シュリーレン現象

砂糖や塩を水に溶かす時に、固体と液体の境界付近にもやが出ているのを見たことがあるかもしれません。その現象には”シュリーレン現象”¹⁾という名前が付いています。また、屈折率の違いでもやや揺らぎが見えること”が定義であるので、ウイスキーなどのロックで氷が溶けてお酒と混ざって出るもやや、アスファルトや車などに直射日光が当たって現れる空気中の揺らぎもシュリーレン現象に当たります。

もちろん、実験中のフラスコの中で試薬が溶媒に溶ける際にもこの現象を見ることができます。反応を円滑に進行させるためには試薬が溶媒に完全に溶けることが重要であり、溶けきったかを確認するのは大事なことです。試薬が溶けていないということは、試薬表面や界面のみが反応に関与するだけで、その試薬の大部分が系外にあるということになり、反応が進行しにくくなります。試薬が溶媒に完全に溶けきらず分散させる場合には再現性を高めるために撹拌が重要になってきます。また、溶媒への試薬の溶解度を改善するために相間移動触媒(PTC, Phase Transfer Catalyst)が添加されることがあります。テトラブチルアンモニウム塩などが代表例です。

指導教員に”反応はフラスコの中で起きているのだから、中の様子をきちんと様子を観察しなさい”と言われたことがあります。初歩的な事ですがまさにその通りで、得られた情報が多いほど、課題解決の糸口をつかめる可能性は高まります。

【参考文献】
1) 新興出版社啓林館, 8 もののとけ方 - シュリーレン現象, https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/tea/sho/keyproject/pdf/rika_5nen3_03.pdf (2024年2月8日閲覧)