たった一人のために作るのは遠いようで実は近道。人がうごくコンテンツのつくり方(髙瀬 敦也さん・ #朝渋 )

フジテレビで、長年、バラエティーやアニメの企画・プロデュースを行ってきた高瀬さん

自ら企画立案しプロデュースしていくことを信条とし、「逃走中」「ヌメロン」などの番組をはじめ、深夜アニメ枠として確固たるブランド力を持っている「ノイタミナ」の立ち上げなど、とても幅広い分野で企画力を発揮されている方です。

今は独立されて様々な分野でコンテンツプロデューサーとしてご活躍されている高瀬さんですが、著書『人がうごくコンテンツのつくり方』の発売にあたり僕らの朝渋にゲストでお越しいただきました。

「自分が好きな企業やブランドに対する共感や愛着、応援の輪を広げたい。」

と日々、考えている僕としては、高瀬さんのお話は参考になることが多く、イベントを通じて感じたことを、共有します。

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たった1人のために作るのは遠いようで近道。

テレビなどのマスメディアの仕事をしていると、当然求められるのは、多くの人をうごかすコンテンツですよね。何十万人とか、何百人万とか。

でも、いきなり大きな集団をうごかすことを考えるのではなく、まずは特定の誰かを超熱狂されられるかが重要だと高瀬さんは言います。

100人にひとりしか刺さらないコンテンツでも、日本全体で見れば、1億人の100分の1は100万人。万人向けの中途半端な企画を作るよりも、たった一人に深く突き刺さる企画の方が、結果的に人がうごき、何十万人とか、何百人万の規模に熱量が広がっていく。

なので、

「この企画は、ディープすぎて、マス受けしなから辞めろ!」

という声があったとしても、熱狂してくれる誰かの顔が浮かぶなら、勝算ありということです。

これ、本当にそうかもと思います。

ドミノ倒しじゃないですけど、誰か一人でもいいから、超熱狂させることができれば、その人がすごい熱量で、自分と同じ価値観を持っている友人達に伝播していってくれる。

でも、そのためには、圧倒的にその人にとってぶっ刺さるコンテンツでないといけないので、その相手を深く知り、想像力を働かせて、その人に合わせた逸品を作らないといけません。

以前、別の機会にブラタモリのディレクターをされている方に企画の話を伺ったことがあるのですが、番組スタッフは基本的にタモリさんのことを徹底的に考えているそうなんですね。

タモリさんも、地形や歴史に超詳しい方なので、そのタモリさんに「これは知らなかったなぁ」とか「それはおもしろい」と撮影を通じて思ってもらえるような企画を作れるかが全てだと言っていました。

ある意味では、自分たちとタモリさんとの戦いだと。

タモリさんに喜んでもらえる企画は、結果的にも視聴者にも喜んでもらえるものに仕上がっていて、それがブラタモリが安定的に視聴者を獲得し維持できている秘訣になっているそうです。

コンテンツを作るときって、どうしても多くの人の間で話題になってほしいとか、バズってほしいとかっていう下心がでてしまうんですが、まずは特定の誰かに深く刺さり、その人をうごかすほどの熱量を持った企画を考えることが、大切であるということを、改めて思いますね。

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あなたが好きな「なにか」は、きっと他にも好きな人がたくさんいる。

自分だけの"好き"って、意外と少ないのかもしれません。

以前、「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングでゲストが100人アンケートで100人に1人になる質問を考えるコーナーがありましたが、これが結構難しい。

「こんなやつ、あんまりいないだろ・・・」

と思って質問をしてみると、当てはまる人が数名いたりして、なかなか一人にならない。

つまり、自分だけの好きだと思っても、同じように好きな人が実は多く生息しているのではないかという話ですね。

だから、自分がめちゃくちゃハマっている対象をコンテンツ化することで、喜んでくれる人は、思っている以上にいるのではないかと思いました。

しかも、今は好きが似ている人達と出会う手段がSNSなどを通じて整備されていたりします。

僕も銭湯再興プロジェクトという銭湯好きが集まるコミュニティに所属していて、コミュニティの立ち上げから関わっているのですが、立ち上げ時には「お金を払ってまで銭湯文化を盛り立ててという人なんて、そんなにいないだろ…。」と思っていました。

そしたら、意外と(というと、怒られるかもしれませんが)、直ぐに多くの方がコミュニティに参加してくれて、「熱量高く銭湯好きな人が世の中に沢山いたのかぁ…」と驚きました。

なので、ニッチだと思っている自分の好きをコンテンツ化していくというのは、意外と価値が大きいのではないかと思います。

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その人の背景を細かく設定することで、気持ちや感情が生まれやすくする

「どうやったら、ウチの社員や、会社に興味を持ってもらえるんだろうか?」

こういう課題って、採用やコーポレートブランディングみたいなことをしていると日々向き合うテーマかと思います。

まさに、この問いに対する回答のような内容なんですが、高瀬さんは、その人物なりキャラクターの設定や背景を細かく設定し、「会ってみたい」という気持ちを醸成していくことが大切だとおっしゃってました。

職業は何で、どこに住んでいて、出身地はどこで、どんな食べ物が好きで、嫌いな食べ物は何か?独身か既婚か?学生時代にやっていた部活は何か?好きな音楽や映画は?とか。

そうやって、設定を作り込むことで、その人へのイメージが膨らんできて、例えば、「この人が好きな小説は何だろう?」「今、仕事を楽しんでやっているのか?」など、その人のことが気になる感情が生まれてくるとのこと。

朝渋のイベントでは、実際に匿名の人物の写真を見ながら、会場の参加者とその人の住んでいる街や好きな食べ物、趣味など、設定を一つずつ詰めていくワークを実施。すると、不思議とその人物に会ってみたくなるんですよね。

※ちなみに、このワークでは、最後に匿名の人物であった写真のその人がサプライズ登場し、みんなが考えた妄想の設定に対する答え合わせをするという面白い演出があり、高瀬さんの企画力の高さを肌で感じました…!

以前、クラシコムの青木さんがセミナーでブランドの魅力をお客さんに伝える(届ける)ために意識していることは何かという話の中で、こんなことを言っていたのを思い出しました。

「伝わる、伝わらない、ということでいうと、そもそも、人は関係性のない人の話は聞かないという、ごく当たり前の常識があると思います。だから聞いていただくためには、まず関係性をつくることが大切」

確かにそうですよね。どんなにいいことを言っていたとしても、関係性が薄い人の話だと注意がむかなかったり、記憶にも残りづらい。でも、友人とかだと、たわいもないことであっても話を聞くし、記憶にも残っていたりします。

でも、関係性をつくるためには、お互いがどういう人なのかをさらけだし信頼をつくったり、お互いの共通点を見出すことって、すごく重要なことだと思います。そういう意味で、魅力を伝えたいヒトやモノの細部や背景を伝えるというのは、すごく大切だと改めて思いました。

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特定のその一人を深く深く熱狂させること。感動させること。

自分のなかにある"好き"という感情を大切にすること。

設定や背景を細かく伝えることで、感情や気持ちをつくること。

どうやら、ここらへんが、人をうごかすコンテンツをつくるうえで、重要な要素になっていきそうです。

僕も、誰かの聖なる一歩を後押しするようなコンテンツをつくっていきたいと思っているので、こういった部分はより意識していきたいと思います。

高瀬さん、朝から、ありがとうございました!

☆写真は全て、矢野くん (Twitter : @takumiYANO_ ) の写真です。

☆朝渋のイベント情報は、以下のPeatixページから、どうぞ!

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