給料がもっと欲しければ消費税に反対しよう。

あなたが今の給料に満足いかず、転職も簡単でないなら、まずは消費税に反対した方がいいでしょう。一見、無関係に思えるでしょうが、消費税はあなたの給料を上げさせない元凶です。

事実。消費税が導入されてから給与は下がり続けている。

グラフを見れば一目瞭然です。景気による変動はありますが、給与上昇が鈍り、さらに下降に切り換わったのと、消費税導入や税率引上げの時期は一致しています。

企業は消費税を節税するために人件費を削る。

企業が納める消費税額は原理的に

納税額=(年間の売り上げ−年間の仕入れ)×8/108

で計算できます。売り上げの内訳はおよそ(仕入れ+人件費+利益)です。だから上の式は

納税額=(年間の人件費+年間の利益)×8/108

となります。利益を減らさずに節税するには、人件費を減らせばいいとわかりますね。だから企業はブラック化し、賃金は低下するのです。

消費者が消費税分を払っているのだから、企業は消費税を負担していないのでは?

それは誤解です。消費税を負担しているのは納税する企業であって、消費者は払っていません。理由を説明しましょう。

ある商品を消費者が108円で買うのはなぜでしょうか。それは、108円というお金を手放してもその商品を手に入れたいからです。

これは、消費税があろうがなかろうが同じです。消費税がないときに108円を手放して商品を買う場合も、消費税があるときに108円を手放して商品を買う場合も、どちらも消費者は「108円を手放してもその商品がほしい」から買うのです。

売る側の店からすれば、客に108円を手放してもらえるだけの商品を売らなければ、108円を手に入れることはできません。これも消費税の有無と関係ありません。逆に言えば、客に108円のお金を手放してもらえる商品を提供できたなら、そのお金が手に入ります。

自由な市場でのこの自由な取引で、商品とお金の所有権がお互いに渡されます。いまや商品は完全に消費者に所有され、108円のお金は店に所有されます。ここで店が消費税として8円を納税する義務を負うのですから、所有権を制限されて税を負担するのは店の方で、消費者は税を払いません。

簡単に言うと、店は消費者が自由意志で108円を手放すような商品を渡したのだから、108円は店のものであり、そこから8円を取られるのだからそれが税負担だ、ということです。

別の説明をしてみましょう。ある額の税が課されたとき、市場価格にその額を上乗せして売ることが企業にとってまったく負担でないのなら、企業にどんなに多額の税を課しても、その額だけ価格を引き上げて納税すればいいので、企業の税負担というものが実質的に存在しないことになってしまいます。そんな現実は存在しません。だから、売り値の引き上げとは企業の負担そのものなのです。具体的には、買い手がより多い金額を支払うような、よりよい商品やサービスを提供するという負担です。

だから、企業が納める消費税は、まるまるその企業の税負担なのです。

消費者からすれば値上がりは負担のはずだが……

その通りです。が、それは税負担ではなく、よりお金を稼がなければならないという負担です。

商品の値段が上がるというのは、お金で測ったときの商品価値が上がることです。それは、「その商品を手に入れるためにどれだけのお金を手放す必要があるか」であると同時に、「その商品を手放したらどれだけの額のお金が手に入るか」でもあります。この意味で、市場取引は等価交換です。新品で買ったものを誰かに売るならだいたい買った値段で売れますよね。

より高い商品を買う場合も、それは等価交換なので、何か財産を強制的に奪われているわけではありません。より多くのお金を出さないと手に入れることができない、というだけです。自分にとって値段に相当する価値がないなら、買わなければいいのですから。

もしもそれを買うことにして、より多くのお金を出すためには、より多く稼ぐ必要があります。商品の売買と同様に、働いてお金を手に入れるのも等価交換です。なので、より多く稼ぐにはより多い、あるいは質の高い労働を提供しなければなりません。これが、買いたい商品が値上がりした時に私たちが感じる負担です。所有している財産が強制的に奪われるという税負担とは違うのです。

消費税はダブルパンチ

消費税は企業に人件費を削らせます。消費税で商品価格が上がれば、私たちはより多く稼がなければいけませんが、企業が人件費を削るので、給料は上がるどころか下がる一方です。労働者にとって消費税はダブルパンチの税制なのです――税そのものは負担していないにもかかわらず。

だから、労働者が給料をもっともらって幸せに暮らすにはまず消費税をなくそう、ということで。

ありがとうございます。これからも役に立つノートを発信したいと思います。