「ダンス20年も続けてきたのに、なんでウチを受けたの？」

就活の時によく聞いた”定型文”だ。たぶん累計で20回くらい聞いた。

〜〜〜

ボクは5歳からダンスを嗜んできた。

母親がもともとエアロビクスのインストラクターだったので、ボクもそのレッスンについていく形でいつの間にかダンスを”やらされていた”。

そう、そもそもボクはダンスを自らすすんで始めたわけじゃない。

家庭環境の成り行きではじめたのだ。

まあ、その後いろいろあってダンスが好きになっていったのだが（ここを語るとそれだけで記事3本くらい書けるのでやめておく）、今はあまりダンスをやっていない。

たまにイベントや飲み会の余興でやることはあるが、1年前よりも頻度はだいぶ減った。

ただ誤解をされたくないので言っておくが、別にダンスを嫌いになったワケじゃない。今でもめちゃめちゃ好きだ。

なんならダンス一本で食っていこうと考えていた時期もあった。

じゃあなんで、20年続けたダンスの道をやめて、今は編集者をやっているか。

理由は2つある。

1. 単純にダンス一本で食っていくのは大変

これに関しては元も子もない理由ではあるが、けっこう大事な問題だ。

確かにボクの知っている限りでも、ダンスで生計を立てている人はそれなりにいる。

ただ、「稼げているかどうか」で考えたら別の話だ。

ダンスのインストラクターの給料や、イベント出演・ジャッジのギャラだけで食っていくのはなかなかに困難。他に別の副業（あるいは本業）やバイトを掛け持ちでやっている人が多い。

もちろん、ダンス一本で稼いでいる人も中にはいるが、極めて少数派だ。

ボクはダンスの世界に、本格的に足を踏み入れる勇気はなかった。

正直、20年というキャリアのわりにダンスはそんなに上手くなかったし、またそこまでダンスが好きになれるか、そしてダンスに本気になれるか心配だった。

ワクワクよりも、不安がまさった。

ちなみにボクの弟は某有名芸能プロダクションでダンサーとして活動しているのだが……大丈夫かな、ちゃんと食っていけてるのかな。

もちろん、彼はボクよりもはるかにダンスが上手いので、きっと成功すると信じている。

だが、心配には心配だ。いろいろ苦労してそうな噂は聞くし。アイツのことだから、なんとかなるとは思うんだが。

2. ダンスよりも楽しい道を見つけてしまった

1. よりも、こっちの方が本音だ。

ボクはダンスを含め、昔から何かを作るのが好きだった。

オリジナルゲームを作ったり、Webサイトをつくったり、作曲したり、絵を描いたり。

創作活動はボクが一番イキイキする時間だった。

その中でもボクは、「REMIX音楽」や「コラ画像」「MAD動画」の作成が好きだった。

既存のクリエイティブにボクが手を加えて、より良い（またはよりぶっ飛んだ、クレイジーな）ものを作り上げる。

ここに一番の楽しさを覚えた。

編集者という職種は、ある意味でREMIXの究極系だと思っている。

いろんな人の創作物に関われる。

人が作ったクリエイティブを、ボクの手でさらにブラッシュアップできる。

こんなに楽しいこと、他にあろうか。

正直、自分でイチから創作するよりも楽しいかもしれない。

なので、単純にダンスよりも編集者の方が楽しかった。

だからこの道を選んだ。

ボクが決めた人生を笑うな

さて、ここからが本題だ。

「ダンス20年も続けてきたのに、なんでウチを受けたの？」って聞いてきた面接官よ。

純粋な疑問でそれを聞くのはまだいい。

だが、「ああ、コイツはダンスで食えないって諦めたからウチに就活しにきたんだな（笑）」って顔するのはやめろ。

志望者のボクはその辺わりと気づいてるぞ。

「夢破れた青年」としてボクを勝手にカテゴライズするな。まだまだ夢真っ只中の中学二年生だわ。

あと”御社”の最終選考で、ボクがダンスの道じゃなく御社で働きたい理由をマジメに述べた後に、「ふーん。じゃ、ウチにきたらダンス辞めれる？」って言ってきた面接官のMさんよ。

やめるワケねぇだろカス。なめてんのか。

今はたしかに編集者の仕事で精一杯だけど、ダンスはやめねぇよ。ゆるーくだけど、一生続けるつもりだよ。

ちなみにその”御社”からはお祈りされた。

最終選考では「ダンス辞めれるかどうか」しか聞いてこなかった。「時間を見つけて続けます」って答えたのが相手の心象を悪くしたのだろうか。

どっちにしろ、”御社”に行かなくて本当に良かった。内定もらってたら行ってたわ。危ない危ない。

ふと思い出したので書き殴った。

深夜になると、時々こんなふうに感情が荒ぶるから困る。常に昼間ならいいのに。