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今更讃岐戦について雑感めいたことを書いたり~それなりに思いとか、清算できたので今頃書いてみたりする~

もう、あのカマタマーレ讃岐戦が1週間も前のことになった。

この試合、朝、鳥取行きの特急列車に乗るまでは、「何が何でも勝ちたい。勝って5年半前の悔しさを少しでも晴らしたい」と思っていた。

こいつ(スーパーまつかぜ4号)に乗車するまではね。でも、乗って着席して発車して少しずつ経過するごとに、心境が少しずつ変化してきた。
俺は何しに鳥取に行くのか。そう。それを考え始めたら、ひょっとして、勝敗以上に重要なもんってあるんじゃないのか、って思えるようになってきたのだ。
5年半前のとりスタではともかく、今回の試合だって、別にカマタマーレ讃岐に煮え湯を飲ませたいわけではないし、ガイナーレ鳥取のケツをしこたまぶっ叩いて「おい、てめえら勝てよコノヤロー!」とかやりたいわけではなかった。
もちろん、試合をする以上、何らかの決着はつくだろう。それが勝利のこともあれば、敗戦の場合もある。ドローだってあり得る。
だけど、正直なところ「もう何だっていいや」と思うに至るようになってきた。

なぜか。

この5年半の間、ガイナーレ鳥取もカマタマーレ讃岐も、お互いにチームがなくなるようなこともなく、紆余曲折はありながら続いてきた。ガイナーレ鳥取はJ3リーグで、カマタマーレ讃岐はJ2で、そして今年からはJ3リーグで、戦うわけだ。
まず「そうやって久しぶりに相見えることができたのだからそれでいいじゃねえか、それ以上何を望むんだ?」と思えるようになってきた。

別に綺麗事を言ったり、お為ごかしを書いてるわけではない。勝敗とか、それにまつわる恩讐とか、そんなもん、どうでも良いって思えてきた。立脚点は違うし、辿ってきた道も違うところはあるけれど、彼らはある意味で「戦友」みたいなものだ、と思えるようになってきた。

勝ちたいなって、心の片隅では思ってはいたけど、それはそれ。まずその前に、両チームが無事に試合を終えることができますように、そしてこの試合がイベントとして成功裏に終わりますように、と、それをまず思った。

約2600人と、多くのお客さんが集まってくださった。無論、鳥取を応援する人だけではない。カマタマーレ讃岐のサポーター諸氏も香川県などから多数詰めかけてこられた。彼らには心底お礼を申し上げたい。彼らの存在なくして、この試合をここまで盛り上げることはできなかっただろう。

試合は、後半途中までは鍔迫り合いの様相を呈していたが、フェルナンジーニョのFK→これを受けた福村が中程にはたく→そこに小林がいた→彼がポストのような役割をしてボールを落とした→その先にアドリエルがいて勢いに満ちたシュートを蹴り込んだ、という流れを経て・・・

こういうことになった。とりぎんバードスタジアムは最高潮の盛り上がりだった。

でも、最後のホイッスルが鳴るまでは油断してはなるまいぞ、とも思ってはみたが、以前のもっと身体の自由が利いて応援活動にも熱心だった頃なら、この1点を足がかりとして最後まで攻め続けよう、ぐらいの鼓舞をしたくもなるところだが、今の心持ちは少し異なっていて、とにかくこのまま試合が終了するまで、何事もなく無事に行ってほしい、と思っていた。

心境がこの5年半でだいぶ変わってきた。自分なりに「勝敗とは別次元の楽しめることがあるんじゃないか」という思いがあったればこそ、とにかく無事に終わってほしいと思えるようになったし、結果として勝ててたらそれで良いんだって思うようにもなった。

そこだけをピックアップすると、自分はサポーターとしては穏当でつまらなくなってしまったのかもしれない。でも、今みたいな境地にいることも、決して悪いことばかりじゃないとは思っていて、どう言うんだろう、まずサッカーに没入できることを喜びたい、という心情が強まってきた、とでも言うべきなのかもしれない。必要以上に勝敗に拘るよりも、もっとこう楽しむべきこととか、楽しめることとか、あるんじゃないかって気にもなってきた。

この活動にちょいとご協力したりするのも。そんな「楽しめること」の種まきというか下準備というか、そういうもんだと思えばこれはこれで意義のあることだと思った。
実際に幟旗ができるのかどうかは知らないけど、是非ともできてほしいなって思う。

帰り際にバス待ちの列に並んでいる讃岐サポさんたちの表情を観てたけど、確かに彼らは「敗戦という結果」自体には落胆しているようではあったが、この試合そのものには十分に没入してたのではないかと思えた。

そんな、一部ではあるがカマタマーレ讃岐のサポーター諸氏の表情を観ていたら、結果はどうであれ、カマタマーレ讃岐と5年半ぶりに共に試合ができて良かった、と心の底から思うことができた。

決して往復共に要する時間は短くないけれど、そのどちらもが決して長さを感じないほど充実した時間に思えたのは、列車で鳥取まで行くようになってから、恐らく初めてのことだった。特に帰りは、もっとこの列車(スーパーまつかぜ9号)に乗っていたいと思うほど、満ち足りた時間を過ごすことができたと思っている。

今まで何回も乗っているのに。そんな風に思ったのは、今回が初めてのことだった。この先、そういう思いのできる相手と、どれだけ巡り会えるだろうか?そして、そんな思いのできる試合を、あと何試合ぐらい経験できるだろう?せめて、これから先も無事に鳥取や米子まで往復できる間に、何度となくそんな相手とそんな試合が経験できたら良いのにな、って思うのだ。それは決して満足に叶うばかりとは限らない夢だけれど・・・でも、せめてあと何試合かでいいから、そんな相手と巡り会うことができて、そんな試合を経験できたら良い。今は心からそう思う。

今回、心からそう思わせてくれたカマタマーレ讃岐というチームに、最大級の感謝をしたい。自分の身体の状態ではピカスタには行くことは難しいだろうけど、でも、ピカスタでも素晴らしい試合ができたら言うことはない。お互い、それができると信じている。

基本的に他人様にどうこう、と偉そうに提示するような文章ではなく、「こいつ、馬鹿でぇ」と軽くお読みいただけるような文章を書き発表することを目指しております。それでもよろしければお願い致します。