見出し画像

自分の英語の会話を、じっくり聞く

プログラムの序盤、受講生の個性がさっそく現れるのが、この「聞く」課題に向かう姿勢。会話が終わったらすぐ聞きたくてウズウズしてしまう受講生もいれば、「怖くて聞けません」と、数日間、音声ファイルを開けられない受講生もいます。あるときは落ち着かせたり、またあるときは背中を押したり。コーチは受講生のためなら変幻自在。なんでもやりますよ。

STEP 4 聞く

このステップでは、会話全体をざっくり、いろんな聞き方で聞きます。スピーカーで聞いたり、イヤホンで聞いたり。集中して聞いたり、なにか他のことをしながら聞いたり。

自分の英語が、だんだん自分から離れていく

聞き方を変えることで、同じ会話がまるで違う会話のように聞こえてきます。この体験は「不思議」「おもしろい」と言われます。また、最初のうちはどうしても「英語を話す自分」にフォーカスして恥ずかしかったりするのですが、何度か聞いているうちにだんだん自分から離れ、いつのまにか第三者の耳で冷静に聞けるようになってきます。

録音した会話を聞き直していると、会話中にわからなかった部分が「あぁぁ、そういうことか!」となることがあります。もちろん何度聞いてもわからないことも。会話した直後と録音を聞いた後では、自分のパフォーマンスに対する印象が変わることもあります(だから早く聞きたくてウズウズしていても、聞く前に感想を書いてもらうのです)。それらをメモし、気づいたことをまとめて、コーチのフィードバックを受けます。

「けなさない」(再)

この段階で、コーチの私は初めて受講生の会話を聞きます。本人からの報告がダメ出しだらけで、どんなにひどいのかと思って聞いてみると、実はちゃんとできている、ということがよくあります。そういう場合は、自分の英語をけなさないで正当に評価することを学んでもらいます。

この場合のダメ出しは、不当で、学びの邪魔になるからです。私たちの脳は良いことよりも悪いことに敏感に反応し、感情的に傷ついたことをよく記憶します。たとえば「th の発音が苦手」という人はうまく言えた経験は覚えておらず、失敗ばかり覚えているものです。それが th の発音のせいだったのかも、そもそも本当に”失敗”だったかどうかもわからないのに。

また、「ダメ」と決めつけて弱点を取り除こうとすればするほど、その弱点は強く認識され、取り除きにくくなります。苦手な th の発音練習を繰り返し、かえって苦手意識が強化されてしまうと、その音に気を取られて話の内容を聞き逃したり、いざ発音しようとしたときに緊張してしまったり…なんてことも起きかねません。

さらに、暗い気持ちはやる気を萎えさせます。自分の英語に対して「発音が悪い」「文法がめちゃくちゃ」「ボキャブラリーが乏しい」などとさんざん攻撃し、「自分は今まで何をやってきたんだ…」と凹みながら、なお学ぶ意欲を高く保てる人は多くありません。

問題点を並べ、追及し、謙虚に反省することを美徳と考える人もいます。確かに問題を認めることは大切です。でも、不当なやり方、偏った見解、落ち込んだ気分では問題は解決しません。

新しい習慣をつける

ダメ出しは一例ですが、自分のパフォーマンスに対する反応には、それまでの考え方の習慣が影響しています。長年慣れ親しんできた習慣を手放すのは簡単ではありません。でも、英語を上達させるために必要だと思うならきっとできます。まずは自分の考え方の癖やパターンを知ること。そして少しずつ新しい習慣を身につけるための方法を試していきます。


Photo by Alireza Attari on Unsplash

#KECプログラム  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?