”Deal”できない日本人と燃え尽き

最近アメリカの大統領が色んな国に無理難題を突然吹っかけて大騒ぎになる(しかも冗談で済まないレベルの)ということが日常風景となり、またその人道に反する発言や行動が度々問題になるなど少し前までは前提抜きに正しいはずだった”道徳的考え”まで揺らいでいるような時代になりつつある、と感じたりしている。

それはさておき、このアメリカ大統領が好んで使う言葉にDeal(ディール)というものがある。これは一般的には取り引きなどビジネスなどで商談成立と言った意味合いで使われているようで元々ビジネスマンである大統領がその延長で使っているのだろうと思うが、これに関してなかなか興味深い政治が行われているなと思いながら見ている。

実際、まず無理難題を吹っかける・報復や攻撃をチラつかせるといういわばいきなり殴りかかるようなそぶりを見せて相手がひるんで妥協するのを期待してより有利な”商談”を成立させる、という手法が好きなように見える。

しかし交渉相手も中々手強いことが多く、そもそも粘り強い交渉で有名なドイツのメルケル首相や優秀なビジネスマンであったフランスのマクロン大統領、超大国中国の絶対的なトップとなった習近平国家主席など脅されてひるんで譲歩をするという感じでもなく、それに応じて大統領側も飴と鞭を使い分けたり国際政治も中々大変だが、大統領がこの手強い交渉自体を好きでそれを通して付き合う人物を選んでるのではないか、などと感じたりしている。

国際政治に詳しい訳ではないので印象だけで話して申し訳ないが、どうも日本との交渉は何となくただ最初から譲歩して相手に好印象を与え便宜を図ってもらうのを期待する、という日本に居ると割とよく見る光景に準じて行われているように見えるが、ただ単に一方的に便宜を図っているだけの結果になっていないだろうか、と心配している。

このような話を出したのは以前より欧米の人々と日本人の間の交渉の仕方の違いが、燃え尽き症候群を引き起こす上で大きな影響を与えているのではないかと感じているからで、今回少しその点について考察してみることにした。

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