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ミラクルの集まり。十場あすかさん:陶展 "ash"

十場(じゅうば)あすかさんの陶展 "ash"をみにいった。
作品は、全部で300点以上。色もかたちもそれぞれ個性あふれる表情豊かなうつわが並んでいた。

あすかさんプロフィールはこちら。

1983年広島県生まれ
2007年京都伝統工芸専門学校
卒業後、神戸市にてつくも窯を夫とともに開窯、独立。
子育てで休業し、2017年に活動復帰。

普段は自宅の神戸に工房があり、作品をつくっている。
プロフィールに「子育てで......」とさらっと書いてあるが、彼女にはなんと4人の子供がいる。あとで聞いてびっくり。子育てで超大変な毎日を送りながら、農業もやり、陶芸もやっている。しかも今回個展のためにつくった作品数は300点以上。

そんなパワフルなあすかさんがつくるうつわがとても良かったので一部ご紹介します。

定番でつくっている白色の鍋やグラタン皿。
耐熱皿で、オーブンでも使える。

柄が入っている渋めの急須やお皿も。


なかでも一番驚いたのは、絵画のような幻想的な色のうつわ。
小宇宙の様で見入ってしまった。


このブルーは熱湯で溶かした重曹(ソーダ)を焼き窯に投入することでこんな色が出るんだそう!重曹って、あの掃除に使うやつ。すごい。

ピンク色は、銅を塗ってから窯で焼いたらこんな色になったんだそう。


作品についている斑点のような黒い粒は、土の中にある鉄が出てきたもの。この鉄も、うつわによって出てきたり、出てこなかったり全然違っていて不思議。


自家製の稲わら灰の釉薬や、窯焚きでのった灰がふりかかるとこんな勇ましい表情にもなる。


『今回の作品はミラクルが起こったんです』とあすかさんは言っていた。この不思議な色合いや模様はいくつかの条件が重なって生まれるもの。
どんな窯で、どんな材料と一緒に焼くかをはじめとして、どの位置に置くか・温度・湿度はどうなのかー
偶然の掛け合わせで生まれたものが多かったので、全く同じものを作ろうとしてもなかなか難しいことがある。


彼女一人の手から、こんなに表情豊かなうつわたちが生まれるなんて。一体窯のなかではどんな化学反応が起こっているんだろう。
その神秘性にただひたすら感動した。


さて、私は何を買おっかなぁ。

悩みに悩んで、耐熱シリーズのグラタン皿を買った。
適度な厚みとフォルムに一目ぼれ。

このお皿、持ち手部分が広くなっているのがいい。オーブンから出してアツアツの状態でも持ちやすく、少しだけ残っているザラザラの質感が滑りどめになってよかった。

裏側も無駄がなくきれい。


もうこのうつわを買ってしまったらグラタンのことで頭がいっぱいになってしまい、今日、早速グラタンをつくってみた。

本気仕込みのホワイトソース。ちゃんとオーブンで焼けました。嬉しくて、早速友だちの家に持ってプチパーティーを開催。おいしくてうつわも評判で、大満足。

あるお客さんは、「あすかさんのうつわは日常に溶け込んで使いやすいのよ」と言っていた。
「そこにいるのが当たり前になっているのよね」とも言っていた。

聞いていて、なんだか自分のことのように嬉しくなっちゃった。

あすかさんも一日中、一人ひとりのお客さんに説明していた。彼女のつくりだす柔らかな雰囲気が、個展の空間に充満していて心地よかった。

今回もいいうつわと出会えてよかった。あすかさんのおかげで、これからグラタンつくるのが楽しみになりそう。

あすかさんの旦那さん、十場 天伸(てんしん)も陶芸をやっていて彼の作品も素晴らしいのです。次は神戸に遊びに行きます。


▼個展、30日までやっています。

十場あすか陶展 "ash"

日時:2019/6/22(土)〜6/30(日) 12:00〜18:00
作家在店日 6/22(土)
休店日 6/26(水)

場所:器MOTO


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