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ネットワークビジネスにハマって一家離散した話⑰ ~現実は小説より奇なり~

この物語はフィクションだったと願いたい作者の記憶をここに綴る2015年の物語である。


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~家族の品格~

そんな提案をしろと言っているのにもかかわらず、息子のために頭を下げるという事を覚悟した父…。
電話をするところまではこぎつけたのを把握している。
流石に付き合いきれないなと思いながらも翌日の電話まで事の顛末をどこか気がかりになっていながらもいつも通り仕事をしていた。

いつも通り仕事が終わると携帯が鳴る。

要約すると、相手の親に電話で連絡がつき、借金がある事や弟の名義ではアパートなんか借りれないことを説明したという事だった。
恥の上塗りというのはまさにこのことだろう…。
やや疲弊している私をよそに話は続く。
相手方の親御さんは少し考えさせてくれとの返答だったらしい。
正直な所考える余地があるのか?
言葉にならなかっただけだろうと思ってしまう所ではあるけれど…。

~条件~

一週間ほどたったころだろうか…。
あちらのご家庭でもそんな相手と同棲なぞ辞めてしまえと必死に訴え続けたことだろう…。
私なら絶対にそうする…。
結果、一時的に燃え上がったとしても、社会的信用や金銭の壁は厚い。
これを抜け出せるかと言えば、親の手助けなしには難しいだろう…。

相手の親御さんから電話があったとの事。
条件はいたって単純。
借金をすべて綺麗にしてからの同棲と仕事の確保。

そんなことは誰もが知っている日本で生きるための条件のようなものだ…。
当たり前のことしか言ってこない親御さんの思慮深さにむしろ感服する。

そしてその当たり前を理解できない二人が暴走を起こしているからこういった事態になっているのである。
結果、恥を上塗りしただけで事態は何も動いていない。
そう、動くわけがないのだから…。

現実を知らしめ、また話はスタート地点に戻ったわけなので、いい加減借金返済に向けての話し合いがまた始まるという安堵と、どこか一抹の不安を抱えていたがまさかそれが的中するとは誰が予測したのだろう…。

~急転直下~

それから1週間も経ったかわからない…。
再び私の携帯が鳴り響く。

もちろん相手は父からだ…。
『昨日の夜にガタガタ物音がすると思ったら部屋がもぬけの殻になっていた。今から失踪届を出そうと思っている。』

失踪届はそんなにお手軽なものだったとしたら警察も大変だろうな…。
そんなことをぼーっと考えていた…。

弟のLINEトップ画が私が旅行用に買った真っ白な四角のトランク一つを転がしている後ろ姿に変わっていて
『人生成り上がり』
という言葉が添えてあり、成り上がれないであろう弟の姿をもはやそのまま帰ってくることなく自己破産と生活保護を受給してほしいなと心の底から思ってしまうのであった…。

私が懸念したのはたった一つ。
実家が差し押さえられるのが怖いから早く新しい住所を掴んで支払先を移すことだ。

純粋に行方を捜す心ではないが、父親と利害は一致している。
最早父には任せていられない。
同棲相手の親御さんに連絡を取るよう伝える。
こちらは夜逃げ同然でも、流石にあちらも夜逃げ同然ということは無いだろうし事前の居場所くらい知っているだろう…。
捜索願だと騒いでいる父親に呆れながら私が代わりに電話番号をきき、電話することにする。
こんな人でなしのようなポジションに嫌気を指しながらもすぐさま電話をかける。

~新天地~

『もしもし?』
不審に思うのも無理はないだろう。
むしろ電話に出ていただいただけでありがたい。
早速事情を説明すると案の定二人で仙台のアパートを借り、住むことになっていたようだ。

『人生成り上がり』
とは家族に迷惑をかけない方法がありながら多大な迷惑をかけながらなのかと呆れているものの、住む予定のアパートを突き止め、全ての借入先へ連絡をする。

本人でなければ手続きは出来ないと言ってくる借入先がないのは不幸中の幸いだった。

私がやる事はコレで終わりだ。

ここから平穏無事に借金返済への道が始まる。
訳がないのは誰もが知っている…。


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ワーキングプアのケアマネ介護福祉士に毎日楽しく生きれる愛の手を…。