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問題解決あるあるコラム#9:チェックリストは何をチェックするためにある?

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

前回までのコラムで一応KAIOSの宣伝が終わりましたので(笑)年も明けましたし、今回からまた気持ちを切り替えて新たな問題解決あるあるを投稿していきたいと思います。引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします。
問題解決あるあるコラム第9回のテーマは、「チェックリストは何をチェックするためにある?」です。「そんなもん、忘れてはならないものを網羅的かつ確実に確認するためでしょう。」その通りです。が、今回お話ししたいのは、「何を=What」の話ではなく、「どのように=How」のお話です。


チェックリストは便利なツール

チェックリストというと、退出時や始業前点検、はたまた健康診断など様々な場面で利用されています。是正処置などでも、その対策で新たなチェックリストが作られますね、やるかどうかは別にして。人間の記憶は曖昧なので、無意識でも同じことが繰り返せる程の行動記憶にまで到達した状態を除き、必ず何かをし忘れますよね。その「忘れ」の未然防止としてチェックリストを使うことは大変理に適っています。つまり、実行する側にも管理する側にも大変効果的かつ効率的なツールな訳です。なので、このチェックリストを否定するつもりは更々ありません。今回お話ししたいのは、この便利すぎるツールの落とし穴です。

チェックリストの落とし穴

このツール、あまりに便利すぎて「チェックリストの項目が全て揃っていれば良い」と盲目的に過信してしまうことで弊害が生じることがあります。それが、いわゆる「ゲートチェック」の場です。多くの組織で製品開発のプロセスにおいて、いくつかの大切なゲートが設定されていると思います。DR(デザインレビュー)などがそれですね。そのレビューで抜け漏れがない様に、チェックリストが作成され運用されていると思います。が、ここが問題なのです。多くの組織でDRと称したこの「チェックリストレビュー」が行われてしまっているのです。関係者が集まり、このチェックシートを広げ、ひと項目ずつ確認を始めます。大抵の場合、期待される活動や成果物が決められていますので、それらを「やりました」とか「作りました」と言ってOKにチェックを入れていきます。そして、ほぼそれら成果物はその場で開かれることはありません。全て口頭ベースでの確認で淡々とチェックが進んで行きます。そうして最後の項目まで辿り着き、全てOKでDRが承認されクローズされます。

チェックリストの使い方が間違っている

これ、正しい姿でしょうか?この方法でやったことは、いわゆる「棚卸しチェック」ですね。有る無しが確認されただけでその中身は全く確認されていません。この様な棚卸し確認をデザインレビューとしてしまうと、リスクが全く議論されないままプロセスがどんどん進んで行き、量産開始後や市場に出てから問題となって返ってきます。つまり、ここで悪かったのは「チェックリストをレビュー」していることです。「でも、抜け漏れを防止するためのチェックリストを使ってチェックをしたのだからいいのでは?」と思うかもしれません。そう、チェックリスト自体は間違っていません。間違っているのは使い方です。
ゲートチェックのためのチェックリストは、いわゆるパフォーマンス評価用に作られています。アイススケートなどの採点競技の様に、目の前で発揮されたパフォーマンスが規定の項目を満足しているか?という視点で作られています。なので、これらチェックリストはパフォーマンスを監視する人、プロジェクトで言えば「プロジェクトマネージャー」や「品質保証」担当者が、プロジェクトのパフォーマンスを評価するために使うのです。例えば、それぞれの担当者が、デザインレビューでこれまでの開発の進捗を資料やサンプルを提示しながら関係者に報告する、その過程を見ながら、監視担当者がチェックリストを使い規定されている項目が報告の中にきちんと含まれ、適切に議論・実行されているかを確認するのです。これによりデザインレビューの有効性を確認・保証するのです。

現場のニーズが手段を目的に変えてしまう

おそらく、どんな組織でも最初はそうやって使われていたのが、何度チェックをしても必要な項目が揃わないので、確認する側が痺れを切らし、「このチェックリスト渡すから必要なもの耳揃えてもってこい!」となり、言われた方も「最初から準備するものがわかっているなら後でうるさいこと言われなくて済む」ということでお互いが効率の良いやり方を求めた結果、やがて本来の目的が見失われ、「チェックリストの項目が揃っていればいい」という運用になってしまったと推測されます。

まとめ

この様に、監視する側が、パフォーマンス評価から棚卸し評価に舵を切ってしまった為、チェックリストも本来の目的を失ってしまったのですね。このチェックリストの様に、組織の中には本来の目的とは違った役割を強いられているツール達が他にも沢山あります。それらについてはまた次の機会にでもお話ししたいと思います。チェックリストは「存在」を確認する使い方と「パフォーマンス」を評価する使い方ができます。品質マネジメントの世界では、「存在」は当たり前で「パフォーマンス」を評価することが第一義となっています。みなさんはチェックリスト、「パフォーマンス」評価に使っていますか?

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。また次回もお楽しみに!


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