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他との違いを考える 3.自分らしいコミュニケーションを追求

KECを他とdifferentにするもの」の3つめです。「自分らしい」とは、「英語を使うからといって、自分を偽ったり、ほかの誰かになろうとしたりしない」という意味です。


英語学習と、演じること

言語教育に演技を取り入れるというアイディアは、「drama method」と呼ばれ、コミュニカティブ・アプローチの人気が高まっていた1980年代に登場しました。ロールプレイもその1つです。学習者がある役割になりきって発話することにより、学習した内容が定着するなどの効果があります。

一時的に役割を演じるのではなく、英語を話している間は別の人格になる、という考え方もあります。「英語モード」と「日本語モード」を切り替え、性格や考え方、態度などを変える。仮面をつけるような感覚でしょうか。この方法は、特に学習の初期段階では役に立つかもしれません。

似たような観点で、「英語を話す人って、こんな感じ」と、ある人物像を想定して、それに自分を寄せていくやり方もあります。人によって思い描くキャラはさまざまですが、たとえば「明るく、社交的で、遠慮なくズバズバ言う」などでしょうか。


ほかの人にならなくていい

一方、KECでは、使う言語に関わらず、学習者がその人のままでいられるようになることを目指しています。せっかくコーチと1対1で、学習者に合わせたカリキュラムをデザインしているのですから、ほかの人になる必要はありません。というか、ほかの人になるなんてもったいない。

プログラムでは、受講生が実際に体験する場面、話す相手、使うことばや、受講生の感情を常に意識しています。一人ひとりの強み、良いところを生かして、本人が望む「自分」に最短で近づけるようにしていきます。

役割を演じ、ほかの人になりきることが有効に働く場合はあります。ただ、英語と長くつきあっていくことを考えると、その方法ではどこかで無理や無駄が生じたり、自分や周りの人にとって負担になったりしてきそうです。何語であっても、ことばが自己や他者との関係におよぼす影響は大きいのです。

たとえば私は、自分のことを話すより、相手の話を聞く方が好きです。早口ではなく、よく考えながら話すので、会話に間があくこともあります。読むのは遅く、書くのは丁寧。でも、発言しなければならない場や、急ぐ必要があるときはそれなりにがんばります。日本語でも、英語でも、同じです。


自分らしくいるために、どうすればいいか考える

学習者のお悩みによくあるのが、「日本語だったら言えるのに」です。本当はもっと表現豊かに、タイミングよく、話題に事欠かず、相手を思いやって、スムーズに言えるのに、英語になるとできなくなってしまう。これ、つまりは「英語を使うときも、本来の自分らしくコミュニケーションしたい」ということ。その気持ちを大切にしてほしいと思います。

英語を習得するということは、自分の強みを生かして、自分の知識や経験、想いを伝えるためのチャンネルを増やすこと。そう考えると、自分の感情を否定せず、受け入れられるようになります。日本語を話す自分と英語を話す自分の間にギャップを見つけたとき、「では、そのギャップを埋めるには、どうしたらいいか」と考えるようになります。

そこから、五感をしっかり使って「なりたい自分」をイメージします。語彙を広げる、文化の違いを理解するなど、やるべきことが見えてきます。ほかの人になっている暇なんてありません。


Photo by Jacob Postuma on Unsplash

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