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9つの失敗と1つの成功、そして…。

新しいことを始めたときに、待ち受けていることはなんだろうか。

それは、失敗だ。

それも無数の、散々たる様の、失敗だ。


去年、日本に帰ってきてから陶芸を本格的に初めた。それからおよそ半年がすぎた。
商品にするような作品が、未だに数点しか出来ていなくて焦る。

正直に言うとですね、甘くみてたんです。
もっと早くに出来ているだろうと。

デンマークで陶芸に打ち込んだのは去年のことだ。デンマークでの陶芸教育は、かなりのスパルタ方式だった。

基礎の基礎だけ教えてくれて「あとは好きにやれい!」というマッチョスタイル。粘土を練ることなんて教わらない。とにかくやってみい!失敗も味のある成功だ!という荒波スタイル。

こんな作品を作りたい、なんてデザインを考える暇なく、とにかく粘土成形を始めるのだ。

こねこね。
(とりあえずコップかな〜。)

こねこね。
(花型のお猪口つくろうかな〜。)

不思議だ。触っているうちに、デザインの方向性が決まってくる。

なんとなく形を作り、なんとなく焼いてもらう。

できた!

できちゃうのである。不思議と思ったとおりのお猪口ができていた。

こんな適当で出来ちゃうのだから、日本に帰ってきて陶芸をはじめたときも、なんだかんだで出来てしまうものだと思っていた。


陶芸でのアクセサリー作りは、デザインを描くところからはじまる。

できるかどうかは気にしない。

こんなのあったらいいな、という願望からイメージを膨らませて、思いつくままに描いていく。最初は簡単なものしか思いつかないけれど、描いていくうちに、アイデアがわいてくるから脳って不思議だ。

シンプルな四角

これは、とってもシンプルなデザイン。

シンプルだからすぐに出来ると思っていた。
それが苦難のはじまりと知らずに、作りはじめたのだ。

作る工程を想像すると、すぐ壁にぶつかることに気がついた。この四角モチーフの裏にも釉薬(ガラスコーティング)を塗りたい、けれどどうすればいいか分からなかった。

陶芸教室にいた先輩方に聞いて、色々試す。しかし、すべて不発。

それだけじゃない。釉薬にムラがでてしまい、まったく美しくないことに愕然とする。

陶芸教室の先生にアイデアをもらうも、またしても不発。

この時点で、失敗した試作品は9個。

「これならイケる」と思っていた大本命のアイデアも失敗に終わり、投げ出さないけれど、投げ出すことが一瞬頭の片隅によぎる。

同じサンプルで2回テストすることもある。

ちなみに、これまでに作ったサンプル達は、すべて実験計画にそっている。陶芸制作も研究と本質は同じだと思い(元研究職)、計画書を作り、結果と次にとるべき行動をまとめている。

わたしが分かればいいので汚い

問題点はわかっている。次の案もある。けれど、成功に近づいている感じが全くしない。暗闇の中をただ歩き回っている。光が欲しい。ほんの少しの光でいいのだから。

この時間はとても苦しい。

見た目にも改善されていれば、まだ近づいている気にもなるけれど、変化のみえない失敗に「本当に成功するのだろうか?」という疑問が頭をもたげてくる。

それでも信じて行動するしかない。

アイデアが尽きたとき。そのときになってはじめて、デザインそのものを一時的にボツにすることを考えよう。

そんな中、10個目のトライ。

台座を自作しなきゃいけないし、青色の粘土を使って、瑠璃色の釉薬をぬらなきゃいけない。工程はグッと増えた。

さあ、どうだ!

瑠璃色がツヤっとしてます。そして裏面もガラス質。

出来たーーーー!!!!

シンプルな紺色の四角。これがこんなに大変だったなんて。。。

ちょっと涙ぐみました。

残念ながらこの話はここで終わらない。

裏面に小さな穴が空いているのだ。

陶芸の先生は「削れば目立たなくなる」とのアドバイスをくれたが、穴は目立たなくなったものの消えそうにない。それだけじゃない、穴の周りが擦れて、せっかくのガラスの輝きがなくなってしまっている。

1個成功したと思ったら、新しい問題が発生する。

しかし、アイデアは、まだ、ある。

成功するかは分からないけれど、アイデアは「ある」。

実は3日くらいいい案が思い浮かばなくて、途方に暮れていたけれど、しつこく考えれば思いつくものだ。

諦めない限り、アイデアはでてくる。

そして、諦めない限り、いつか成功するのだろう。


お読みいただき、ありがとうございます。
次の記事でお会いしましょう。

またねー!

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