見出し画像

【シーズン3-8:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】自発性を植えるメッセージをどう伝えるか?【リスナーQ &A】

(1)リーダーの熱い思いをどうやって注入するのか


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
シーズン3では、書籍のタイトルにもなっている「ゴールドビジョン」についてお話ししています。
 
今回は、次のようなコメントをいただきましたので、「自発性」について扱っていきたいと思います。
 
「自発性の注入が弱かった気がします。ただ、おりゃあって感じでいくと圧が強すぎるので、相手の反応をよく見ながらということですね……」
 
上記コメントにあるように、自発性を高めるためには、「ビジョン」や「行動の仕方」をスタッフに注入する必要があります。拙書『CEOコーチング』でも「時には熱い思いを語ることも大切」である旨、お伝えしています。
 
ただ、それをやりすぎると、スタッフ、部下の人にとっては“too much”で、「うっ」となってしまう可能性はあります。
 書籍では持続性はないと書いていらっしゃいますので、「時には」としています。

(2)よりパワフルに伝わる「ポテンシャル」を考える


では、優れた経営者はどのように「自発性」を注入しているのでしょうか。
そもそも経営者が直接動かせる範囲、影響を与えられる範囲は限られています。そのうえで、自分が影響を与えられるスタッフの先にいるスタッフにまで伝えたいことを伝える必要があるわけです。
その際、経営者が直接伝えたスタッフが「理解」するだけでは十分ではありません。そのスタッフが自分なりに咀嚼し、自分の言葉を加えながら、その先に伝えていくことが求められます。さらにいえば、リーダーが伝えた内容よりもパワーアップしながら伝わっていくのが理想です。
 
なぜなら、現場のことは現場に近いスタッフのほうがよく知っているからです。それぞれのフェーズで、現場の状況を加味したメッセージが伝わっていくことで、もともとのリーダーのメッセージよりも現場にフィットしたものになっていく可能性、ポテンシャルは十分にあります。
 
優れた経営者はそのポテンシャルを意識したうえで、コミュニケーションを設計して、直接影響を与えられるスタッフに語りかけています。メッセージというのは、「伝言ゲーム」のように「ズレていく」ものです。そのズレをよい方向に、よりパワフルに伝えていくことが必要になるのです。

(3)強くしっかりと伝えるから「伝わる」わけではない

一度、冒頭のコメントに戻ってみましょう。
「おりゃあって感じでいくと圧が強すぎる」ということでしたが、そもそもしっかりと伝えれば、しっかりと伝わるとは限りません。大きな声のほうが伝わるとも限りませんし、小さい声のほうがしっかりと聞いてくれるかもしれません。たとえば、直接伝えられる人にはやわらかくそっと伝えて、その次の人が自分なりの言葉を使うことでエネルギーがアップしていくこともあり得るでしょう。そのあたりの機微を少しずつでもいいので感じていただくと、「注入」することの本当の意味合いがわかってくるはずです。
 
「ビジョンなり、理念なりは何度も何度も言わないといけないんですよね?」「毎日、朝礼で唱和したほうがいいでしょうか?」とご質問いただくこともありますが、人間の脳は同じ刺激に慣れてしまう特徴があります。
たとえば、同じことを何度伝えても、それは聞いたことになってしまっているので、聞いたふりはしていても聞いていなかったりします。脳がフィルターをかけているような状態ですから、本人は聞いたふりをしている認識すらなかったりするので厄介なのです。
 
たとえば、受験勉強でも「知っている」と思って読んでいると、知らず知らずのうちに読み飛ばしていたりします。一方で、「おお、これはすごい! 知らないことばかりだ。こんなのはじめてだ!」と言っておけば、たくさん吸収できたりするのです。
 
つまり、ビジョンや理念を、繰り返し同じ言葉で伝えたとしても、浸透していくわけではないのです。

(4)人は自分で納得したことしか受け入れない


では、どのように工夫すればよいのでしょうか。
「どんな情報が一番受け入れられるのか」を考えてみてください。
私たちは、他人のアイデアよりも、自分で思いついたことを受け入れるようにできています。他人のアイデアを受け入れる際も、自分なりに納得して、自分のアイデアになったときに受け入れているはずです。
みなさんも、誰かから助言を受けたり、アイデアを受け取ったとき、「自分には関係ない」とか「自分はそうは思わない」と考えれば、採用を見送るのではないでしょうか。
 
つまり、ビジョンを注入する際も、「納得してもらう」ことがポイントになるのです。そして、「自分で考えたこと」ではないことに納得してもらうのは簡単ではありません。
 
そこは正攻法しかありません。
「自分の考え」とは違う意見に従ってもらうのは難しいわけですから、「ビジョン」であれば「ビジョン」について話し合ってもらって、考えてもらって、「なるほど」となって、自分から「動きたい」「やりたい」と思ってもらえるような過程に時間を使うのがよいでしょう。
たとえば、メッセージを浸透させるためのコミュニケーションの場を用意するのもよいと思います。その意味では、「おりゃあって感じでいくと圧が強すぎるので、相手の反応をよく見ながらということですね……」というのはそのとおりだと思います。 
 
結局、仕事でも普段の生活でも、一番円滑に進むのは、関わっている人が自発的に動いているときです。命令されたり、脅されたりしても「やる」とは思いますが、その場しのぎのアクションになるだけで、生産性が上がることはないでしょう。
 
この記事と併せて、書籍『CEOコーチング』の186ページ以降の「オートノミー」の項目を読んでいただくと、より理解が深まると思います。
 
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。
 
書籍『ゴールドビジョン』(ソフトカバー、kindle)
↓ ↓ ↓

書籍『CEOコーチング』(ソフトカバー、kindle)
↓ ↓ ↓


久野和禎のサイトはこちら

コノウェイ株式会社のサイトはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?