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今日は疲れたから、僕は思い切って世界から〇〇を消してみた。 #2


毎度、僕がこのお題を出すときは疲れている時だ。
そして誰かのためには書いていないことを許してほしい。

こういう時は何も考えず好きなように書いてみたい。

電車に乗りながら、今日は何を感じたか考えてみたが、一向に思いつかない。隣のサラリーマンが着けるワイヤレスイヤホンからは、最近よく聴く曲が漏れてきた。本人たちを見なければ「おじさんの集まり」だと思い込んで忘れていただろう。

割と良い趣味してるなぁと、ちょっと機嫌がよくなった。

前なら僕も同じ曲を聞いていたかもしれない。
しかし残念ながら今は違う。僕の全神経は目の前の紙に集中している。

1日で一冊読み切るペースで小説が進む。
そうだ、あまり思いつかない今日は「本」を思い切って消してみよう。

僕らは無くならないと、物の大切さを理解できないようだから。


僕らの世界から本を消してみた。


本を消したらどうなるんだろう。
真っ先に思いついたのは、やはり本屋だ。

本がなければ、もはや本屋とも言えず存在しないだろう。

こんなに面白いものがなくなったら人は映画か、ドラマやアニメばかりみることになるだろう。画面に釘付けで、もっと目が悪くなるに違いない。(医者の言うことによると、画面を長く見るから目が悪くなるわけではないらしい)歴史的に名を残してきた著名人も、昔の歌が沢山載った本もなくなってしまうのか。夏目漱石の名前は誰も知らなかっただろうな。彼の猫は、名前がないことも知られなかったはずだ。

本がない世界では、知識を音で共有しているに違いない。
ボイスメモみたいな形で、人から人へ伝言ゲームされていくはずだ。きっと情報を伝えるために、人の会話は多くなっているはずだ。

でもそんな生活の支障を横目に、思うことがある。
何より、本がなければ今の僕はいないんだな。


僕も昔は、活字が大嫌いな少年だった。漫画さえ買ったことはないし、あんな物にお金を払うなら10冊ぐらい我慢してゲームを買った方がよっぽど楽しい。そんな子どもだった。


ただ高校生の時、どうしても…と勧められて1冊読んだことがある。その時はなぜか嫌な気持ちはしなくて、「僕も大人になったな〜笑」と感心していた。

そして家で粛々と読み進めながら、僕は泣いた。
今でも好きなページを思い出せる。

自分が死にそうになった時、死ぬまでにしたい10のことを書き出してみた。直前まで自分のことしか考えられていなかったそんな自分の母親が、無くなる前に、自分宛に書いてくれた遺書と出会う。そこには母の死ぬ前にしたい10のことが書かれようとしていた。しかし、そんなことが思い付かなかった母親がそこに書いていたのは、「あなたの大好きなところ10個」だった。

それは人生において、人の尊さに気付いた瞬間だった。

小説も、勉強本も、啓発本も、誰かの人生が投影されているわけで
自分が体験していない人生を想像できることが、醍醐味だとはよく言ったものだ。それが線の物語だったり、点の知識だったり、形は様々である。

ただ、人の優しさを教えてくれるのは「物語」以外に他ない。
思えば、映画だってドラマだって、脚本や題材は本からできていることばっかりじゃないか。

本が無くなっても、人は不自由しないかもしれない。


でも無くなって欲しくないな。


そう僕が言わなくても、本は無くならなかった。



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