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「ViXiE-ヴィクシー-」の編集秘話(爆)

ViXiEについて

皆さま2021年春M3お疲れ様でした。
直前で緊急事態宣言出てしまい(?)ましたが、開催されて何よりという気持ちでした。

さて、「ViXiE-ヴィクシー-」についてですが、先の春M3にて「Lic studio」さんより頒布されたオリジナルボイスドラマ作品となっております。
私はこちらで音声編集で参加いたしました。
いつも代表のLicさんから起用してもらえてありがたい限りです。。。
テーマ曲はおなじみ「sorateras」さん。まじでテーマ曲聴いた時ハリウッドかと思いました。
そしてイラストもおなじみ「そろあ」さん。まじで神。
と、豪華制作陣でお送りしている作品となっております。
You Tubeにて第一話(CD#01)のみ公開されているので是非聴いてみてくださいね。

編集で何やったんですかw

はい、こちら本題ですね。
音声作品系は2017年ごろから関わり始めたのですが、歌界隈に比べてTipsとか、こだわったとこ、みたいなのが少ないような気がします。
そこで、自称高音質系音声編集者(爆)として手の内を明かしていこうかなみたいなノリです(笑)
ビビるぐらい長いんで物好きな人だけ見てくださいね(笑)

事前処理(クソ特殊ケース)


①RXくんで整音
みんな大好きRXくん。私は数年前にMusic Production Suit 2を買ったら入ってたRX 7 Standardを使ってます。
特にバージョン上げなくてもいいかなと思ってるのでこれを使い続けてる。
本当はAdvancedにしたいけど、段違いに高くていつも買えないw
処理としては、まず音源ぶちこんだら右下のズームツールの「+」を5回押します。そこからスタート。

RX_拡大

そうすると青線(ノイズ)が濃くなるので、それがうす~くなるぐらいを目標にしていきます。
そしてRXの使い方はまじで普通なので飛ばしていきます。
1.Voice De-Noise を使って青線の部分でLearnしてReduction 10でRenderします。ルーかよ。
2.De-click → random click の Sensitivity4.0でRenderします。
1で青線がまだ濃ければ、もう一回LearnしてRenderかけます。iZotoope公式も、一回で多く掛けるより、重ね掛けした方がいいよって言ってるし。
リップノイズやばい人とかは、部分部分にMouse De-Clickかけます。これは全体に掛けると悲惨なことになるし、場所ごとに強度変えないと泣く目に遭うw
でも、これだけで終わりです。まじで普通だったでしょ。
10人分で大体1時間ぐらいかな?多分。波形見たらやばそうなところ分かるようになってきます。オートばっか使ってるけど。。。

②ここが一番重要かつ、私にローカライズされたやり方だと思う
各声優さんに本チャンの音源を録音してもらったらLicさんがぜ~~~んぶ仮組みしてくれます。
”間”とか効果音とかBGMとかを合わせたやつでイメージこんな感じですって渡してくれます。
そして、それぞれ別個の頭出しされたファイルも一緒に渡してくれます。
他の編集者の人たちはどこまで関与してるか分かりませんが、とにかくこっちで間隔の調整しなくていいのは神すぎるということです。
完全に分業している感じです。私は単純に音良くするマシーン。
んでSEを作っていきます。
作ると言っても効果音ライブラリシンセみたいなのが売ってあるんですね。
UVIのXtreme FXってやつで差し替えていきます。これ、とってもいいですよ。
銃の音めっちゃあって楽しかった。
銃のリロードだけで何十個とか、銃の発砲音だけで何十個とかあるんですよ。銃関係充実しすぎ。

銃だけにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

まぁこれも万能じゃないので、私が普段から集めてるサンプルパックも参照したりします。
あとは簡単なやつだったらシンセで作ったり、普通に録音したりします。
ViXiEでもジッポの音とか茶器系は録りました。結局録るのが早い。。
サンプルパックはMutantってやつで管理してて、それっぽい名前で検索して使えそうなやつ漁っていくみたいな感じでやってます。まじ便利ソフト。

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あとは足音。足音はなんと言ってもUVIのWalkerが神すぎる。
表現できない足音ないんじゃないかと思うぐらいイイ。
ポスプロとかボイドラやる人なら持ってて損はしない。


で、ですよ、この差し替えをやるためにLicさんに
「衣擦れだけのトラックくれ」とか「足音のトラックだけくれ」とかわがまま言いまくってます。
多分これは超ローカライズしてくれてるんじゃないかなと思ってます。
いや、他の編集の人の作業見たことないし内容知らんけどね???wwww
でも、このおかげで作業スピードがシャアザクを超えてます。ありがとうございますLicさん神。
とは言いつつも、LicさんからもらったSE付き仮組みとイメージが違う音を作ってたら、
「ここをもう3半音上げて作ってほしい」「アタックが強すぎる」「音がダサい」
と、普通にリテイクもらうので音色を差し替えてまた提出します。
(SE差し替えと音声編集は同時進行で作業して、編集完了したやつをLicさんに渡してから初めてLicさんが聴く感じです)
大体SEと足音の打ち込みで、延べ10時間ぐらいやってます。まじでここを効率化したい。
というかSE作るよりLicさんが組んでくれるやつを使ったほうがいい説出てるんでなんかもう・・・みたいになってきてる(笑)
あと、たま~にですが、CVの人たちのバランス感とか音の方向性でLicさんから相談されることもあるので、ちょっとアドバイスしたりもします。
まとまり感とか質感とかその辺を。
そしてSE差し替えた時のプロジェクトファイルがこれ。
実際の#01のSE差し替えプロジェクトの画面。

SE差し替え

シンセ(MIDI)のトラックと、それをオーディオ(波形)化したものが上下に並んでる感じですね。

お待ちかね編集作業(声)


整音済み音源とSEを書き出し終わったらCubaseにぶちこみます。
サンプリングレートは96khz/32bit float まじスペックギリ
歌モノでも同じなんですけど、まず目標を作ります。目指す音。
自分のミックスとか編集が変な音になってないか客観的に捉えることができます。
リファレンス音源ってやつです。
今回のViXiEは「アニメの音」を目指しました。
ちょうど呪術廻戦をPC版アマゾンプライムで見て、は?音よすぎだが?って思ったところが始まり。別に呪術廻戦を目指してはなく、漠然とアニメっぽい音。
そこで、アニメ制作スタジオ(MAスタジオ)を10軒ほど調べたら、
マイクプリは「Sym⋅Proceed」が多かったです。

卓はYAMAHA率が高かったです。
実際に音を聴いたことはないですが、公式が謳うにはクリア系ですよね。
というところも参考にしつつ、Neumann U87Aiみたいな音を目指しました。
中域が張り出してて、もっちりみたいな。もっちりの質感は出せなかった。。。
ですが今回まじで皆さん録りが綺麗すぎてまじでやりやすかったです。ありがとうございます。
そして基本的にボイドラを編集する時は、全員が同じ質感・空間に居る音作りを目指します。
ので、同じようなプラグインを使って整えていきます。
大体は何個かプラグイン違ったりするんですけど、今回全員同じもの使ってました。 部屋鳴り除去ありなしと、EQが1個あるかないかぐらい。
目的は、同じ質感にすることなので、プラグインは手段。

クインちゃんの処理の例で説明していきます。
1.部屋鳴り除去 SPL De-Verb Plus

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前まではRXのDe-Reverbモジュールを一生懸命使ってたんですが、年末のPluginAllianceの20ドル以下無料バウチャー(笑)によって手に入れて以来ずっとこれです。
ほんっっっっとうにいいプラグインですこれ。軽いしワンノブだし素敵。
このプラグイン実は使うまでリバーブプラグインと思ってたwwwwww
かかりが自然すぎてまじで好きです。
対してRXのDe-Reverbモジュールは、相当慎重にやっても音うねる。ありゃダメだ。

2.コンソールシミューレーター bx_console Forcusrite SC

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ほぼTHD専用機と言っても過言ではない(笑)
今回はゲートも使ってますね。THDの掛かり方がよすぎて歌モノでもほぼ使ってます。。。
手っ取り早く太くなるし、暑苦しい音にしてくれるので好きです。
これと、bx_console_Nを持ってるんですけど、THDマックスにして聴き比べて、ハマる方で進めていきます。当然ですが全トラックに挿してます。
チャンネルストリップ大好き芸人で、本当にチャンストはなんぼあってもいいですからね~↑

3.ピーク除去EQ IK Multimedia EQual

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飛び出してる帯域を削ります。見やすくて操作しやすくて大好きなEQ。
今まではCubase付属か、WavesのH-EQを使ってましたが、年末に手に入れてからずっとこればっかです。
だってですよ?画面の端っこつまむとUIデカくできるんですよ?まじやばない???

4.音作りEQ IK Multimedia EQ-73

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みんな大好きNeve
赤と青のインアウトのボリュームのつまみ見てもらえば分かると思うんですけど、きも~~~ちドライブするようにして抜け感を出しました。
+10~は結構チリるのでこのぐらいがちょうどええ。
BGMとかに声が負けないようにローシェルフで2dbほど上げてますね。
このプラグインのローシェルフかなり自然な掛かりでいいですよ。3db上下しても1dbぐらいな感じ。
歌モノだったらSSL系のエミュとかを使うことが多いかもだけど、ボイドラだとNEVE系の暑さ太さがマッチすることが多いかも。

5.コンプ Waves dbx160

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出ました大好きプラグイン。
これも年末?BF?に無償配布されててそっからヘビロテです。
深めの設定にしてMIXつまみで掛かり調節するのが最近のブーム。
このコンプでパラレルやるとまじでいい感じになる。
なんと言っても推しポイントは、アウトプットつまみが付いてて、しかもマイナス方向にも調節できるところ。
これ本当にでかいです。
わざわざDAWのフェーダー使わなくていいんだもん。
音量操作系統は少ないほうがいい。
結局オートメーションはところどころ書くけどね。

6.音作りEQ Maag EQ4

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これも大好きプラグイン。。。
これもなんかロー足しまくってますね。
掛かり方と、分かってるぅ↑っていう帯域の設定が好きです。
650hzで太さ調整して2.5khz上げてやると一瞬で抜け感出ます。
基本的にブーストするといい効果を得られやすいEQです。
AIRバンドは音声作品では基本使わないかな。

7.ディエッサー IK Multimedia De Esser

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これかWavesのDesserどっちかを使うことが多いです。
右下のSOFTボタン押して、深めにスレッショルド設定するといい感じにサ行消えてくれる。
babyface proに変えてから歯擦音めちゃくちゃ耳につくようになって、ディエッサーの偉大さを痛感しておりますw

8.空間演出 Reverence

りば

りばEQ

うっすらですが、私が編集するボイドラではリバーブがかかってます。
Reverenceは起動したら出てくる設定ママ、後段のEQでハイカット。
とにかくプリディレイ0msってのが大事。
このルームリバーブあるかないかで、全員のまとまり感が雲泥の差です。
喋ってる時に高域の反射が聴こえると、一瞬で冷める音になるんでとにかくハイカット。
かと言ってカットしすぎると、閉塞的すぎて息が詰まる空間になります。
これは音を聴いていいところで調整て感じ。
扉のSEとかには結構リバーブ多めにかけてやってます。馴染み方がダンチ。まじやってみて。

と、言うことで、音声編集のくだりは終わり。
え???長くない????大丈夫そ????
こういうエフェクトの組み方を、キャラごとに保存して各#Trごとで一瞬で起動するようにしました。

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FXチェーンを保存ってやつです。
品質一定化と時短ですね。
大体1人の音決めるのに10分とかかな。。。
×10人分なので100分。。。
途中途中の音量調節、特殊エフェクトとか入れたらまぁ考えたくもない時間に。。。
んで、Licさんに投げたら修正点が目ン玉飛び出るぐらいあるんでそれを一生懸命。。。www
これLicさんにあとで怒られるわ・・・(南無)
でも、まじで修正点をしっかり言語化してリスト化してくれるのでこちらも遠回りせず修正できるのでありがたいです。
「●●な感じで~」とかじゃなくて、「前後との音量バランスでびっくりするので、ここを2dbぐらい下げてください」とか。めっちゃ分かりやすくない?
そして編集し終わった画面がこれ。
これもまさに#01のプロジェクトファイルの画面。

くろーず

え?少なくない?と思ったでしょう。
フォルダトラックを開くと・・・

おーぷん

じゃじゃ~ん
まぁこれも少ないので大したことないですが、綺麗好き(?)なのでプロジェクトファイルが散らかってるの本当に嫌なんですよね。。。
だから私はファイル突っ込んで再生して問題ないことを確認したら最初にトラックの整理から始めます。これは絶対。やらないと発作出る(爆)

マスターエフェクト(プリマスタリング)

これ、マスタリングじゃないですよ。各#Trごとのプリマスタリングです。
そこまで変わったことはやってないのでドーンといきますw
全然書くのつらくなってきたとかじゃないから!!!!!

マスタ

バスコンプしてバスコンプしてローエンドほにゃほにゃしてディエッサーしてクソデカ音量にしてTruePeak-2db取った感じ!!!!
それでは面白くないので簡単に説明しますけど、
1個目のバスコンプでピークで引っかかるように。
2個目のバスコンプはず~~っとうす~~くかかってるように。SANDまじで重いけどクソ音いい。ローがタイトになる。
Bitter Sweetでローのダイナミクスを元気に。
FG-Xでクソデカ音量に。まじでFG-X無しじゃ生きていけない。。。
ElixerはTruePeakのためだけに。。。
はい!!!この話は終わり!!!wwwwwwwwww

音声編集ってむずいよね

まじで難しい。
複数人の声質を合わせるってところがマジでむずい。
逆にそこさえ終わってしまえば勝ち(笑)
Nugen AudioのS-EQとか使えば質感一瞬で合うんだろうな~とか思いつつ。。。w

ということで、かなり飽きてきたのでこれで終わりますw
歌モノと音声作品とじゃ180度ぐらい音作り違うので脳がいい感じに切り替わります。
歌でも音声作品でも、同じぐらいこだわって制作してるので、
企画者の方や、声優さんは是非私に依頼してみてください(クソデカ宣伝)
(SEはあんま作らないよ)

ばいび~~~~~~~~~~

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