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ムスリマが明かす「見せない美しさ」とアッラーへの愛

著者は、十数年前の改宗以降、女性のイスラム教徒(ムスリマ)として、パリでイスラム教のシンプルライフを教える専門家として活動しています。多くの方々にイスラム教の文化や風習、考え方をわかりやすく理解してほしいとの考えから本書は誕生しています。

イスラムと仲よくなれる本」(森田ルクレール優子 著)秀和システム

■ムスリマは髪以外の部分もかくすの?
最初にムスリマ(女性のイスラム教徒)に関する素朴な疑問です。ムスリマは髪以外の部分もかくすのでしょうか?

ムスリマは髪だけではなく、手と顔以外はかくします。自分のかわいいところや、きれいなところは、いちばん大切な男性、つまりパパ(ママの夫)にしか見せません。もし、ママのきれいな髪を見たほかの男性が、ママを好きになってしまったら、みなさんもこまりますよね。だから、結婚した人の前だけでしか見せないのです。(著者)

プレゼントをもらうとき、ラッピングで包装されているものとされてないもの、どちらがうれしいでしょうか。「包装されているほう」と答える人が多いと思います。包装されたプレゼントをもらうと「どんなものが入っているんだろう?」と知りたくなってワクワクしますよね。 それに、大事にされている感じがしますし大切なものをいただいたような気がします。(同)

著者は、ムスリマは自分の体を見せない。「見せない美しさ」だと言います。

日本でも「おくゆかしい」という言葉があります。これは「上品でひかえめなこと」という意味です。何でも包みかくさずにではなく、こうした「秘めたる美」があるからこそ、人は「知りたい、見たい」と思うのです。見えないところまで行きとどいていそうだからこそ、もっと知りたいと思うのです。日本にしかない価値観ではなく、イスラムでもあります。(著者)

イスラムでは、女性にかぎらず、男性も肌を必要以上に見せることはありません。男性は、女性に比べたら見せないところが少なくなるだけです。体はアッラーから自分にあたえられたギフトなので大切にするのです。なかには、五体満足で生まれてこなかった方もおられます。それでも、アッラーが自分にあたえてくださった体なので、やはり大切にします。(同)

■アッラーがあたえてくれたギフトとは
著者は、顔もアッラーがあたえてくださったギフト。その人におくられたアッラーからの「愛のしるし」だと言います。

なぜ私はこんな顔で生まれてきたのだろう、と思う人もいるでしょう。私も、かつてはそうでした。 自分の顔がイヤで、中学生のころから毎日お化粧をしていたほどです。ですが、顔はアッラーが私にだけあたえてくださった「愛のしるし」と知ったことで、自分の顔に好感が持てるようになりました。(著者)

だれかが、あなたの顔のことで、何か言ってくるかもしれません。 でも、そのようなことを言う人のほうがおかしいのです。イスラムでは「なかに秘めている心の美しさ」で人を見ます。 顔を変えることはできませんが、心はだれでも変えることができるでしょう。心が変わると、表情が変わり、内面からの美しさが出てきます。(同)

著者は、街でムスリマに出会ったら、このことを思い出してくれたらうれしいと言います。

■イスラム教徒を理解するための入門書
中東や東南アジアをはじめとして、イスラム教国家の方々が来日するようになり、観光客はもちろん、今や都市部を中心に定住される方も珍しくありません。また、イスラム教国家からの留学生も増えてきた影響で、ハラールフード(イスラム教で食べることが許されている食事のこと)を追加する学校も増えつつあります。

これまで、イスラム教に関する本は、宗教観や歴史などを解説する本が多く難解でした。本書はイスラム教徒の衣食住に関する素朴な疑問や、日常生活から面白そうなイベントまで、イスラム教の楽しさ、面白さ、そして意外性までを簡潔にわかりやすく紹介しています。イスラム教徒について知りたい人の入門書として相応しい一冊といえるでしょう。

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