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「好きな食べ物は何ですか」の答えを考える

kdkです。

「何のnote?」って感じなんですが。

まあ「書きたいことは書いてしまえ!」と思ったので書きます。

難題「好きな食べ物は何ですか?」

この間初対面の人と話していて投げかけられた質問であり、幼い頃から幾度とされてきたはずの質問なのですが、びっくりするくらい答えられなくて、何故か悲しくなってしまいました。

こういうのってスッと答えられると思っていたんですが、全然スッと答えられなかったんですよ。

「死ぬ前に食べたいものは?」と聞かれたら「あったかいおうどん」と答えるし、「今一番食べたいものは?」と聞かれたら、「甘エビ、ホルモン、明太子、豚トロ、蟹味噌(磯丸水産にあるやつ)」とスッとベスト5まで上げられます。フランスにないものから選ぶので簡単です。

「好きな野菜は?」と聞かれたら「白菜、かぼちゃ、えのき、エリンギ」と答えられるし、「好きなお肉は?」と聞かれたら「全部好きだけど選ぶなら牛肉」と答えます。「好きな飲み物は?」に答えるのはとても簡単で「日本酒。でも夏はビールも」って感じです。家族が作ってくれるものなら「すき焼き」が好きです。あとは「おせち」「お雑煮」も好きで、年末年始に帰国できない時は、夏に年越しうどんとおせちとお雑煮を作ってもらうくらいには好きです。七草粥もあったら嬉しい。

ただ「好きな食べ物は?」と聞かれると幅が広すぎるのか答えるのがかなり難しいんです。

スッと答えていた時期もあったけど…

幼稚園から小学校低学年くらいまでは「おかし」と答えていた記憶があります。当時の私にとってお菓子はご褒美であり幸せの具現化のようなもので、将来の夢も「おかしやさん」と答えていました。単純であり素直です。この「おかし」の中には、「ねるねるね」から「さきいか」まで含まれています。かなり幅の広い「おかし」です。

大学の英語の授業とかで話題が出たら「かぼちゃ」と答えていたんですが、アメリカのハロウィン時期にスタバが出す「パンプキンスパイスラテ」というラテを飲んでから「かぼちゃ」を取り下げました。私の舌には全く合わなかったんですよ、パンプキンスパイスラテ。よくよく調べたらアメリカのカボチャは甘くないのがほとんどなんだとか。英語で意気揚々と「I like  pumpkins!」とか言っても指してるものが違うなら辞めようと思ったんだと思います。そのあとはしばらく「I like sushi!」って言っていた気がします。実際カリフォルニアロールはおいしかったので。

そもそも何でこんな質問をされたのか

私、好き嫌いがとても多いんです。

生野菜(というか生の草)はほとんどだめで、ランチセットのサラダは本当にほとんどお飾りになってしまう(外してもらえる時は外してもらう)。草だけではなく、ブロッコリーとかきゅうり、ピーマンといった緑の強い野菜は飲み込めた記憶があまりありません。食感と香りが相性が良くないみたいです。火を通せば概ね食べられますが、ブロッコリーときゅうりはなかなか厳しいかもしれない。粉々にすれば食べられますが、それは食べられると言っていいものなのだろうか。究極は水菜で、あれはもう火を通しても草。咳をしても、草。ナッツ類もアレルギーだし、外食ではかなり他人に気を遣わせる舌と体質をしています。

ワサビや、梅、キムチなど香りの強いものも食べられるようになったのはここ最近です。

誰かとご飯に行こうとなったときに、有難いことに「食べられないもの」を聞いてくださるわけなんですが、上記の量の食べられないものがあるもので、「じゃあ逆に好きな食べ物ってなんなの?」と聞かれるわけなんです。次いで「普段何食べてんの?」も聞かれます。主に嫌いなもの以外を食べているんですがね。野菜が好きな方からすると何も食べていないのではないかと心配されます。

さて、どう答えようか

「好きな食べ物は何ですか?」に対してスッと答えられずに会話を止めるのもおかしな話なので、返答をある程度固めておきたいわけなのですが、それが難しい。その時食べたいと思うものは、その時々で変わるし、誰といつどこで食事して、何を飲むかとかにも左右されるし(TPOに似てる気もする)。今はフランスにいるから日本でしか食べられないものが恋しいし。

考えに考えて、一応今のところ一番好きかもしれないと思っているのが「甘エビの昆布締め」と「刻みわさび入り大根おろし」なんですが、これでいいのだろうか、と。

甘エビの昆布締めは、味はもちろんのこと、ねっとり食感と見た目も艶々を通り越してトゥヤトゥヤで、私にとっては「食べて美味しい、見て美味しい」ものです。日本酒にも合う。最高です。

ただ、例えば、「昆布締め」みたいなワードを出すことによって

「好きな食べ物何?」
「甘エビの昆布締めです」
「昆布締め?渋いね〜。居酒屋とか詳しい感じ?どっか教えてよ〜」

みたいな会話になってしまったとして、私はそんなにお店に詳しくないし、お店巡りよりも行きつけに通うタイプだし、そもそも私の好き嫌いをうまいことやってくれる場所か、野菜が出てこない・排除できるところに通っていて、そういう行きつけは人にあまり紹介したくはないんです。

「昆布締め」はもちろん「刻みわさび」というワードもこの流れになることが容易に想像できる。

となると「人と会話をする」という点においては「本当に一番好きなもの」を伝える必要はないのかもしれません。嘘をつくといつかどこかでボロが出るので、できる限り本心で答えたいけど、だからと言って「人との会話」の流れを「正直でいること」を優先してまでぶった斬るのは好ましくない気がします。

なので、間をとって「お刺身」くらいで妥協するのもいいのかもしれません。(刻みわさび入り大根おろしはここで敗退です。無念。)

「お刺身」って答えたら、「生まれが海の近くなので〜」って付け足せば地元の話に流れるかもしれないし、「日本酒をよく飲むので〜」と言えばどこかいいところかいいお酒を教えてもらえるかもしれないし、「フランスでは贅沢なんですど、でもやっぱり魚が好きで〜」とか言えばフランスの魚情報が手に入るかもしれないし。

「お刺身」なら嘘はついていないし、1番好きな食べ物が今のところ「甘エビの昆布締め」であることには変わらないし、行きつけの居酒屋で私が行く時に作ってもらえたらそれでとても幸せだと思う。

……「好きな食べ物」についてこんなに考える羽目になるとは思っていなかったのですが、考え出してみると面白いですね。昔は素直に答えていた質問だけど、会話の中のコミュニケーションツールになるとちょっと話が変わるんだなと感じました。質問は文字通り受け取ってその後の展開を考えないことがほとんどなのですが(それでもいいのだろうけど)、時と場合によっては「この質問からどんな会話が生まれるか」を想定して答えるのもいいのかもしれない。

「本当に何の話?」って感じですが、私の好きな食べ物は「刺身」であり「甘エビの昆布締め」でした。

おわり


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