【ウエアハウス】総括

ふせったーに投稿した感想の移植です。

公演名:『ウエアハウス-double-』
公演期間:20200125-0202
公演会場: 新国立劇場小劇場

投稿日:20200202
日常に戻る前に吐き出していい?ウエアハウス感想だよ

・あそこは動物園の檻 彼らは飼育員(または神様)(または演出家)の手違い(または実験)でひとつの檻の中に入れられてしまった2匹の動物 

・最後のヒガシヤマ(it’s very hot today isn’t it)は檻の中から檻の外に向かって鳴く動物 だって檻の中の動物がこっちに向かって何か必死に話しかけていてもわたしたちはなんか鳴いてるな〜としか思えないでしょ??わたしたちは所詮それぞれ別々の檻に入れられて永遠に接触し合えない動物に過ぎないのだろ〜か??? 

・ワイヤーは檻 ルイケとヒガシヤマが決定的な接触をするときの照明は結局なんだったんだろ 今日はサーカスみたいにも見えたし動物園の夜行性動物展示施設のライトみたいにも見えた 雲間から差す陽の光…は夢見すぎか?むしろ雷光? 

・最後のヒガシヤマまた降霊してた ジェリーが… 

・動物園物語を読んでいったから今までと違った見方になったかも 下敷きがあるとすごく情報を整理しやすいんだけど、それはたぶん演出家の望むところじゃないんだろうな(動物園物語にもそんな台詞があった 整理しようって?みたいな 安易にラベリング・カテゴライズするな みたいな) 
あえて混沌を表現するためにカットアップの手法を取ってるのか?とまで思った 
カットアップって絶対雑音の多くなる手法だと思うのよなそれは避けられない だって元々バラバラな2つ以上のものを1つに無理やりしようとしてるわけだから…(えっ 人間…!)よっぽど上手にやれば限りなくシームレスに近づけることはできるかもしれない でもそれは元々1つだったものにはなれない 絶対何か不純物・夾雑物が混ざる そのザラザラ感が不快であり塩梅によっては快感になる…あ〜〜〜ホワイトノイズぅ…(えっ 人間…!) 
やっぱり人間は永遠に孤独なのかなぁ?泣きながらコテージに向かって…濡れたまま…暖かいところを目指して歩くしかないのかな…ロックランドに一緒にいるけど、本当に一緒にはなれないんだ…魂は2つだから… 
ノイズは混沌なんだな、あらゆる記号から意味を分離させて無意味な音の集合にしてしまう混沌!それは恐怖だけど1番原始的な状態でもある、1番可能性を秘めた状態でもある、そこから何が生まれるかわからない、何でも生まれ得る可能性を秘めている混沌…ヒガシヤマに抱きつくルイケ赤ちゃんみたいな顔してるからな!でもヒガシヤマはなんとも言えない顔してた!絶望と恐怖と法悦って感じ!良かったねえ!良くねえ! 

・正直ラストの1番怖いところ(「拾え」シーン)がどれくらい怖いか半ば楽しみにして行った部分もあったのだけど(怖いもの見たさ)、今日は今までのハイブリッドな感じですごく良かった〜!今日初めてA・C列側座ったのだけど、ヒガシヤマの表情だけじゃなく手の震え胴の震え脚の震えまで丸見えで大変よろしい 反対側からは背中の震えしか見えないからね(それも趣深かったけど)ルイケが去ってからフーーーッフーーーッて動物みたいな荒い呼吸が漏れ出すのが非常に良き 本能だね我慢してたんだね 崩れ落ちるとき内股なのリアルね 動物だったな…捕食されずに生き延びたね… 
小さくなって四つん這いで逃げ回って耳元でルイケに「拾え拾え拾え拾え拾え」連呼されてるとき、耳を塞いで小刻みに首を振ってるのほんとかわいそうだった(けど何度か見たくなる不思議…)手も震えてたんだねあそこ 

・冒頭ルイケが動物園物語を諳誦した後と途中ルイケが水を買いに行ってヒガシヤマがスマホをいじってる時に流れるギター(とピアノ)の音楽にとても愛を感じた 神様が孤独な人間を見ていてくれるといいよね 
作品全体の流れとか事件の顛末だけ見てるとやや鬱というか重たい問題を観客に投げるだけ投げて「う〜んなんかやっぱダメそうだね」って雰囲気で終わるから鑑賞後の気持ちがまあまあしんどいのだけど、こういう音楽があるからちょっと救われる 開演前のスタンドバイミーとかね 今日、結構長いこと流してくれて本当に良かった せめて隣にいるくらいはさせて 
てかスマホいじってるときのヒガシヤマ独り言言ったりなんか見てひとりでフッwとか笑ってるの愛おしすぎた 哀しみ〜… 

・今日は詩を丁寧に諳誦してくれてとっても良かった 感情がノッてくる感じが丁寧だったな…急すぎず待たせすぎず 諳誦を聞いてるとヒガシヤマは自由になりたいんだな〜って思うだって今自由な人はあんなに切実に「自由だ」を叫ばないだろうから 「自由だ」じゃなくて「自由になりたい」に聞こえるんだよな やっぱり檻の中にいるからかしら… 
自分の見たいものしか見ない、聞きたいものしか聞かない、でもたまには誰かと会話したい、だけど本当にぶつかり合うのはしんどい、なんて勝手なんだ現代人 そんならこのまま死んでしまえ!って感じよな 

・今日のヒガシヤマはまた間抜けなインテリに戻っていた 間抜けというかお人好しのインテリ…育ちが良いのだろうな…快活だったもの…人を不快にさせないための快活さを持っている人だった でもお人好しの間抜けなインテリだったけど昨日に引き続き自我がちゃんとあって良かった 自我が感じられるとルイケとの対峙がすごく緊迫するから…1匹対1匹という感じで… 
それにしてもホワイトノイズ語りしてるときのヒガシヤマ 普段の鬱屈した会社人生活を送ってるんだろうなって…あんなに嬉しそうに…したり顔で…ルイケが何か言うたびにニヤニヤして…満たされてないんだろうな自尊心 現代人の闇 

・A・C列側だとルイケの顔がよく見える もしかして途中で演技プラン変わったのかもしれないけどルイケもあくまで普通の人だった 25日、26日あたりのルイケは最初からちょっと危ない感じで作品全体のスリラー風味を濃くしてたけど今日のルイケはすごく普通で普通の朗らかさを持っていて普通の礼節をある程度わきまえているから、ヒガシヤマと会話が続くのも無理ないなそうだろうなって感じ…そしてその普通の感じはヒガシヤマを羽交い締めにしたあともナイフを取り出したあとも続く ただグラデーションの濃さの問題だから違和感や危機感がちょっとずつ滲み出してくる感じだった 

総じて最高でしたウエアハウス 本当に見ることができて良かった 
ただ見る側もまあまあしんどかったけど演じる側の消耗具合なんてとても想像できない この演目を2日と置かずやってくれたことが観客にとってなんて幸福だったろう 
平野さんがしんどいだろうことはもちろん、共演者をあそこまで追い込まなきゃいけなかった小林さんも相当メンタルきつかったんじゃないかと思う。お二人ともゆっくり休んでほしいですね。 

とりあえずわたしは平野良について行けばまず間違いないと思った。お芝居楽しいなぁ。

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