見出し画像

『TED翻訳体験+英語学習ワークショップ』のこと

以前、KEC では TED の字幕翻訳を利用して英語を学ぶワークショップを開催していました。3~5名程度の少人数で、英語の TED Talk を見てから一人ひとり英語字幕を日本語に訳し、その後、参加者どうしで訳をすりあわせたり、訳しにくいところを話し合ったりするという内容です。参加者は TED の大ファンから「TED って何?」という人まで。日本国内外、いろんな場所にお住まいのさまざまな年齢層の方が参加してくれました。

翻訳作業には人数分の Google Sheet を用意し、そこへ入力してもらうことによって参加者それぞれの訳すペースをこちらでチェックできるようにしていました。オンラインのワークショップですから、講師の私はセッション用とシート用のパソコン2台構え。翻訳がはじまったら、教室で机と机の間をうろうろするような感覚で、各参加者のシートをパチパチ切り替えていました。

この作業を見守るのは本当に楽しい時間でした。じっくり一語一語を調べて慎重に入力する人もいれば、感覚的にサラサラと訳していく人も。ある程度進んでから間違いに気づいて前の方へ戻ったり、勘違いが勘違いを誘ってなにやらユニークな世界が広がっていったり。KEC のコーチング・メソッドの特徴のひとつ、 “No two learners are the same” (「2人と同じ学習者は存在しない」という前提)をリアルに感じることができました。

そもそものきっかけは、私自身が TED で字幕翻訳のボランティアをやっていたこと。当時、私はアメリカでほとんど日本語を使わない生活をしていたため、自分の日本語力を鍛えたかったのです。いくつかの作品を手がけるうちに、いつもの “なんでも英語教育につなげる病” が出て、「日本語に訳すことを使って英語を学ぶって、アリかも」と思うようになりました。さらに Language Coordinator と呼ばれる責任者として日本語チーム内でさまざまな訳を見る機会をいただき、「他の人と同時に訳して、違いから学ぶっていいかも」と思ったことから、ワークショップのアイディアが生まれました。

おかげさまでこのワークショップは大変ご好評をいただき、キャンセル待ちやリピーター回の要望をいただくまでになりました。字幕の枠を利用して訳し上げ(英語で後ろに置かれている情報を前に持ってきて日本語に訳すこと)を禁じ、読み・聞く際のスピードを上げるなど、英語学習における一定の効果も見られました。

一方で、このワークショップのデザインでは「翻訳を学ぶのか、英語を学ぶのか」という線引きがあいまいになることに気づきました。さらに、英語→日本語の翻訳で英語力をつけるというアプローチそのものに限界を感じ、『TED翻訳体験+英語学習ワークショップ』は開始から1年後に幕を下ろしました。

でも、ワークショップのおかげで、通常の個別コーチングでは実現できない良さをたくさん経験しました。もっとも大きなものは、なんといってもグループでのディスカッションや peer pressure(仲間から受ける影響)による学び。1対1より気軽に参加できる、ハードルが下がるという効果もあるでしょう。

そこでこのたび、個別コーチングの要素に、グループの良さを取り入れた新しいプログラムを考えました。ご案内ができるようになったら、この note でもご紹介しようと思います。

【後日追記】そして、できたのがこれです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?