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絵画にあった、自分像。

私の中での大事件。それは、9月上旬に起こったできごとだった。

まさか、私に「絵画」を意識する日がくるなんて......。

ふらっと行った近所でやっていた展示会、そこで出会った1枚の絵画(抽象画)に、気持ちがもっていかれてしまった。

作品はほかにも色んな種類はあったんだけど、これを見たときに「アッ」と小さい声が出て、絵の前で立ち止まってしまった。

「ほしい!」

はじめて湧き上がる気持ちに動揺して、「えええ、どうしてぇ!なんで、ありえない!」と心の中で自分に突っ込みをいれた。だって、超偏見なんだけど絵画って、お金をもっている人の家だけに飾られる娯楽で、私にはほど遠いものだと勝手に思っていた。

だけど、この作品には「なりたい自分像」が詰まっていた。

深海で見れるような深みのあるブルーと、真っ白と淡い白色のコントラストは潔く、凛とした印象がある。はっきり残った筆の跡からは、人間らしい「あたたかみ」が感じられる。和紙のうえに油絵で描いた素朴な質感も、またいい。

周りを囲うゴールドで縁取られた額の素材やかたちからもキリっとした意思の強さが感じられて、これからなにかを決めたり、大変なことに向き合ったりするときにこの絵画から感じた佇まいを大事にしていきたいと思った。

これを描いた、太田保子(おおたやすこ)さんに何度かお会いしたことも絵画を買うきっかけになった。

75歳の太田さんは、少女のような純粋さあふれる、好奇心のかたまりのような人だ。いつもニコニコしていてファッショナブル。会うと背筋がスッと伸びる気分になる。
「色」に対して敏感で、いい色にはよく反応する。この日も私が持っていたカゴバッグの持ち手の色について興味をもってくれて、「それ、いい色ね。ほかの色もあるの?」と聞いてくれた。太田さんの目のつけ所の新鮮さに清々しい気分になって、絵を買うことに緊張していた私の心はほぐれていった。

作品名は、『青のコンポーネント』
四角で構成されたかたちから成るこのアイデアは、私が普段お世話になっている人から発想をもらったんだそう。
また、太田さんにとっても、今回展示した中で1番お気に入りの作品らしく、これを選んだ自分!よくやった!と誇らしい気持ちに。
これもまた、不思議なかけあわせだなぁ。

絵画って、飾る人にとっての理想像がうつしだされているのかもしれない。
描いた人、描いてあるもの(モチーフや色、かたち、素材など)への興味を入口に、毎日見ることで「その絵に投影した自分」に近づけることがあるのかなぁと。絵画を飾る人の気持ちが少しだけわかったような気がした。

こうして、初めての絵画体験は、1本のnote記事を書かせるまでの私にとっての大事件となった。ちゃんちゃん。

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