働く世代のメンタルヘルス

仕事における精神的不調に関し欧米の文献などを元に日本の特異性を考えながら検討していきま…

働く世代のメンタルヘルス

仕事における精神的不調に関し欧米の文献などを元に日本の特異性を考えながら検討していきます。 Kazumichi YAMAMOTO, MD, CAS, PhD 臨床医学 臨床疫学 精神分析・分析心理学 日英仏独西語話者

マガジン

  • 大学院入学を検討しているひとへのメモ

    キャリア形成という意味よりも何を学ぶか・学ぶべきかというところで大学院進学を検討している人への情報として

  • South by Southeast : 燃え尽き後を生きる

    個人的な経験に関する連載です。

  • エッセー

    今までに投稿したエッセーを全て一つにまとめました。 20本の記事が全て購読できます。

  • 燃え尽き症候群とはなにか:診断から立ち直りまで

    燃え尽き症候群に関して、燃え尽き症候群とはなにか、自分は燃え尽き症候群といって良い状態なのか、立ち直るにはどうしたらいいのか、ということを中心に実体験と欧米の文献を中心に検討した文章です。特に今仕事が辛くてやめたいけどやめられない、やめたけどもう何もできず絶望感に打ちひしがれている状態の方に向けて連載したものを一つにまとめたものです。有名人の体験談や、一個人の意見などの書籍しか(日本には)ない中、ヨーロッパにいた時に自分でたどり着いた結論を文章にしました。今苦しむひとの参考になれば幸いです。

最近の記事

  • 固定された記事

(0)働く世代のメンタルヘルスーこのサイトをはじめるにあたり

もう20年以上前に医師として社会に出て仕事をするようになってから、常にストレスを感じながら生きるているように感じている。 仕事そのものはおそらく興味をもってやっていたはずであり非常に熱心に学び研鑽していたと思うが、様々な精神的な負荷や体調不良を抱えながら世の中とはこんなものなのだろう、と感じながらも深く考えることなく日々を過ごしていた。 人間の体はうまくできているもので、本来の自然な状態に負荷を与え続けると精神的・肉体的に不調をきたしてそれ以上の負荷を物理的に止めようとい

    • 大学院ではなにをやるのか(2)

      具体的なアカデミックスキルの内容臨床疫学における背景 私は臨床疫学系の研究をしているため、社会科学や人文系の専門分野などとはまた内容が異なるだろうことはご理解いただきたい。医学系の中でも臨床疫学系はなんらかの形で医療に関わる職種の人が多く集まってくるため、医師・看護師・理学療法士、心理職、行政や医療翻訳など比較的多彩なバックグラウンドの人が多い。 医学研究には大きく分けてスピノザやライプニッツなどを祖とする大陸合理論の流れを組む基礎医学系と、ロックやヒュームといったイギリ

      • 大学院ではなにをやるのか(1)

        はじめに前回の様子見の文章が意外といいねがたくさんついたのでこの分野に興味がある人が多いことに驚くとともに、最近リスキリングなどという言葉が流行ってるように先行き混沌とした時代に入って自分にどのように投資し続けるかというのは非常に重要なことなのだろうと実感している。 かくいう私も元々このサイト自体が燃え尽き症候群になって無職となり気力も何も湧かない状態から徐々に社会復帰していく過程を記したものだけに、なにがどのようになっても生活していくためにはいいテーマなのだろうと思う。

        • 大学院への進学を検討する人に向けて

          はじめに自分は医師で現在も医学研究を続けているが、時々大学院進学に関して助言を求められることがある。現在も博士課程の大学院生の指導をしていること、自分自身も日本、スペイン、スイスなどで研究をおこなってきたこともあり、あくまで医学系かつ個人的な経験なので偏りはあると思うが一つの意見としてまとめてみることにした。 なお質問項目は大体以下のようなものなのでポイントごとに考えを述べてみようと思う。今回は私の略歴を提示するので、参考になりそうで興味が湧くようであれば次回より見てもらえ

        • 固定された記事

        (0)働く世代のメンタルヘルスーこのサイトをはじめるにあたり

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        • 大学院入学を検討しているひとへのメモ
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        • 燃え尽き症候群とはなにか:診断から立ち直りまで
          17本
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        • エッセー
          21本
          ¥2,000
        • South by Southeast : 燃え尽き後を生きる
          16本
          ¥3,000

        記事

          「リスキリング」と「生涯学習」

          しばらく全く記事を書いていなかったが、コロナ禍を挟んで最近しきりに「リスキリング(Re-skilling?)」という言葉を耳にするようになり、この三年間の活動を振り返る意味で久しぶりに文章をアップしてみることとした。 現在でもまだこのサイトに有料マガジンを残しているがそもそも自分がこのサイトを作ったのは長年外科医としてヨーロッパで色々なことに挑戦していたが精神的に追い込まれ燃え尽き症候群となり、当地の職を辞職し帰国することになったことに端を発する。 自己嫌悪と極度の抑うつ

          「リスキリング」と「生涯学習」

          ブログ記事再掲:燃え尽き症候群の海外のドキュメンタリー

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          ブログ記事再掲:燃え尽き症候群の海外のドキュメンタリー

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          South by Southeast: (13) Eruption-13

          ローザンヌの街はレマン湖の北岸に位置し、そこから坂を上がっていくと旧市街の街が現れる。その坂を上がるようにメトロが走っているが、その終点に当たるレマン湖のほとりのOuchyには観光船を兼ねた蒸気船が走っており、対岸のフランスのエビアンに行くこともできれば、東側に湖岸沿いを走る路線もある。 少し東に行ったところにはジャズフェスティバルで有名なMontreuxやネスレの本社があるVeveyなどもある。Ouchyはローザンヌでも手軽な観光地でもあり、特に夏には子供を連れて散歩する

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          South by Southeast: (13) Eruption-13

          South by Southeast: (12) Eruption-12

          スイスの中でも温暖だと言われるレマン湖沿いでも冬は雪が積もり、5月くらいまでは空気も冷たい。 週末は美しいスイスの光景を満喫するために列車に乗ってレマン湖沿いの街を散歩し家族で昼食を取るのが日課であった。身を切るような寒さの中、レマン湖の向こうに見えるアルプスの山々を見ながら湖沿いを散歩をする人々を眺めながらカフェでコーヒーなどを飲んでいると、自分の置かれた状況とその天国のような光景を重ね合わせ物悲しい気分になることが多かった。

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          South by Southeast: (12) Eruption-12

          South by Southeast: (11) Eruption-11

          ローザンヌの州立病院は丘の上に建っており、ローザンヌの街が一望できる。大聖堂を直下に見下ろしその向こうにはレマン湖が、そしてその向こうにはフランスアルプスが見える絶好の立地にある。 一度皆で回診しているときに、患者の入院する部屋からの絶景に思わず、”ここに入院している人たちは運がいいですね”と呟き、一緒にラウンドしていた上司や同僚から”それはどうなのかな”と一斉にツッコミを受けたことがある。 あれは不謹慎な発言だったのだろうか。オードリーヘップバーンやチャップリン、フレデ

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          South by Southeast: (11) Eruption-11

          South by Southeast: (10) Eruption-10

          ローザンヌの街は旧市街の大聖堂を中心に広がる。レマン湖の辺りからひたすら坂が続き、大聖堂の周囲は賑やかな商業街となっておりそれを横目にさらに坂を登ると住宅街との境目に大学病院が建っていた。 ローザンヌに勤めることになった時、外からその建物をみて、”自分はこれからこの病院に勤めるのだ”と言う期待と緊張の入り混じった気分になったことを昨日のように思い出す。

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          South by Southeast: (10) Eruption-10

          South by Southeast: (9) Eruption-9

          スイスの冬はとても長い。冬はもちろん雪が降るがレマン湖に沿うように伸びているフランス語圏はスイスの中でも温暖な地域であり、オードリーヘップバーン、チャップリン、フレディマーキュリーと言った著名人が最晩年を過ごしたのもVeveyやMontreauxと言ったレマン湖沿いの高級住宅街であり、今でも銅像が設置され街に彩りを添えている。 レマン湖の対岸には船で行くことができる。ローザンヌから船で対岸に渡るとフランスのエビアンに着く。ただいるだけで夢のような美しい景色に囲まれて生活がで

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          South by Southeast: (9) Eruption-9

          South by Southeast: (8) Eruption-8

          その日は朝から雪が降っていた。朝の7時前に家を出るとまだ外は真っ暗であり、すでに雪が積もっている中を病院まで歩いて行くのは一苦労であった。 ローザンヌは坂の町であり、冬には雪の中を歩くことが多いために冬用の靴を購入していたが雪国育ちでない私は結構な頻度で転けていたのを覚えている。

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          South by Southeast: (7) Eruption-7

          スイスの日照時間は日本に比べてかなり短い。冬には仕事にいく前も帰るときもほぼ完全に真っ暗であったが、夏でも朝はほとんど暗闇の中出ていく必要があった。 病院に向かうにはレマン湖を左手に見下ろしながら、近代オリンピックの始祖であるクーベルタン男爵のかつての私邸がある公園を通っていく。 病院での1日は朝の全体カンファから始まり、各チームが前日の出来事とその日の計画を短く報告する必要があり、主に私が報告した後質問があれば受け答えするのが常であった。

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          South by Southeast: (7) Eruption-7

          South by Southeast: (6) Eruption-6

          2011年の秋、単身ローザンヌに到着した私は病院の手続きや在留許可、住居の契約など慣れないフランス語で忙しくしていた。これから始まる未知の世界への期待と不安が入り混じり、何か現実離れした感覚に見舞われていた。 そんな私を前教授が仕事が始まる前に自宅に招待してくれた。レマン湖と対岸のフランスアルプスを見下ろす丘の中腹にあるマンションから外をみながら前教授は色々と話をしてくれた ”レマン湖の水の色は季節や時間によって紫になったり赤くなったり変わっていく。ローザンヌは本当に美し

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          South by Southeast: (6) Eruption-6

          South by Southeast: (5) Eruption-5

          隣の州はフランス語圏であり、スイスの時計産業の中心地であった。大きな湖の辺りにある街で、なんども上司を訪ねてここを訪れたが古い街並みが残る本当に美しい街であった。

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          South by Southeast: (5) Eruption-5