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立ち上がれ 死んでも譲れないものがある 振り向くな 後ろに道はない突き進め

「坂口さん!あとは任せた!」
2014年1月26日、DDT後楽園ホールでの試合中、この日をもってDDTを離脱する佐藤光留はそう叫びながら坂口征夫を水車落としで叩きつけました。

そして2024年2月7日。
奇しくもその10年後、プロレスラー坂口征夫、引退。

殺っちまいなとtam-kei です。
坂口さん、引退されましたね。
先月15日の突然の引退表明。本来なら何ヵ月もかけて全国を巡り、多くのファンの目に焼き付けてもらうものでしよう。(団体にも💴が入るし。)
ですが、そういう見た目だけ派手なのを好まなそうな坂口さんらしい引退ロードだったのではないでしょうか。

1度はプロレスラーになる夢を諦めた39歳の男は、佐藤光留と高木三四郎に導かれてDDTのリングに上がり始めて11年半。
坂口さんはDDTを「自分の生き方を変えてくれた場所」と言います。
二世コンプレックスに苦しんでいたという坂口さん。その苦しみから解き放ち、プロレスラーとして輝かせたのはDDTのレスラー、スタッフそしてファンだったんでしょう。

戦う時は相手を時に鬼のように、時に氷のように睨み付け、鋭い打撃と関節技を武器に例え体格の違う相手にも小細工なしの真っ向勝負。
DDTの敵には門番の如く、みんなの頼れる兄貴の如く立ちふさがり「俺がDDTの坂口征夫だ!DDTナメんな!」と言わんばかりにちぎっては投げちぎっては投げ。
そこに坂口さんがいてくれるだけでファンも安心でした。

そんな坂口さんなのにアントンのごんぎつねにはいつも耐え切れずに笑ったり、BOYZではコスプレをしたり、踊ったり。

強くて怖くてカッコ良くてちょっぴりお茶目。
そんな坂口さんのことがみんな大好きでした。

そして迎えた引退試合のHARASHIMA戦。
お互いに何度も対角線上に向かい合い、いつも壮絶な闘いをしてきた相手です。
特に今回は坂口さんの指名により引退試合の相手を務めるHARASHIMAの気合いは十分。
坂口さんのセコンドには苦楽をともにした酒呑童子のKUDOとマサ高梨(あえてこの表記とします)そして妹分の赤井沙希さん。更にはイラプションとしてアジアタッグを共に戴冠した岡谷。
まさに坂口さんと共に歩んできた頼もしいメンバーです。

そのメンバーに見守られての引退試合の立ち上がりは静かなものでした。ただそれはこれからの爆発を期待させるものでした。
そしてその爆発がすぐ来ました。
坂口さんとHARASHIMA。この2人がぶつかり合うと必ず見せてくれたミドルキックの撃ち合い、意地の張り合い。
一体いつまでこのラリーは続くのだろうか?
心のどこかでこのまま終わらなければいいと願っていました。

しかし、15分37秒。坂口征夫は敗れました。
敗れた坂口さんは「勝ちたかった」と言いました。

10カウントのゴングはなく、ご自身が心から愛していただろうDDTのリングの上で、同じく心から愛していただろうDDTのレスラーたちに胴上げされてプロレスラー坂口征夫のレスラー人生は終わりました。

これからリングを降りた坂口さんがどう生きていくか?それは誰にも何も分かりません。

ただプロレスラー坂口征夫としての生き様はご自身のテーマ曲であるTHE BACK HORNの「刃」の歌詞「立ち上がれ 死んでも譲れないものがある 振り向くな 後ろに道はない突き進め」の通りだったように、リングから降りた坂口征夫の生き様は同じ曲の「いざ往こう 信じたこの道をどこまでも いざ往こう この命あるかぎり」の通りに信じた道をまっすぐに進んでいってほしいと切に願います。

ありがとう坂口征夫
お疲れ様でした。

いざさらば 涙は拭わずに走り出す
いざさらば 桜の花吹雪風に散る



おまけ
俺がお気に入りだった坂口征夫勝負集
①坂口征夫&●彰人VS獣神サンダーライガー&○高橋広夢(2013.2.17DDT後楽園)
ライガーとの一騎討ち見たかったなぁ
ヒロムちゃんはヤングライオン
②●坂口征夫&佐藤光留VS○木高イサミ&宮本裕向(2013.8.18DDT両国)※坂口&光留が4度目の防衛に失敗
イサミにやられたのが悔しかったね
③○坂口征夫VS●HARASHIMA(2015.10.25後楽園)※坂口征夫がKO-D無差別級2度目の防衛成功
当初挑戦予定だった飯伏が当日の欠場。急遽挑戦したのがHARASHIMA。


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