R-18ゲーム『沙耶の唄』の思い出を語る。

そういえば18禁のエロゲのレビューとか感想って男性が書いたのしかみないなー、と思って、23歳女性である私が謎目線からなんか書いてみようかと思い立ちました。
……もうなんかそもそもがおかしい気がするんですが、それはともかく。

エロゲーってだけでイロモノ扱いされがちですが(まぁ、間違ってないけど)、男性向けのR18ゲームってストーリーが面白いものも多いんですよね。

アニメ化されたような有名どころなら『Fate/stay night』とか『Kanon』『AIR』 『D.C. ~ダ・カーポ~』 ……『CLANNAD』は全年齢向けだった気がするけど。
エロゲーというよりは『泣きゲー』と呼ばれ、全年齢向けに移植されたものも多いです。

『Fate』シリーズは派生作品が多いですが、どれから入っても問題ないので、そういう面でも人気を博している気がします。製作が「TYPE-MOON」というので、その作品ファンは「型月厨」と呼ばれたり。
『D.C. ~ダ・カーポ~』はタイトル多すぎて途中で追いかけられなくなりましたね。色々出せるだけの人気があるってことですね。どれやったのかわけわかんないです。
『CLANNAD』に至っては「『CLANNAD』は人生」という名言(迷言?)まで生みました。

ちなみに有里は『真月譚月姫』とか『Phantom -PHANTOM OF INFERNO- 』、『ef - a tale of memories.』、『漆黒のシャルノス』とか、有名だけど微妙にコアなやつが好きです。
……どうでもいいですね。機会があったら書きたいけど。

と、まぁ、少しですが男性向けのゲームも遊んできたのもあって、今回は『沙耶の唄』についての思い出を語ってみたいと思います。
多少ネタバレ有りの思い出話です。
ご注意くださいませ。

 

というか、もうそもそもが18禁男性向けゲームの感想となりますので、アレなかたはバック推奨です。
……そういうものに嫌悪感抱く人は此処まで読んでないかな。

じゃ、徒然書きます。

『沙耶の唄』-ニトロプラス(Amazonリンク)
http://www.amazon.co.jp/dp/B0000V68BY/ref=cm_sw_r_tw_awdo_AV7Nwb0NRJRJC

……商品説明のところに、

医科大学を舞台にした男女4人の恋物語を描いた18禁アダルトアドベンチャーゲーム

って、書いてあるんですけど、これだけ見て買うと痛い目を見る、そんな素晴らしいゲームです。

「R18」と銘打ってはあります。普通こういうのはエロゲです。世間一般がもつイメージで大体合ってます。
しかし、これはまごうことなき「R18-G」である、と言いたい。

G……つまり、「グロい(グロテスク)」ということです。
 

このゲームとの出会いは、友人(女の子)が、

「新しいゲーム買ったんだけど、怖いゲームで一人でやれない。隣にいて」

と、私を呼びつけたことにより邂逅しました。
まさに運命の出逢い。最悪です。

事前情報がそれしか無いなか、有里はホイホイ呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーんとPC前に友人と並んで座りました。
渡されたパッケージ見て「R18……?」とは思いましたが面白ければそんなことはどうでもよく、パッケージの少女が無垢で切なげな表情をしているのを見て「泣きゲーかなー、雰囲気良いパッケージだ」とか思ってました。

そんな女二人で、のほほんとした空気のなか、友人主導でプレイスタート。

……ゲーム設定に「グロい画面あるけどどうするー? エフェクトかけるー?」という、非常に物騒且つ親切な設定もあったのに、

「まぁ、まずそうだったらあとで変えようか☆」

と、スルーしてプレイスタート……

 

出だしから、非常に肉々しく赤黒い絵のお出迎えです。

 

有里「うわっ!?」(想像越えるグロさに言葉を喪いかける)
友人「う"わ"ぁぁぁぁ!!!!!」(脱兎のごとく部屋を駆け去る)

……始まりからグロい絵を見せられるどころか、友人にすら置いて逃げられる有里。切ないです。

友人「ごめん無理ィ……」
有里「まだ話始まってないよ!?」

仕方ないので設定からやりなおし。
設定でばっちりエフェクトかける状態になって、ようやく戻ってくる友人。酷い。誰のゲームだ。

ゲーム序盤で説明される主人公の状態、なのですが、交通事故にあって生死の境をさ迷った挙げ句、目が覚めた世界は「何もかもが肉塊に視える世界」になっていたんですねー。なるほど。
人間も赤黒い肉塊、というか、壁も床も毛布とかも肉塊。最悪だ……

眠るシーンでは、毛布という名の肉塊をかけて眠ろうとする主人公。
寝れるわけないだろうが!!
いやだよう……筋肉の繊維っぽいのとか、血管っぽいのが浮き出てる赤黒い布団とか最悪だよう……(´;ω;`)

画面の向こうには赤黒い世界で死んだ表情の主人公。
隣には泣きながら私のプレイを見守る友人。

状況は、最悪です。

人間も肉塊にしか見えない、声もノイズみたいなものがかかっていてロクに聴こえない。
そんな狂った世界で精神的に衰弱した主人公は、命を絶とうと決意します。

そのとき。

白いワンピースを着た"少女"を見たのです。

この狂った世界でただ一人、人間の少女を見つけたのです。

マジ感動。超天使。
さっきまでとにかく赤黒くて、聞こえる音もノイズばっかりで、荒んだプレイヤーの心に染み渡る天使の姿。

彼女の存在に心を救われ、同時に命も救われた主人公。
わかるよ、その気持ち!!

そんなこんなで、ひとりぼっちの少女と同棲開始です。わー、エロゲっぽい!!

が、いざ日常に戻るべく大学に行けば友人たち(肉塊にしかみえない)に、様子がおかしいことを心配されたり、少女と暮らし始めたことにあーだこーだ……
辛い。

とはいえ、今は肉塊にしかみえなくとも友人であり、心配かけたのもよくわかってるわけです。
プレイヤーから見ても主人公の状況は色々おかしいわけで、友人たちが心配するのもよくわかります。そりゃ心配もするよね。

でも、今の彼の救いは少女しかないのです。

一方、少女は、というと。

今まで誰からも愛されたことのなかった彼女。
一途に彼女を想い、大切にしてくれる主人公に絶大なる信頼と愛情を持ち始めます。

無垢な少女と孤独な青年のふれあい。
いろいろな過程を経ているのもあって、想像以上に胸打たれます。
(ここでようやくこれがエロゲだったことを思い出します。そういうかんじ)

もうね、かつての友人だろうがなんだろうが、肉塊の言うことなんか耳に入らないくらい。
少女━━沙耶が大切。

ただし、ここで「永遠に二人きりで生きていこう……」とはならないのがこのゲーム。
 

……実は、沙耶は人間ではなかったのです。
というか、普通の人間が見たら、 沙耶のほうが肉塊的な生物だったのです。

端的に言えば、沙耶の正体は化け物です。まじかよ。

狂った主人公にしか、化け物だった沙耶を"マトモ"に見てくれる人がいなかったという皮肉。
彼女が初めて愛されたということ、それゆえに主人公に尽くすというのも納得です。

知能があったから余計にね……
化け物であるがゆえに愛されず、ずっと寂しかったのでしょう、沙耶は。

そんな沙耶。
自分なら、主人公をもとの世界を見れるように戻してあげられる、と告白。
そうすれば、友人たちも元の姿に戻るのです。世界のすべてが肉塊ではなくなるのです。

しかし、それはつまり、沙耶のことは化け物にしかみえなくなる、ということでもあって……

それがわかってて、主人公のためにそう提案してくる沙耶は健気な子です。
めっちゃ可愛いです。有里も友人も半泣きです。

ここで元の世界を選ぶか、それとも沙耶を選ぶのか、それでエンドが変わってきます。
ENDは三種類。
どれを選んでもBAD ENDです。覚悟してください(

友人とふたり「……絶対救われる世界線あるって!」って言いながら頑張って何度もプレイしたけど見つかんなかった(´・ω・`)
グロ耐性ついただけだった。

グロに対してエフェクトかけてくれる設定あるって初めに書いたじゃないですか。
でもあれ、立ち絵の背景にしかエフェクトかからなくて、要所要所にあるグロイベントの絵にはまったくかからないんだなぁ。
気休めですね。そこに至るまでに慣れてきますけどね。

最後は、狂ったが故の儚い純愛と、現実の見せる残酷な別れと、ひどくグロテスクでありながら美しい恋物語でした。
色々ありましたが、怖かったし酷かったし哀しかったけれど、それでも温かい物語であった、ということが印象に残っております。
 

……と、まぁ、幾度もPC前から逃げつつ『沙耶の唄』をプレイした、という思い出話でした。

 

結局のところ、世界の認識なんて個々の脳によるものでしかなく、実際のところ、今隣にいる人とどの程度同じ世界が見えてるかなんて本当のところは誰にも分からないんだよなぁ、という感想を持ちました。

このゲームは『クトゥルフ神話』 をベースにしており、且つ『火の鳥 復活編』のオマージュでもある、という背景をもっているため、そういうところの知識があるとより楽しめるかもしれません。
現在スマホアプリも発売中です。
あなたの手のひらに 『沙耶の唄』!! 泣くね!!
 

分類はホラーゲームでいいと思うんだよなぁ……
エロさが欲しいなら確実に勧められない……

ストーリー的に、エロはともかく、グロが欠かせない要素なので、他のゲームのように全年齢向けには永遠にならんだろうなぁ。
ゆえに、伝説。

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