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お金の旅路

小さい頃に『ニルスの不思議な旅』という本を読んだ事があります。
ニルスと言う名前の小人が、ガチョウに乗って様々な所を旅する、というお話しだった記憶があります。
不思議なお話しが多かったのですが、未だに記憶している、とても惜しいと思った一話があります。
昔の記憶で詳細は定かではありません。
誤記があるかも知れませんが、どうかご容赦ください。

ある街を歩いていたニルスは古びて汚いニッケル銅貨を見つけます。
何となく拾うのが躊躇われて、そのまま拾わずに通り過ぎました。
夜になって街の中心部に着くと、そこはとても賑わっていました。
そして驚く事に、そこでは全ての品物が、とんでもなく安値で売られているのです。
お店の人が「買って行って」と、ニルスに声を掛けます。
しかし、残念ながら、全くお金を持っていません。
そうするとお店の人はさらに値段を下げて行き、遂には「銅貨一枚でも良いから、買ってください」と、懇願します。
ここに至って、ニルスは先程お金を拾わなかった事を後悔します。
明るくなったら、銅貨を拾ってきて品物を買おう、と心に決めて眠りにつきます。
そして翌朝、町は跡形もなく消え去ります。
実は昨夜の街は、商人たちがお金にがめつ過ぎて、呪われてしまった街でした。
数百年にたった一度、一晩だけ姿を現します。
そのときに何かを旅人に売る事が出来れば、呪いが解けて街が元通りになるのです。

当時の私は、ニルスが街の人達を救えなかった事が、とても残念に思いました。
そして、お金が落ちていたら、どんなに汚くても必ず拾おう!と、固く心に誓った物です。
大人になって思い返してみると、

お金は人のために使えば相手を救う事が出来る

というお話しだったような気がします。

#たすけてくれてありがとう

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