄いのが分かるが、実は、世界人口の半分に当たる内向的な人々に、日本文化はアピールしていたことが明らかになったのである。

https://www.lifehacker.jp/2019/01/183522personality-mylohas.html
 ただし、ビッグファイブという性格の数値化には誤解を生みやすい面がある。まず、この5軸のどれも、高い方がよいものではなく、どちらに偏っても望ましくない面があることである。例えば、外向性が高いと、外に発展指向で拡げる傾向があるのは一見よさげだが、ともすれば、地道に内を固めたり、内省をおろそかにする恐れもある。
 別の例では、誠実性などは絶対的に高い方が良さそうである。しかし、誠実性が高いのは、反面、既存の規範などに杓子定規に従い、融通が利かないことに繋がる。
 協調性も高いことも良さそうである。しかし、協調性が高いのは、一方で、周りに流される懸念がある。精神安定性もそうである。状況が変化する中で、精神が安定なのは良さそうであるが、一方で、周りの状況に鈍感で、苦しんでいる人に対して、心を動かせないかもしれない。
 さらに、このビッグ5では、5軸のどこにいるかで、人を静的に数値化する。しかしこれが誤解を与えるのは、上記の例からも分かるように、我々は状況に応じて、時に外交的で、時に内向的であることが必要なことである。これは他の項目についても同様である。時に、ルールや規範を誠実に守り(高い誠実性)、時に状況を勘案しルールにとらわれない柔軟性が必要がある(低い誠実性)。時に、周りの人たちに協調的に助けあい(高い協調性)、時に、周りに流されない剛毅さも必要である(低い協調性)。時に、急激な変化に心惑わされず図太くあることが必要で(高い精神安定性)、時に、苦しむ人に心動かし共感する繊細さも必要である(低い精神安定性)。時に、新しい経験や相手を開放的に受け入れることが必要で(高い開放性)、時に、既に実績のあることを深めることを優先することも必要である(低い開放性)。
 即ち、5次元の空間を、状況に応じて我々はダイナミックに使い分けることが必要で、それができるのが、おそらく人間としての「奥行き」や「幅」ということなのだと思う。
 このように、人の行動や性格を立体的に見る視座を、ビッグファイブが与えてくれることは確かだ。


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