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自分の都合の良いように解釈してしまうバイアス:税金と心理


日々の生活の中で、私たちは様々な情報に触れ、意思決定を行っています。しかし、その判断は常に客観的であるとは限りません。私たちの脳は、知らず知らずのうちに情報を自分の都合の良いように解釈してしまう「バイアス」という傾向を持っているのです。

特に、税金に関する情報は、バイアスの影響を受けやすい分野の一つです。なぜなら、税金は多くの人にとって負担であり、できるだけ払いたくないという気持ちがあるからです。

税金に関する代表的なバイアス

税金に関する代表的なバイアスには、以下のようなものがあります。

  • 現状維持バイアス: 現在の状況を維持したいという心理が働き、変化を恐れる傾向です。税金に関しても、現状の税率や制度を変えたくないという気持ちから、改革案に反対してしまうことがあります。

  • アンカリングバイアス: 最初に提示された情報に強く影響されてしまう傾向です。税金に関しても、最初に提示された税率や金額が、その後の判断基準となってしまうことがあります。

  • 確証バイアス: 自分の意見や信念に合致する情報ばかりを集めてしまう傾向です。税金に関しても、自分の主張を裏付ける情報ばかりを集めてしまい、反対意見を聞き入れられなくなってしまうことがあります。

その結果例えば税務相談会では、次のような事態を経験することが多いのです。

税務相談会の現実:脱税行為の確認?

税理士として、私は多くの税務相談会に携わってきました。そこで感じたのは、本当にわからないから相談にくる人は少数だということです。多くの場合、相談者はすでにインターネットなどで情報収集をしており、ある程度の知識を持っています。

そして、その知識を元に、**「脱税的な行為をしても大丈夫かどうか」**を税理士に確認しに来ているケースが非常に多いと感じます。

正直、このような相談には正直うんざりします。

なぜなら、税理士は脱税行為を助長するようなアドバイスは絶対にできないからです。

相談者の意図は様々ですが、多くは以下のパターンに当てはまります。

  • 節税と脱税の境界線を曖昧にしようとしている

  • 自分に都合の良い情報だけを信じ込んで行動しようとしている

  • グレーゾーンギリギリの行為を正当化しようとしている

  • 税理士に責任を押し付けようとしている

いずれにしても、税理士にとって非常にやりがいを感じにくい相談です。もちろん、中には本当に困って相談に来る人もいます。

そのような人には、できる限り丁寧にアドバイスするようにしています。しかし、脱税行為を助長するようなアドバイスは絶対にできません。

税務相談は、本来、納税者が正しい税務申告を行うためのものです。

脱税行為の確認をする場ではありません。

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