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地味な作業ですが

学生時代に看板屋でアルバイトをしました。
画家の社長が映画館の看板なども描いていたので
芝居の背景の大道具を引き受けることになり、
そのため美術系の学生をアルバイトに使ったのです。

横にしたベニヤ板を6〜7枚も使う大型パネルを
6枚ほど完成した後、ドサ回りの一座に着いて行き
その背景を組み立てる仕事を打診されました。
暇もあり、3人で相談して行くことにしました。

その道ではかなり名の通った大江美智子一座という
女剣劇の一座で、座員たちとは別扱いの裏方です。
田舎の映画館の夜の部が仕事の始まる時間です。
それまでは全く仕事もなく時間潰しが大変でした。

ある時、大道具を運び終わり、ボーッとしていると
突然雨が降ってきました。
商売道具なので建物にすぐに入れなければと思い、
仲間に声をかけると、二人ともう動こうとしません。

かなり重かったのですが、一人で移動させました。
そういうのを見ていたのか、巡業がひとまず終わると
次も付いてこないかと声をかけられました。
なんでもない地味なところでも人は見ているものだと
肝に命じた出来事でした。


ここにくるまで色々なことをしてきました。
劇的に変化をしたのは5ミリの砲弾型のLEDから
小さなチップLEDが手に入るようになってからです。

砲弾型の時には、それに被せる方法を使ったのですが
小さくなってからは陶器の台の首に被せるようになり
それに伴いより精密な加工が要求されました。

台の細い首ぴったり合うようなリングを作って
それに笠を支える支柱を取り付けることにしました。

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まずリングは真鍮の板を輪にしてろう付けします。
銀ロウが溶ける温度はハンダの温度より高いので
温度差を作ることができます。
後からハンダを使ってもリングのロウは溶けません。

今やっているロウ付けの方法は一般的な方法ではなく
色々試して、やりやすかった自己流の方法です。

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まずつなぎ目にフラックスをつけて加熱した後、
小さな銀ロウをそこに置きバーナーの炎を当てると
銀ロウは瞬時に溶け、作業はすぐに終わります。

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そのリングに真鍮線をハンダ付けしていきます。

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1本が終わったら、それを直角に曲げてから

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2本目をハンダ付けし最後は十文字にします。

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それを笠に合わせてリングが中央になるように

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真鍮線を曲げて調整していき、完成となります。
地道な作業ですが、自分の好きな作業です。


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