旅したことなかったから一人旅をしてみた

「旅」とは何だろうか。
何のために旅をするのだろうか。

大学4年、就職先となった旅行会社から採用通達のときに、「旅行会社のスタッフである前に旅人であれ」と言われた。

けれど僕は旅の経験がなかった。

初海外は大学3年になる直前、春休みを利用した短い留学でイギリスのカンタベリーに6週間滞在していた。
週末は仲良くなった友達とどこかに行くわけだが、「次の休みはどこ観光しに行く?」と言っていたくらいに、「旅」の要素はなかった。

「自分が経験した留学と旅は違うよな……。」

だからとりあえず、一人旅をしようと思った。

旅先は「聖地」と言われるバンコクにし、人生2度目の海外を、タイ→カンボジア→マレーシアを3週間かけてのんびり回る旅程を組んだ。

迎えた出発の日。
胸の高鳴りは、楽しみによるものか、不安な気持ちか。

33Lのバックパックと、買ったばかりのミラーレスカメラを入れた小物バックを携える。
航空券はSkyscannerで取ったもので、LCCの機体に乗り込む。
どちらも初めてなのに、自分は旅慣れた人間だ、そう錯覚しそうになる。


ドンムアン空港に降り立ち、2年ぶりの入国審査を難なく通過する。
建物から一歩外に出ると、すぐに汗が滲む。
街中には全く読解のできないタイ語の看板が溢れ、知らない世界に来ていることを実感した。

安心感を求めて予約したバンコクの日本人宿でのこと。
オーナーや先に宿泊している旅人から、「どうして旅してるの?」と聞かれた。

「就職先が旅行会社なんですけど、そなん採用通達のときに〜〜〜」

僕は経緯を答えた。

「そう言われて実際に旅するなんて行動力すごいじゃん!」と褒められたが、「そんなことないですよ〜」とだけ僕は言った。

タイからカンボジアへの国境越えはバス移動だ。
初めての外国から外国への移動、「スムーズにできるだろうか」「出発のバスに間に合うのだろうか」と内心は不安な気持ちでしかないが、僕は冷静を装いながら車窓を眺める。僕は同じ車内の人から旅人に見られてるのだろうか。

シェムリアップでも日本人宿を予約していた。
ここでも僕より旅をしている同部屋の旅人から、「けい君はどうして旅してるん?」と聞かれた。

「就職先が旅行会社なんですけど、採用通達のときに〜〜〜」

僕は経緯を答えた。

「おお!そうなんや!そんでホンマに旅に出るってすごいな〜!」と陽気な彼は僕を持ち上げる。
「いや別にすごくないですよ〜」と僕は笑いながらごまかした。

答えになっていないのは、分かっている。
だから、一人旅をして、理由を探しているのだ。

シェムリアップからLCCでクアラルンプールに入った。

マレーシアで見たいものはモスクだ。
マラッカにあるマラッカ海峡モスク、プトラジャヤにある通称ピンクモスク、クアラルンプール郊外にある通称ブルーモスクを回った。
日本では馴染みのない建物の形、模様に食い入るように見る。

想像以上の綺麗さで、イスラム建築に興味を持った僕は、クアラルンプール市内中心にあるイスラム美術館も訪れた。もともと行くつもりはなかったが、完全に感化された。

美術館と言うだけあって、展示物は書物や陶器、装飾品が多く、イスラミックで綺麗な織物もある。

一角に世界中にあるモスクやイスラム建築にまつわる模型展示があった。興味を引かれて見てみると、それぞれに名称と国名の記載もあり、模型自体も精巧に作られていて、自然と感嘆の言葉が口から漏れる。

夢中になって見ていると、ウズベキスタンにある建築物の模型が多く、型も面白いと思った。

僕の頭の中にあるウズベキスタンの情報ボックスは空っぽだ。そこに「イスラム建築が多くて、綺麗」という情報がインプットされた。

これでウズベキスタンに行く目的ができた。


それと同時に、心のモヤモヤが一気に晴れた瞬間だった。

就職先から言われた言葉。
そして、僕が旅をする理由は何なのか、目的は何なのか。

その一番の答えが、「見たい景色、絶景を見に行く」ということだと。


もちろんそれだけじゃない。

知らない言葉を目にすること、耳にすること。
初めての料理に舌鼓を打つこと、口に合わないこと。
絶景を目にして言葉を失うこと、普通の街の様子を目に焼き付けること。
綺麗な空気を吸うこと、悪臭を感じて息を止めること。
初めましての握手をすること、手を振ってさようならを言うこと。

上手くいったことはもちろん、失敗したことも、不自由に感じることも、全部楽しいと思える。
「旅」には自分を成長させてくれる要素がふんだんに詰まっている。

今までどうして狭いところだけで過ごしていたのだろか。
僕の知らない世界は、圧倒的に多いのに。

この一人旅を通じて、旅の魅力にハマった。
仕事の夏休みや大きな連休のときは海外を旅するようになり、カナダ、フランス、トルコ、台湾を旅して、渡航国数は8ヶ国。今年の9月には初の南半球となるオーストラリアに行く。

こういった単発の旅も楽しいが、いまは世界一周が一番近い夢で、TABIPPOの世界一周ゼミにも入った(8期)。数年のうちに出発して、1年くらいかけて旅をしたいと思っている。

「旅行会社のスタッフである前に旅人であれ」
そう言ってくれた会社のおかげで僕は少なからず変われたし、これからも旅をして、知らない世界を見に行こう。

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けい

旅が好きです。世界一周に行くのが近々の夢。スポーツも好きです(特に野球)。オンラインコミュニティ「旅ときどき仕事」第3期所属。旅の話、日常の話、強さも脆さも自分の全部。
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