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浦和レッズが近づく理想と1年目の現実

8月にJリーグが再開して4試合を終え浦和レッズは3勝1敗とまずまずのスタートを切った。夏の大型補強を終え、戦力が固まってきた中で広島戦でリカルド監督の理想的な形が見えてきた。

サンフレッチェ広島戦のスタートの選手を今までの形で話せば4-4-2(4-4-1-1)で予想されただろう。

試合の中でもこのようなシーンになる時間帯はあったが、この形で留まらなかった。

3-4-3の形で試合を進める広島に対して、4-4-2ではカバーしきれない大外のレーンをケアするために守備時には5-3-2の形になり、広島のストロングポイントのサイド攻撃を防いだ。

また、守備の時間だからといって攻撃を緩めないために中盤の人数を削り、前に2枚残してカウンターの脅威を残していた。

一方、先制後に引いて守る時間が長くなったときにはマンツーマンでマークをつけるように3-4-3(5-4-1)に変化させる時間帯もあった。

酒井や槙野といった対人の守備に強い選手がいる浦和は一人一人の対戦相手が明確になることで、ストロングポイントを活かした守備が出来るようになった。

攻撃でもまた形を変えながら対応し始めた。3-4-3の形や3-5-2の形でボールを回すとDFラインが相手の3トップにはまってしまうため、ショルツがサイドに開き酒井が高い位置を取り、江坂がそのスペースへ降りて来る形をとることシーンが見られた。

相手の3トップに対して4+1で回していくことで、はまることなくスムーズに前進しようという意思が見えた。特に得点シーンは顕著に現れた。

平野が少々低い位置にいるが広島の3トップは数的優位に回されないために無理にプレスには行かない判断をするが、ショルツに気をとられてしまいフォワードにギャップを作ってしまう。

そこから伊藤が前を向きながらボールを受け、同時に関根とユンカーがスピードを上げることで得点につながった。
まさにビルドアップの狙い通りの得点となった。

ここまでリカルド監督の狙いと理想を書いてきたが、現実としてボールポゼッションは広島が上回る時間が多かった。理想的ではない試合展開だろう。

その理由はいくつかあり、まずはリカルド監督が3バックと4バックの可変をまだうまく落とし込め切れていないという現実だろう。今までは基本的に4バックで戦ってきたため急造の3バック感は否めない。そこがスムーズに適応できるにはもう少し時間が必要だろう。
また、選手たちの連携にもまだぎこちなさが残る。ビルドアップでの細かいパスミスや守備時の連携(特にショルツと関根)など今年の冬または夏に加入したばかりの選手が多くコミュニケーションが上手く取れているとはいえない。しかしこれも時間が解決してくれるほかない。

まだまだリカルド監督のサッカーは始まったばかり、1年目の成績で言えばACL権争いに食らいつけている上々なものだ。しかし、フロントが立ち上げた3年計画では今季の目標はACL権獲得と得失点差+2桁と現状では達成はギリギリのラインである。
来季にリカルド監督の進化を見続けるには過激な浦和サポーターがこの後のシーズンをどれだけ我慢できるかが鍵となるかもしれない。

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